二枚目
あなたの五回忌にこんな告白、おかしいかな。まあ多分、あなたがいたら笑いながら頭をなでてくれるだろう。
政略結婚。
これは私達に課せられた使命だった。最初から決められていた道だった。
だからかな。抗いたくなるのは普通の反応で。
外に出すこともできないからそのもやもやの矛先は、お互いに向けられていた。
私はね、思うんだ泉美くん。
きっと私達、許嫁同士じゃなかったら、最初から息の合う友人でいられたんじゃないかって。
だってそうでしょ。
許嫁だからって毛嫌いして、悪いところにばっか目を向けて。
それなのに心の中では一番大切に想ってたなんて。
今から考えると滑稽だね。
分かってた。
本当は優しいあなたを認めたくなかっただけ。
政略結婚の癖に最高の許嫁をもらったことが癪だっただけ。
面と向かって告白するのは今さらすぎて気恥ずかしかっただけ。
だから、今言うね。
あの時言えなかった分、ここで言う。
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
あなたが生きているうちにもっともっともっともっといっておけばよかった。
ごめんね。
でも、想いが通じたあの日から、私はずっと幸せです。
あなたがいない今も、思い出はちゃんと残ってるから。
ありがとう。
最後にわがままいってもいいかな。
帰ってきて。
お願いだから帰ってきて。
隣で笑ってて。
頭をなでて。
手をつないで。
あなたが死んだなんて全部嘘で、あなたはひょっこり帰ってきて、ただいまって笑うの。
お帰りって言わせてよ。
いつもみたいに、言わせてよ。
私からの最後のわがまま。
…聞いてくれてありがとう。
五年間、心の底の方に沈殿していたものが掃除されたような感じです。
この手紙を書いて良かった。
これから墓参りにいくつもりです。
もうすぐ会えます。
待っててね。
私の大好きなあなたの元へ。
あなたの好きな、白と緑の花束を持って。
最後まで読んでいただきありがとうございます!




