小話 求む、使い魔 希望編
2026年4月20日より
2巻該当部分のカクヨム版の改稿と合わせて少しずつ投稿いたします。
ガラナ領を出てしばらく経った。竜車は揺れも少なく、中は広々としているので長時間乗っていても苦にはならない。暇つぶしとしてアルダとベルダから引き継いだ書物もあるので時間を潰すのにも問題ない。
竜車の旅は急ぎとはいえ、地竜を潰さないために適度に休憩をは挟みつつ進んでいる。そんな旅の途中ふとあることを思いついた。
唐突だけど、魔女といえば何を思い浮かべるだろうか。鉤鼻? 空飛ぶほうき? もしくは黒いローブととんがり帽子だろうか。それともグツグツと煮えたぎった謎の鍋あたりも思い浮かべるだろうか。
まあそれらも魔女と聞いたら思い浮かべるものかもしれない。だけど私が魔女と聞いて思い浮かべるのはあれだ。そう使い魔というやつだ。使い魔といえば、フクロウだったり黒猫だったり、はたまた蛇だったりと色々思いつくだろう。そう、私はなんだか急に使い魔が欲しくなってしまったのだ。
今から語るのは、旅の途中でふとした思いつきで始まった使い魔探しの話になる。
◆
「エリーこんな路地裏で何をやってるんですか? 変な所に行くと絡まれたりして危ないですよ」
「んー、カルロとセーランかー、そっちこそどうしたの二人でデート?」
「も、もう、そんなのじゃないです、ただのお買い物です」
「(僕はデートのつもりなんだけどな)」
カルロのそんな呟きが聞こえたけど、セーランには届いていなかったようだ。それにしても見つからないね。
「それでエリーは何を?」
「ちょっとね。野良猫でもいないかなと思って探しているのだけど、全然みつからないんだよね」
「野良猫ですか? 先程あちらで見かけたような」
「ほんと? どこ? どっち?」
「まだいるかはわかりませんが案内しますよ。セーランもそれでいいですか?」
「時間がかかるものでもないですし良いですよ」
私はカルロとセーランに案内されて、中央広場のような所にたどり着いた。広場の中央には噴水と休憩できるように木製のベンチが置かれている。
「あそこにいるようですね。野良かどうかはわかりませんけど」
「おー、いたね。カルロもセーランもありがとう」
見つけた猫はベンチの上で丸くなっている。色は黒一色で魔女の使い魔としてはお誂え向きではないだろうか。
「それは良いのですが、エリーはどうして猫を探しているのですか?」
「ちょっとね、使い魔が欲しいなと思ってね」
「使い魔ですか? エリーさんはテイムができるのでしょうか」
「使い魔っていうのはテイムとは少し違う感じなんだよね。テイムっていうのは相手を屈服させて従わせる感じだし魔物相手に使うものだからね。使い魔というのは、魔物じゃなくて動物が対象なんだよ。なんて言ったら良いかな? そうだね、簡単に言うとペットみたいな感じかな」
「ペットですか、なんとなくわかるようなわからないような」
セーランと話しながらゆっくりと丸くなって寝ている猫に近寄っていく。ある程度近づいた所で猫が急に起き上がりこちらを見た。と思った途端に飛び上がるように全力で逃げていった。
「はぁ、やっぱりだめかー」
「その感じですと何度か逃げられているようですね」
カルロが先程逃げた猫を捕まえたようで抱きながら近寄ってくる。猫の方はなんとか逃げ出そうとしているようですごく暴れている。
「ごめんね、せっかく捕まえてくれたようだけど可哀そうだから逃してあげて」
「使い魔にしなくて良いのですか?」
「使い魔って無理やり作るもんじゃないからね。相性もそうだけど信頼関係がないと。そこまで嫌がられたら無理なのよね」
猫はカルロの腕から逃げ出すとセーランの後ろへ回り、私をシャーと威嚇した後に全力疾走で逃げていった。仕方がない、この街にいる野良猫は諦めるしかないね。





