トイレ作成その2
一週間がんばって稼いだので、2日間のまとまった作成日を設けることができた。ちなみにエルシアが入ったことで、俺たちはBランクの魔物とも戦えるようになってきた。
だが、Bランクの魔物はお金を稼ぐことはできるが、だいたいが街の近くにはいないので、外泊が当たり前になってきている。
俺たちにも徒歩以外の移動手段があればいいのだが、馬を飼うにしてもそれなりの費用が掛かる。もし毎回借りていたら、それこそ稼ぎにならないだろう。
そんなことがあった一週間だが、今日は先週作り途中だったトイレを、この二日で出来るだけ進めておきたい。
「とりあえず付与魔法のレベルを上げるか。確か浄化の付与魔法を付けるには、スキルレベルが5必要だったよな」
それに加えて、浄化の付与魔法には特殊な魔法が使われるため、専用の魔法書を手に入れなければならない。なのでリュゼとエルシアの二人には、街に出て探してもらっている。
シノは相変わらず服を作ってもらっていた。
それから俺はひたすら付与魔法のレベルを上げた。一日かけて5まで上げることができたのだが、ここで意外なことがあった。
今まで生産職スキルはすべて3レベルでスキルの強さが一段階上がっていたのだが、付与魔法は5レベルまで全く変わらなかった。つまり、付与魔法には上位スキルがあるということだ。
「付与魔法はやっぱり魔法のほうが近いのかな」
二人に探してもらっていた魔法書だが、この街には売られている場所はないらしい。
なので俺は作業を終えたあと、一縷の望みをかけてとある場所に来ていた。
「ゴズさーん、いますかー?」
工房の職員の人に案内してもらった俺は、奥の部屋に来ていた。
「おう。いるぞ。久しぶりだな、レイン。今日はまたなんの用だ?」
部屋に入って声を出すと、模型の裏からひょっこり顔を出したゴズさんがいた。
「とある魔道具を作ろうとしているんですが、それに浄化の付与魔法を使おうとしているんです。それでこの街で魔法書を探したのですが見つからなくて。もしこの街にあるなら、ここしかないと思ってきました」
「確かにこの街にあるとしたらここしかないだろう。だが悪いが、俺も持っていない。浄化の魔法書は希少すぎる。中央に行けば売ってる店もあるだろうがな」
「そうですか。ありがとうございます」
そういって部屋を出ようとしたが、それをゴズさんは止めた。
「まぁ待て。本はないが、浄化の魔道具そのものならあるぞ」
「え、本当ですか?」
ゴズさんは「ちょっと待ってろ」と言うと、部屋の隅にある事務所みたいなところに入って何かをガサゴソとやっていた。
「あったぞ。これだ」
そういってゴズさんが円盤を渡してくれた。
「ちなみに、これに刻まれた浄化魔法のレベルってどのくらいですか? 俺的には不純なものを消すくらいの出力が欲しいんですけど」
「それなら一日もらえれば調整してやるぞ」
「いいんですか?」
「ほかにも言ってくれれば、いろいろと調整もしてやるよ」
ゴズさんがそんなことを言ってくれたので、サイズや形なども細かく注文した。
「まぁお前には世話になったからな。これくらい安いもんだ。それとお前、冒険者ランクはいくつになった?」
ゴズさんが最後にそんなことを聞いてきた。
「Cランクになりましたけど、どうしてですか?」
「いや、何でもない」
そのあと俺はゴズさんと少し雑談をして、屋敷に戻った。
次の日、俺は浄化の魔道具はゴズさんが作ってくれると言っていたので、そのほかの部分を仕上げることにした。
と言っても、前回トイレの部分はほぼ完成させていたので、今回は最後、下水に流すためのパイプを作ることにした。
インターネットでいろいろ調べながら、着々と仕上げていった。
お昼ごろには完成させ、今までトイレがあった部屋の改造を始めた。屋敷にはトイレが数か所あるため、一か所が一時的に使えなくても問題がない。
しかも前もってそこのトイレを使わないでもらっていたので、掃除は終わっている。
パイプやトイレの取り付けを素早く終わらせ、あとはゴズさんの魔道具を取りに行くだけとなった。
俺は待ちきれずに、予定よりも少し早くゴズさんの工房へ行った。到着すると、そこにはまだ作業をしているゴズさんがいた。
「おう、レイン。すこし手伝ってくれないか? もうすこしで終わりそうなんだ」
部屋に入ると、俺が声をかける前にゴズさんの方から声がかかった。
「わかりました。なにか俺に出来ることがあれば」
そうして俺とゴズさんは共同で浄化の魔道具を仕上げた。
「お前さん、すごい成長だな。生産職スキルのレベルも相当上がったろ。教えた時からバケモンだとは思っていたが、まさかここまでとは」
「そうですね。今となっては自分でも怖いくらい成長を感じます」
「とりあえずこれで完成だ。持ってきな」
「ありがとうございます。今度出来上がった魔道具を見せますね。まだ忙しいと思うので、落ち着いたらうちに来てください。冒険者ギルド経由で伝言を残してもらえれば、すぐにわかると思いますので」
浄化の魔道具を受け取った俺は、足早に屋敷に戻った。
「おかえりなさいませ、ご主人様。それが浄化の魔道具ですか?」
「あぁ。これでついに俺の最初の夢がかなう」
俺は屋敷に入るとすぐにトイレへ行き、魔道具の取り付けを行った。
「できた。念願の水洗トイレだ」
その日の夕食の後に、今まで利用をやめてもらっていたトイレを使っていいと伝えた。ちなみに俺は完成してすぐに使ったが、やはりトイレといったらこれだという感じだった。
三人からは好評だった。最初は恐る恐る使っていたのだが、一度使うとそのすごさに気づいたのか、すぐに気に入っていた。
それからというもの、そこ以外のトイレを誰も使わなくなってしまった。
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