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140話

「・・・よし。これで完全修復完了」

「早い」

「システム面の構築が速く終わったからな。その分は速いさ。

 体の方はどうだ?」

「9割5分。十分」

「後は劣化部分か・・・」

「・・・??」

「いや。何でもない。そこについてはちょっと考えてみるわ」

「メンテポッド作れないの?」

「無理だな。ログアウトしてる間に入ってるって設定で存在してないから」

「じゃあ仕方ない・・・ところで」

「あん?」

「何か悩んでる?」

「・・・そんな顔してるか?」

「勢いがない」

「・・・まぁお前には関係ないよ。それに大したことじゃない」

「ふーん」














『紅月』の修理が完了し、アカリの体も凡そ元の状態に戻った。

恐らくこれでヘタを撃たなければ何かに負けることは無いだろう。

予定より早く機体の修理が終わったが、これは俺が集中していたからだ。

悩んでいるより他の事をして気を紛らわせたかったのだ。


そしてアカリ達に贈る移動車両も完成している。


「こいつがお前らの車になるな」

「・・・こんな鉄の塊が動くのか」

「馬もいらない」

「信じられないが、本当に動くのだろうな・・・」


中型移動車両扱いのメンテナンストラック。

搭載可能数2機。名前の通りメンテナンスも可能。

ただし設備不足で改造や製造は出来ない。

機体へのエネルギー供給用に、エンジンとは別のジェネレーターも完備。

ドライブ型だから稼働時間は長い。まぁこの世界だと補給は俺のところでしか出来ない・・・普通なら。


「そこでこいつの出番だ」

「なにこれ」

「これは・・・魔道具ですか?かなり大型ですが」

「フィア正解。これは発電機だ」

「はつでんき・・・?一体どんな魔道具なんだい?」


正確には、魔力を流して電気を発生させ、それをエネルギーに変換する魔道具だ。

魔道具である部分は、電気を発生させる所。

ここは魔力を通すと電気が発生する魔法陣を書いてある。フィアが見つけたのはそれだ。

これがマシンの全身に描かれており、触っていればどこからでも電気を作れる。

そこで発生した電気が内部を流れて変換機でエネルギーに代わる。

そして補給したい機体に接続して使うわけだ。


だがこれを積むと搭載可能数が一機分落ちる。

アカリは『紅月』しか持ってないから良い物の、俺はあまり使えないだろう。


そして地味に初の魔道具と機械の組み合わせの実践使用品なのだが割と上手く行っている。

まぁ本当に上手く行くかはアカリ達が使ってみないことには分からないが。


「アルカナなら使えるだろうよ」

「燃費が少々悪いようですが、よろしいのでしょうか」

「まぁドライブ型自体そこまで頻繁に補給しないといけないわけじゃないしな」

「私次第?」

「そうだな。実弾で戦うならほとんどいらない。

 逆にビーム兵器で戦うならそれなりに必要かもしれん」

「実弾だと補給が困る・・・流れ次第」

「そういうことだな」


そこは懸念点ではあるのだ。

元々アカリはこの世界で一人で現れ、戦い続けてきた実績はある。

そしてその間に色々『紅月』を運用する為にやってきたそうだが、俺の元で補給と修理を行った結果と噛み合うかは微妙なのだ。


「確か機体のエネルギーはどうにかなるんだったな?」

「なる。でもモルトンまで帰らないといけない」

「彼女も連れてこられれば良かったんだけどね」

「まぁ機材とか必要なんだろ?」

「錬金術師の方ですと、それも難しいかと」


俺はその辺まだ習ってないから知らないが、この世界には錬金術という物が学問的に存在しているらしい。

これは魔法の力を使って、物の性質を変化させたり、効果を増幅することに特化した学問なんだそうだ。

その錬金術師で、アカリ達の知り合いが『紅月』のエネルギー問題を解決した人なのだそうだ。

効率は良くないそうだが、それでもゲームの知識や機械無しにそれが行えるのはすごいことだ。


「弾丸はどうだったか」

「無理」

「火薬はあるんだが、どうしてもあんな小さなものを大量に作ることが出来なくてね」


『紅月』の問題点で解決してないのはそこだろう。

この世界にも火薬は存在している。大砲もあるから、弾って概念自体はあるのだ。

だがそれを小さくする技術は無い。

それにこの世界では金属の物は一部を除いてすべて人の手で作られている。

いくつか魔法で製造を行う物もあるそうだが、決して大量生産に適したものではない。

それこそ数百発単位で補充しないといけないから、俺以外の供給先が無い。


だからこそアカリはオーパーツである『オービス』を頻繁に使っていたのだが。

そのせいで壊れてたけど。


「まぁ1000くらい置いてあるから、何とかなるだろ」

