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1話 幼馴染との再会

 

この物語は、主人公、風上太一の平凡な非日常を淡々と描く物語です。

過度な期待はしないでください()


「えっ、まさか、ないなんてことはないよな」

 風上太一は、今までの人生で一度も経験したことがない焦りを感じていた。

ここは、九曾高校の受験合格発表の会場である。

三月中旬のまだ少し寒い季節。

華やかな高校生活を送るための努力の結果が発表される日である。

(よく探すんだ、おれ。 見つからないと、四月から行く高校ないぞ)

上から順にみてゆく。

彼の番号は、110721。

決して彼が選んだ番号ではない。

(あっ、あった!!一番下じゃ見落とすのも仕方ないか)

 天にも昇る気持ちとはこのことを言うのだろう。

九曾高校にはいるために、勉強一筋で頑張ってきたからだ。

国内最難関ともいわれる九曾高校は、全国から学生が集まる。

太一は、全国レベルの戦いに勝つために、死ぬ気で勉強した。

それが、ようやく実ったというわけだ。

彼は携帯電話を取り出すと、電話をかけた。

trrrrrr

「もしもし、太一?」

「姉貴、九曾高校受かったぞ!」

「あら、やったじゃない! お姉ちゃんと同じ高校に行ってくれるなんて嬉しいわ♪」

「べ、別に姉貴のために、九曾受けたわけじゃないよ!」

「あらあら、照れちゃって。 まぁ、今日は早めに帰れそうだから、ご馳走にしましょう」

「わかった、楽しみにしているよ。 じゃ、電話切るね」

「はやめに帰るのよ」

電話を切ると、ポケットにしまった。

太一は、姉の風上蛍子と二人暮らしをしている。両親は、お約束の海外出張中だ。

姉は既に就職をしている。忙しい身で、家に帰ってくるのは、三日に一片くらいだ。

合格会場に背を向け、喧噪から去ろうとした瞬間、太一の体内に電撃が走る。

苦しい。その一言に尽きる。

その場から一歩も動けない錯覚に陥る。額から嫌な汗がでてくる。

(なんだっていうんだよ・・・こんな時に限って・・・)

太一は、今、褐色の魔物と戦っている。

それは、太一だけではない、誰しも起こる自然現象である。

その名は、便意である。

太一は、駆け出した。トイレを探した。

「くそっ、トイレに神様がいるなら、俺に微笑んでくれえええええ」

昇降口から校内にはいる。周りを見回すと、そこには、一枚の張り紙があった。

(ここの角を右に曲がって、その角を左に曲がり、まっすぐいって、そこの階段を下りて、斜め右にいって、突き当りを左に曲がればトイレです)

「なんでこんなに複雑なんだ・・・」

ルートを覚えるまでに苦労しそうだ。

走り続けること数分、やっとトイレまでたどり着いた。

「うおおおおおお、トイレあったああああああ」

ジョルルルルッルル、ジュポオオオオオオオオオオ

我慢し続けた後の、トイレはとても気持ちいいものである。

手を洗い、廊下にでた。そこには、知らない光景が広がっていた。

(あれ?どうやってここまで来たのだろう・・・)

いわゆる迷子である。太一は、とりあえず辺りを歩き回った。 

うろうろしていると、視界に一つの部屋が映り込んだ。上の札には、生徒会室という文字が書かれている。

(ここにいる人なら、出口への行き方がわかる人がいるかな)

そう思うと、ドアをノックした。

「すいません、誰かいませんか?」

教室からは、返事は返ってこなかった。

 太一が肩を落としていると、後ろから声をかけられた。

「あなた、何をしているの?」

振り向くと、そこには九曾高校の生徒であろう女生徒が腕を組んで立っていた。太一は、一瞬呆けてしまった。なぜなら、その女生徒は、美しかったからだ。長い黒髪を肩まで垂らし、目はぱっちりとして、色は青みがかっている。スタイルがとても良く、足は細すぎず、太すぎない、かつとても長い。胸はDカップくらいだろうか。臀部は、見えなかったので評価できなかった。そして、顔はとても整っていて、太一の見知った顔だった。


