1.とある少年の物語
自由気ままに異世界転生執筆。
暇だから執筆するだけです。
静かな雨は好きだ。
朝を歩く青春じみた同級生の騒ぐ声、忙しないスーツ姿の足音、車の音。
そんなのに心を乱されなくなるから。
雨の湿気が何か、自分の気持ちを宥めてくれるのだろう。
でもその代わりにつまらないことを考えて、少し憂鬱になる。
高校一年生になってもう数か月経つ。
新しい場所で何かが変わると期待していた、未だあるのかもしれない。
しかし実際のところ、今までと変わらず一人ぼっち。
かといって勉強も運動もできないし、損したままだ。
もちろん幼馴染の可愛い女の子なんていないし、出会いもない。
自分は何もない以上に何もない。
ここまで人生何も変わらないから、もうとっくに気づいてしまった。
生れながらに全ては決まっていると。
このまま自分はずっと一人ぼっちで、平凡で、つまらなく死ぬ。
なんのために生きているのだろう。
どうしても不公平と思うのは、やっぱり周りを歩く同級生たち、
「昨日の試合見たかよ? 大然のゴールえぐかったくね?」
「まじでそう。なのにその後はクソディフェンスですぐ追いつかれたよな」
「あれは相手の11番がヤバすぎるだけ」
「てか次、ブラジルになったんだけど。終わったじゃん」
あいつらがずっと笑っているからだ。煩いほどに。
高校の門の向こうに青春など無かった。
もしも自分が特別だったら、こんな気持ちなんて無くなるのに。
路地の地面、コンクリートは綻んでいた。
ところどころヒビが入っていたり、凹んででこぼこしていたり。
雨となるとでこぼこに水溜まりが溜まり、通る車がそれを弾いて水を飛ばす。
大方、大人の車は、狭い道に高校生が横に広がっているのに腹を立てているだろう。
だから派手に来る。
怒号走る車。
自分はいち早く気付いていたからすぐ飛び跳ねた。
あいつらも飛び跳ねた。
「うええ! あっぶねええ!」
「ナイス回避!」
「うわっ、ちょっと濡れたわ」
「あれ? マジか」
あいつらの一人が笑って自分を指を差した。
転んで下から上までずぶ濡れの自分を。
誰のせいでこうなったと思っているんだと、少し目を尖らせ見上げる。
つもりも嗤う群像に威圧され、水溜まりを恨んだ。
「謝ったほうが良くね?」
「なにが? 勝手に転んだだけだろ」
「なんか気持ち悪いし行こうぜ」
僕が何をしたって言うんだろう。踏んだり蹴ったりだ。
水溜まりを蹴飛ばした。水が靴の中に入って気持ち悪くなっただけだった。
少し歩くと角から隣の高校のスカートを揺らす美少女が路地に入ってきた。
白肌の茶髪、円い顔の、背の小さな可愛らしい子だ。
名前も知らないが、この時間同じ道を通るのは確かだった。
かなりの美少女で、近くを歩く中高生の目を奪って止まず、それを恥じらって俯く姿さえ可愛らしく、もっと視線が集まるだけだった。
例にも漏れず自分もその一人だ。
あいつらもそうであるが。
「なぁ、あの子可愛いよな。なんとかして近づけないかな?」
「やめとけよ。この前、フラれたばっかだろ。またフラれるだけだ」
「わかんないだろそんなの」
「お前がフラれるのはいいけど、そしたら気まずくてもうここ通んなくなるかもしんないだろ。そしたら俺があの子と近づけない」
「心配すんなよ、お前なんかどうせ近づけないから」
「じゃあお前行って来いよ」
「やだよ! お前行っていいよ、先に」
「なんでだよ! お前行けよ!」
追い越したいのに横に広がってるからできない。
それに美少女がよく見えない。
そうしているうちに美少女が十字路に止まった。
ここは見晴らしが悪く、信号もないからちょっと危険だった。
雨だからさらに視界も悪くなっているし、地面も滑る。
車が無情に行き交う中、美少女は左右をきょろきょろと覗いていた。
少し雨が強くなっただろうか。
激しい雨音に背中を叩かれたらしい。あいつらの一人が意を決した。
「今しかない。俺は行くぞ!」
「行くのか? マジで?」
「やめとけって!」
「いいや行く! 見とけ! これが男の意地だ!」
「何ムキになってんだ?」
そいつが小走りして十字路に走っていった。
少女の後ろにつくと、軽く肩を叩いた。
そうしようとした。
それがちょうど、少女が歩き出したタイミングだった。
だからそいつの指先は避けられ、それどころか転んでしまった。
――美少女を巻き添えにして。
今、そいつは美少女の上に顔を付けていた。
至近距離。まるでラブコメみたいに二人は顔を合わせていた。
「ご、ごめん」
とそいつが退こうとするも、傍から見ていたお仲間方はむしろ違っていた。