「無くなる前に帰ってくる・・・そもそも無くなる?」

「さぁ?」


俺が動くのはアカリ達がここを出て行ってから、モルトン王国に帰るまでだ。

その間に海魔を見つけて討伐する。

恐らく期間的にはアカリ達は一つ二つ国に寄ってから帰るはずだ。

それくらいの期間なら無くなることはないはずだ。


「中も見ておくか?」

「見たい」


では案内しよう。

トラックと言ったが、中はキャンピングカーみたいになっている。

むしろストレングスギアを搭載する関係でかなりデカい車なので居住スペースも広いのだ。

これは中型だが、大型になると部隊移動も出来る。


「ひ、広いな・・・」

「長距離の移動でも、これなら疲労も最低限で済むでしょうね」

「キッチン狭い?」

「ぶっ飛ばすぞ?」


何でこのクオリティで文句付けるんだ貴様は。


実際この世界の移動手段で言うならこのトラックはかなり・・・てか世界一優秀と言ってもいい。

自動移動システムで寝ている間も移動することが可能。

キッチンやトイレなども完備しており、水さえあれば困ることは無い。

冷暖房もあるから快適なことこの上ない。


「まぁサーベスには負けるけどな!!」

「比べないで」


俺の最高傑作と言ってもいいサービスに比べると雲泥の差ではある。当然だけど。

まず施設の量が全然違うし、トラックで出来ることは全部サーベス出来るし。


「あ、ステルス機能もあるから、どっかの街に寄る時は使っとけよ」

「確認は?」

「『紅月』の方にサブメニューも追加してあるからそこで操作な。

 内部の操作も出来るから、留守番してるやつに触らせるのも出来るぞ」

「後で教える」

「わ、私は出来るなら触りたくないんだがな・・・」

「覚えろ」

「はい・・・」

「アルカナ操作苦手だったか?」

「いや。壊れたらあれだと思うと・・・」

「分かりますアルカナ様」

「フィアは結構すぐ慣れてなかったか?」

「フィアさん・・・?」

「・・・怖い物は怖いのですよ」


説明したらすぐに使いこなせる人が言っていいセリフではない。

そういえばキイナさんも割とすぐに使えるようになってたな。あれは俺が使うのを見てたからかもしれないけど。


「後何か聞きたいことあるか?」

「最大速度と移動距離」

「最大速度は時速100キロ程。移動距離は特殊発電エンジンだから理論上は無限」

「ん。悪路の走行は?」

「一応車体重量があるからある程度は無視できるが、可能なら避けろ」

「どうしようもない時は」

「燃費が最悪になるが一応浮遊システムがある。最悪はそれ使ってくれ」


しかし浮遊を行った場合はシステム終了後に数時間にクールタイムが必要になる。

最大浮遊時間は30分。それで内部のエネルギーが無くなるからピクリとも動かなくなる。


「機能停止まではしないけど、それでも最低限にはなるから気を付けとけ」

「分かった・・・あ、運転システム」

「普通のにしてあるから、お前でも使えるぞ」

「ならいい。アルカナでも出来る」

「やりたくない・・・」


運転は流石にお前がやった方がいいとは思うけどな。

所謂オートマ車だから操作は非常に簡単だから運転は出来るとは思うが。

自動ブレーキシステムがあるから障害物にぶつかることはないしな。


「ああ、でもそもそもの耐久度は高くないからそこだけ注意な」

「やったら?」

「・・・一応小型のメンテ無人機があるからそれ動かせ」


応急処置しか出来ないから、攻撃食らったりしたら直しきれないけどな。

本当ならシールドも付けたかったが流石に重くなりすぎるとか色々な問題があって辞めた。

あるならあるで大変だしな・・・アカリが自分でメンテナンスできるなら話は別だったんだが。


「お前出来る?」

「無理」

「知ってた」


アカリが専門的なメンテが出来るとは思ってないから搭載しなくて正解だったな。


「まぁこんなもんか」

「十分」

「いやとんでもなく貴重な物を貰ってしまったんじゃないか私たちは・・・?」

「???このくらいなら安い」

「え」

「え?」

「そうだな安いな」


ぶっちゃけ中型車両なんてどれだけオプションを付けても大した額にならない。

これが大型だったりもっと特殊な機能があるとかだと話は変わるが。


「『紅月』の修理の方が結果的に貴重な物使ってるしな」

「『オービス』は仕方ない」

「そういえばあれ全く別物にしたけど、名前考えたのか?」

「『オービス』は『オービス』」

「ああそうですかい」

「・・・これ一台でも、うちの屋敷何台分になるんだろうか」


この世界の基準で換算しちゃうと分からん。


「まぁ最低でも数個分?」

「」(絶句

「流石ですコウ様」


俺が流石ってわけじゃないんだけどな。

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