ゲインシュタッド陥落
ゲインシュタッドは南方の貴族たちに睨みをきかせる為の町である。
両側を高い山々に囲まれて難攻不落の要塞になっていた。
王都へ侵攻するならば必ず落とさなくてはならない場所と言われている。
そのゲインシュタッド上空を深夜、飛ぶ走空車がいた。
走空車は黒く塗りつぶされており町からの視認を困難なものにしていた。
「全機ゲインシュタッド上空に到着しました!」
飛行船の船内で一人の兵士が報告する。
この軍を率いている男、ジーン・ハイデマンは号令を出す。
彼はスコルナ伯爵家直参の軍人である。
幼少の頃よりスコルナ伯爵家に仕える事を義務付けられていた。
リュファスの命令を粛々とこなす筋金入りの軍人である。
「目標、領主の館。投下始め!」
ハイデマンの命令のより飛行船の窓からランプが振られる。
飛行船や走空車の真後ろにあるドアが開き樽を落としてゆく。
落とされた樽は衝撃でバラバラに壊れ、中の物を撒き散らす。
「これは・・・油!」
警備の物が気づいた時には次の命令が下る。
「火を射かけよ。」
無数の火矢が射かけられ、館は炎に包まれる。
難攻不落と言われたゲインシュタッドは夜明けを待たずに陥落した。




