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第108話「襲撃計画」

「計画の確認をしよう。」

魔王城の一室。プラグマ、ゼベルト、アニア、レオンが集合し、勇聖学園襲撃の計画を確認している。昼下がりの明るい日光が窓から差して、四つの影を作り出していた。


「まず、アニアがプラコ公国の王城近隣の監視塔を襲撃する。そして現勇者を誘き出す。戦闘になった場合、時間稼ぎを頼む。命の危険を感じたら即時撤退するように。

その間に僕が勇聖学園に結界を設ける。そしてオーディロダム王国の闘技場地下に拘束されている魔獣たちと炎を放つ。勇聖学園を火の海にし、人族たちを鏖殺にする。そして生き残った新勇者にゼベルトが『封魔の呪弾』を撃つ。

新勇者を誘拐可能なら誘拐する。移動に関してはレオンの転移魔法を使用する。連絡は随時それぞれに付けられたレオンの転移魔法陣でする。質問はあるかい?」


プラグマが計画のあらましを説明した。魔王フィリアルの死を防ぐための計画の全貌が明瞭になる。

「ない。」

「ありません。」

「ないよー。」

ゼベルトは緊張を顔に表しながら、アニアは真顔で、レオンはにこやかに答えた。

「よし、それじゃあ…。」

「ちょっと待った〜!!!」

部屋の扉が開き、ヴェルニャが現れた。

「ヴェルニャ、どうしたんだい?」

「どうしたーって、こっちが聞きたいよ。みんなこんなとこに集まっちゃってさ。私にニャんか隠して面白いことやろうとしてたでしょ〜?」

ジトッとした猫眼でヴェルニャが皆を見つめる。

「…まあ、この際、猫の手も借りたいし、いいんじゃないか? プラグマ、ヴェルニャにも計画を手伝ってもらおう。」

「そうだね。戦力が増えるのは歓迎だし、もう情報は漏れないようがないからね。」

ゼベルトとプラグマが話し合い、ヴェルニャにも、この世界の真実と今日の計画のことが知らされた。


「ニャ〜んで、私無しで話進めてたのさ〜。」

話を聞いたヴェルニャは頬を膨らませていじける。

「ヴェルニャさん、うっかりフィリアル様に計画を漏らしてしまいそうですから。」

「うんうん、ニャハハ〜とか言いながらね。」

アニアとレオン。二人の少女がヴェルニャに辛辣をぶつけた。

「ニャー!!! 私そこまでバカじゃニャいっての!!!!」

毛を逆立てて、ヴェルニャは怒った。

「まあまあ、もう一人、今日緊急参戦する者がいるから。そう怒るんじゃないよ、ヴェルニャ。」

プラグマがヴェルニャを諌める。

「もう一人?」

当然、ヴェルニャはその一人を知りたがる。

「そろそろ来るんじゃないか?」

ゼベルトが窓の外を見る。そして示し合わせたように少女の声が窓越しから響いた。


「お〜い、フィラウディアが来たよ〜。なに〜、私に頼み事って〜? ていうかみんないるんだね。フィリアルはいないけど。」

ゼベルトの開けた窓から龍の少女が入室する。喋りながら、ヴェルニャのもとへ行きヴェルニャの肩の上へ登った。

「にゃにゃにゃ。」

「ふふ〜。」

フィラウディアはフィリアルの次にヴェルニャのことを好いている。

「やあ、フィラウディア。魔王様のために、僕たちを手伝ってくれないかい?」

「フィリアルのためならいいよ!!!」

プラグマの言葉にすぐさまフィラウディアは賛同する。

「じゃあ、プラコ公国にいって、人族兵たちを蹴散らし、現勇者を相手取って時間を稼いで欲しい。」

ゼベルトがフィラウディアに『頼み事』をした。

「…。」

ヴェルニャの肩上で笑っていたフィラウディアの笑顔が消える。

「私、戦わないよ。守るため、食べるため以外に私は戦わない。」

緊張が走る。少女の姿をしていても、彼女は龍。彼女の持つ力はここにいる誰より強大だった。誰もその意に反することは許されないと、本能が訴える。


「頼む、フィラウディア。フィリアルを守るためなんだ。もし、フィラウディアが戦ってくれないと、10年後に、フィリアルが死んでしまうんだ。」

ゼベルトが頭を下げた。本能を黙らせ、龍に意を反した。

「…ホントに、フィラウディア、死んじゃうの?」

「ああ。今日、俺たちはそれを阻止するために計画を練ってきた。お願いだ、フィラウディア。フィリアルのために、フィラウディア自身のために、どうか戦ってほしい。」

フィラウディアは自己愛の化身。ゼベルトはその一縷の望みに賭けた。

「…。」

フィラウディアの脳裏に閃いたのは彼女の最初の人族の友達。しかしその次に彼女の脳裏にはフィリアルの笑顔が浮かんだ。友達をもう失いたくない。独りになるのはもう嫌だ。自分のためにこの力を振いたい。

(ラディア。ごめんね、約束、一回だけ破らせて…。)

フィラウディアは最初の友達に謝った。

「わかった。今回だけだからね。フィラウディアのために、勇者と戦う。」

決意をその眼に宿して、フィラウディアが『頼み事』を受けた。

「ありがとう、本当にありがとう。」

「僕からもお礼を言うよ。ありがとう、フィラウディア。」

ゼベルトとプラグマは感謝を伝えるために再度頭を下げた。


「じゃあ、行こっか。みんな、魔法陣の上に乗って?」

レオンが魔素を練り、床に紫色の魔法陣を生み出す。

「空間転移。」

魔王城の一室から、魔族5人と龍の少女1人の姿が消えた。

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