〝お告げ様〟(某SNSの投稿より抜粋)
〝お告げ様〟(某SNSの投稿より抜粋)
@0ThsXstw123・20■■4月13日
私の住んでいたY県の山奥には変わった風習が存在しました。
結婚相手を〝お告げ様〟に決めてもらうというものです。
お告げ様は金色の光に満ちた森の中に住んでいて、太い御神木から降りてきて「その者はいかん」とか「よろしい。子宝に恵まれる」とか仰ります。
それで結婚した人達は、皆幸せそうではありました。
けれど私はお告げ様に結婚相手を決められるのが嫌で、村を飛び出しました。
駆け落ちというやつです。
私は今年で80になるのですが、結婚生活は悲惨なものでした。
酒癖の悪い亭主に何度も殴られました。亭主の暴力で流産したこともあります。
そんな亭主が去年の暮れにようやく死んだ時には、胸のすく思いでした。
実を言うと、お告げ様に亭主との結婚を反対されていました。
「苦労が絶えぬ。子も死ぬ」
そう言われていました。
そんな事があるものかと、当時にしては先進的な考えを持っていた私は思い村を飛び出したのです。
今になって思えば、お告げ様の言うことを聞いておくべきだったと思っています。
もうこんなにも老いさらばえて、今さら自由になったところでどうしようもありません。
私の青春時代は、亭主の暴力で水の泡となって消えたのです。
もし今の若い方が、何かしらのお告げを受けたなら、従うことをお勧めいたします。
人生には自分の考えが及ばないことがたくさんありますから……
もう一度あの金色の森に戻れたらどれほど幸せでしょうか。
そうしたら、生娘だった自分を引っ叩いてでも結婚させないのに。
それではサヨウナラ。




