コリンの手紙
アーヴァインが出かける前に手渡された、コリンのみっちりした手紙です。
アーヴァイン様へ
いきなりお手紙を書いて失礼なのはわかっています。
内容が失礼なのもちゃんとわかっています。
でも、こうした形でないと上手くお伝えできる気がしないので、ここは我慢して最後まで読んでください。
よくおわかりかと思いますが、僕は姉御がとっても大好きで大事で、とにかく姉御のそばにいることが僕のすべてでした。
新しい家族と新しい環境の中、姉御が寂しい思いをしないようにここまでついてきました。
コーベットの皆さんがとても優しくてあたたかくて、有りのままの姉御を受け入れてくれて、僕がどれだけほっとしたかおわかりでしょうか。
でも、そこにあなたという人が現れて、姉御を護るようになったんです。
正直に言って、とても邪魔に思いました。
強くて、身分もあって、見栄えもよくて、性格だってそこそこです。
色々と兼ね備えすぎてて、難癖をつけづらくて、そんな人が姉御に目をつけたのがちっとも面白くありませんでした。
でも、あなたは僕みたいな下町出身の、吹けば飛んじゃうくらいのちっぽけな存在でも軽んじることなく、僕が姉御のそばにいることを許してくれました。
本当はそれをとても感謝しています。僕を一人の人間として扱ってくれてありがとうございます。
それで、これはまだ姉御にも言っていないことなんですけど、僕はアーヴァイン様と姉御が結婚したら、アストリーの頭のところに戻ろうと考えています。
二人の新婚生活を見ているのがつらいというわけではないです。
姉御がいないと頭が一人だから、そうすると姉御はいつまでも頭の心配をしていなくちゃいけないから、僕は帰ります。
姉御に恩があるように、頭にも恩があります。だから僕は、今後は頭のそばにいます。
僕が近くにいなくても、姉御を悲しませるようなことは絶対にしないと約束してください。
世界一幸せにしてください。
じゃないと、多分、寝首を掻きに夜間に訪れてしまいます。
よろしくお願いします、アーヴァイン様。
コリンより
ある意味、呪いの手紙です(え?)




