表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

一枚目

拝啓


あれからもう五年が経ちました。

調度よい区切りの年だと思いペンを握った次第です。

あなたに宛てた手紙ですが、これをあなたが読むことはありません。

それを前提に私と、そしてあなたのこれまでを振り返るつもりです。


そうは言ってみたものの、何から話せばいいか迷います。

とりあえず出会いの場所にさかのぼって、言いたいことをまとめたいと思います。


あの日は何のパーティーだったかしら。

そう、確かあなたの七五三のお祝いの席におよばれしたの。

私の初めての社交の場でもありました。

(幼いときの記憶だから間違っていたらごめんね)


祝辞の代わりにピアノの演奏をしました。

お父様から『薫と同い年の男の子だよ。これから深い付き合いになると思うから、しっかり自分のつとめを果たすんだ。分かったね?』と言われていたので、私はとても緊張していました。

こんなことをあなたに言ったら鼻で笑われてしまうでしょうね。

実際、今も昔も人前に出るのはあまり得意ではありません。

―とにかく演奏したのです。

指も体も緊張でかちかちに固まっていましたが、充分満足のいく演奏だったと思います。

実際ミスしたのは数えるほどで、お父様にも喜んでもらえました。


大方の挨拶回りを終えて、最後にあなたとあなたの家族のところへ行きました。

大人たちはそれぞれ盛り上がっていて、子供は子供同士という雰囲気でした。


『ねえ』


『はい、なんでしょう泉美くん』


『さっきの曲四ヵ所も間違えてたね』


『ご、ごめんなさい。一生懸命練習したのに。緊張しちゃって』


『…俺、お前のこと嫌い』


今から思い出すと、あなたは昔からこんな感じでしたね。

初めてこんな直接的なことを言われて、泣いてしまったのは鮮明に記憶しています。


私たち、会うたびに喧嘩をしていましたね。

小学生の時も、中学生の時も、高校生の時も。

お互い意地っ張りであまのじゃくで、素直に好きって言えなかった。


許嫁という名前の枷がなかったら、もう少し早くお互いを理解しようと思ったいたのかもしれません。


長くなってすみません。

次の一枚は思い出話ではなくて、あなたに伝えたいことを書きます。

もう少しだけお付き合いください。


作者は一応25歳前後を想像して書いています。

しかし、読者の皆さんのそれぞれの想像で楽しんでいただけたら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