「あれ・・・?もしかして、水澤さやかさん・・・?」

「えっ、なぜ、私のことを知っているの?」

「小学校まで同じ学校だったじゃないですか。風上太一ですよ、忘れちゃったんですか!?」

興奮気味に、太一は言った。

「あぁ、そうだったわね。ごめんなさい、あの頃のこと結構忘れてしまっているのよ」

「そうですか・・・」


太一は、がっくりした。

さすがに、忘れられているとは思わなかったのだ。

「風上君は、春から九曾に入学するのかしら?」

「はい。今日が入試の合格発表でした。なんとか合格できました」

「そうよかったわね。うちの試験は、難しいから」

「あ、ありがとうございます。四月からが楽しみです」

さやかは、無表情のまま受け答えを続ける。

「で、あなたはなんでこんな場所にいるの?」

「えっと、トイレを探していたら、いつのまにか迷ってしまって」

「そうなの。それなら、昇降口まで送ってあげましょう」


さやかは、そういうと身をひるがえし、歩き始めた。それに太一はついてゆく。

昇降口への道すがら、太一は考えていた。自分は何のために、この九曾高校に入学したのだろうかと。それは、さやかに会うためであった。

太一は、小学校までさやかと同じ学校だった。太一とさやかの家は近く、学校までよく一緒に登下校していたものだ。だが、太一が小学四年生に進級して間もなく、さやかは小学校を去った。行先、理由を、誰にも告げなかった。彼女が去ったあと、太一はとてつもなく落ち込んだ。

一時期は、食事も喉を通らないほどであった。そして、数年が過ぎ、中学に進学する。中学二年のとき、進路を決めるために、九曾高校のホームページを見ていた。

最初は、九曾高校のような難関を受けるなんて考えていなかった。だが、そのホームページには、さやかの写真が掲載されていた。太一は、そこから猛勉強することになるわけだ。


(さやか姉に会うために、ここまでがんばってきたっていうのに・・・時間って怖いな)


会話もないまま、道を歩く二人の前に一人の男子生徒が現れた。

「あ、さやか君じゃないか。探していたところだよ」

男子生徒はニコニコしながら、近寄ってくる。

「会長じゃないですか。今、生徒会室に迷い込んだ男性を昇降口まで連れて行っている途中なのです。」

「そうなのか。君、迷子君かい?」

太一のほうを向いて、生徒会長はそう言った。

「はい、風上太一といいます。合格発表を確認したあと、トイレ探していたら迷ってしまって」

「もしかして、今年からうちに進学するのかい?」

生徒会長の顔が、少し歪んだ気がした。

「そうです。春から入学することになりました。風上太一です、よろしくお願いします。」

 太一は、お辞儀をした。

「よろしく、僕は、生徒会長の唐沢 京だ。そして、君の隣にいる美しい女性は、副会長の水澤さやか君。美しいだけじゃなく、勉強もでき、能力も高い非常に優秀な生徒だ。ぼくの片腕・・・、いや、彼女がいないと生徒会が成り立たないくらいだよ」

唐沢は、得意げにそう言った。

「や、やめてくださいよ、会長。褒めてもなにもでませんよ?」

恥ずかしそうに視線を逸らすさやか。

「君のそんなところも、かわいいところだよ」

そういいながら、笑う唐沢。

(なんですかねぇ。この空気は・・・)

完全に蚊帳の外の太一。だんだん、苛立ちが募っていく。それも仕方がない。さやかの態度が太一と話しているときと、全然違うからだ。

さやかとは、確かに数年のブランクがある。でも、ここまで変わってしまうものだろうか。昔のさやかは、他人行儀ではなく、家族のように話しかけてくれていた。だが、今は想像以上に、太一に対する態度が素っ気ない。

「数年ぶりに会いましたけど、水澤さ・・さやか姉は、副生徒会長になっていたのですね、すごいなぁ」

突然、切り出す太一。場の空気が一瞬凍り、沈黙が広がった。

さやかは、目を見開いた。そして、太一に鬼のような形相で近づいて言った。

「あなた、さやか姉っていうの、馴れ馴れしいからやめてくれないかしら」

太一は、後ずさりたじろいだ。目の前にいたのは、太一の知らない彼女だった。

「君たちは、以前からの知り合いなのかい?」

会長は、さやかに質問した。

「えぇ、そうですね。小学校のころは、一緒の学校に通っていました」

「ふーん、そうなのか。まぁ、ここで立ち話もなんだから、彼を昇降口まで送ろう」

「そうですね、まだまだ生徒会の仕事もあることですしね」

そして、太一は、会長とさやかに昇降口まで送られた。太一は、とりあえず校門をでた。

先ほどの彼女の形相が、太一の脳裏から焼き付いて離さなかった。どうしてこうなってしまったのだろうか。そして、これからの学校生活はどうなってしまうのだろうか。

不安を覚えながら、帰途につくのであった。










     


初めて小説を書くもので、わからないことばかりです。

文章力もこれからつけていければなと考えております。

こうしたらよくなるなとか、これはしなきゃだめだよ、など言いたいことがあれば、教えてください。

お願いします。

とりあえず、完成を目指して精進します。

今は、ストックがあるので、サクサク投稿していこうかなって考えております。

なくなったら、不定期になるかな?まだわかりません。

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