盛り上がっていた。
「いけいけ!」
「そこで逃げるとかありえねえぞ!」
「何が男気だぁ!?」
さっきまで足を引っ張り合っていた癖に、面白ければなんだっていいのか。
こう煽られ、そいつは退かずにそのまま美少女に被さった。
そして喉を震わせた。
「あ、あの、ずっと前からす、す――」
「ど、退いてくださいぃ!」
その前に美少女がそいつを弾き飛ばした。
その無残な男は十字路の外、しりもちをついて馬鹿にみたいに美少女を見上げた。
美少女は真っ赤になっていた。
「ひゅーひゅー!」
と周りは騒ぐも、どこからどうみても怒り心頭だった。
現にそいつの表情が失意に満ちていた。
美少女が立ち去る後ろ姿をただその顔で。
しかし一転。
「ふざけるな!」
そいつは逆上して立ち上がった。
そいつはこの前、フラれたばかりだとさっき話していた。
このまま友達に馬鹿にされまいと腹を立てたのだろう。
十字路のど真ん中、美少女の手を掴んで止めた。
「きゃあ! 離して!」
「本気だ! 俺は!」
そいつは完全に正気ではない。
今にも殴りかからんばかりの気迫で絶対に美少女の手を離さない。
ヤバいことになった。誰か止めないと。
周りに他、高校生やサラリーマンなどがいるものの、そいつのあまりの気迫に足が出ない。
肝心のお仲間方は、
「あれ、止めないとヤバくね?」
「も、もう少し見てようぜ」
だとか言って誤魔化していた。
むしろ一番親しい彼らこそ、そいつの本性に竦んでいたのだろう。
しかし誰もがそうもしてられなかった。
していいはずがなかった。
雨がさらに強まった。その十字路の東側、
――ものすごい勢いでゴミ収集車が走ってきていた。
もちろんその先に美少女とそいつがいる。
明らかにゴミ収集車の運転手は二人に気づいていない。
車の視野の高さと雨による視界の悪さでわかっていない。
「離して! 嫌だ!」
「頼む! デート一回だけでいいから!」
「嫌だ! 離して! 離せっ!!」
運悪くか、美少女はそいつを強く弾き飛ばした。そいつだけ十字路から弾きだされた。
一方でその反動で、美少女は腰をついてしまった。座ってしまった。
するともう運転手は美少女に気づけない。
いや、気づいた。でもすでにそれはもう美少女のかなり手前。
必死にハンドルを切るももう遅かった。
迸るブレーキ音。
ゴミ収集車を見上げたまま、動けず怯える美少女。
周りの誰も、誰でさえも同様に怯えていた。
助けなきゃいけないって危機感が心を埋め尽くしていてもなお、状況を飲み込めずに。
自分も同じだった。
このままじゃあの子は無残に轢き殺される。
だからといって、あの子を助けるために、死ぬかもしれないのにそうする理由があるのか?
誰だって死にたくない。
これはしょうがないことだ。
だけどこのときに限って、あいつらの道塞ぐ横並び、その壁に大きな隙間ができていた。
一直線に美少女が見えていた。
だからはっきりと分かった。美少女の白く恐怖する肌に、その表情に。
人が死ぬとき、あんな美少女でも、あんな見るものの心臓を止めるような白い顔をすることに。
自分はそんな現実が嫌だった。
もともと、こんな世界嫌いだったから完全に嫌いになった。
――僕は息を呑んだ。
そして突っ走った。
重心が前に行きすぎて転びそうになりながら走る。
きっとこのときばかりは世界中の誰よりも足が速かったろう。
それでももっと速く。
一歩踏むごとに自負が芽生えても来た。
自分は周りと違う。勇敢なのだと。
だから少女を前にして、あったのは少女を助けたいという真摯な気持ちよりも、この世への憎悪と優越感だった。
僕は自分が気持ち良くなるために少女の前まで走った。
そのまま竦む少女の腕を引っ張り投げ飛ばした。
そしてそのままゴミ収集車に、
――無残に轢き殺された。
飛び散った血飛沫が、暖かい真っ赤な雨が、
一瞬だけ、意識を失うまでの一瞬だけ、
僕に味合わせた。これが春なのだと。
……真っ赤なタイヤ痕、滲んでいく血の色。
美少女の顔にべったりついた血も同様に褪せていった。
同級生たちは現実を直視できず逃走した。
運転手はふらつきながら惨状を目視し絶望した。
周りの人たちは現実を受け止められずただ立ち尽くしていた。
けれども少年の血が側溝から流れ落ちていくだけだった。
これをAIに見せて感想聞いたんだけど、これがいいって跳ね返してきて、それがあんまり良くないと思ったのでもうAIを使うのやめようかと思いました。
春なのだと、で終わりだったのに、少しタラタラと続きが書かれているのはAIが変に提案してきたからです。




