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ひょんひょろ侍【戦国編】重なっていく策謀(2)

遅れて申し訳ありませんm(__)m


が、今週も遅れますm(__)m


続きのアップ予定は来週の火曜日になる予定ですm(__)m

「ふししし♪逃げろ♪逃げろ♪逃げるのじゃ♪」


蒼泉殿から出た飯井槻は裾をまくし上げ軽やかに皆に云った。


「畏まった!逃げる先は出郭でくるわにございますな?それから外に遁走致しまするか!」


とった首を縁側に置いてきた伊蔵が元気よく応じる。


「んにゃ♪我ら茅野家に与えられた三の郭の屋敷に入るのじゃ♪」

「三の郭?御社さま、ここは敵の城にござるぞ?」


正気にあられるか?と、伊蔵は血塗れの顔をこるまた血しぶきまみれの濡れた袖で拭きながらたずねる。


「正気じゃ♪なにせ三の郭に籠る方がわらわには都合がよいからの♪」


ふししし♪


そう飯井槻は据えられた輿に身を委ね、担ぎ上げられゆられながらうそぶいた。


「そうなのか羅乃丞殿よ」

「私に聞かれてましても、存じ上げませぬ」


伊蔵に委細を尋ねられた羅乃丞に事情が解るはずもなく、当惑する表情をするしかなかった。


「わらわの考えはの♪のちほどそなたらに聞かせるによって心配いたすな♪」


四周の御簾みすを下げた輿の中から、ややくぐもった声音で飯井槻は応じる。


「畏まってござる」

「左様で…すか」


ふたりは呆然とした。


「それよりもじゃ伊蔵よ。ぬし、どこぞ傷はないか?痛いところはありはすまいか?」

「ありませぬ。強いて云えば多少、年のせいか息が上がったくらいにございまする」

「左様か、安堵いたした♪流石の伊蔵も歳には勝てぬか♪ふししし♪」

「戯れ言にござる」


伊蔵はひとつ冗談をいってから羅乃丞と目配せしたあと自ら、行列の先頭にたち指示しつつ、おそらく飯井槻が命じて来させていただろう、あの出郭に籠めていた百五十人の軍勢が兵糧や水樽を担いで現れたのと合流しながら、一路、三の郭の御殿ごてんに向かって駆けていった。






「これで良かったのかや?左衛門尉さえもんのじょうどのよ」

「あれでようございます。母上様」


ふらりと上座に通じる奥控えの間からあらわれ、寿柱尼と国主様の傍に歩み寄り横にさらり座った痩せた男。


この者、世に凡庸、はたまた愚鈍と名高き添谷家当主【添谷そいやの左衛門尉さえもんのじょう元則もとのり


その人である。


「されど内膳…。いえ、大膳太夫はうら若き女子おなごながら頭の切れる御人。油断は禁物ですよ。やるならばいっそ今が良いのではありますまいか?」

「あれはあれで良いのです御祖母様。大膳は確かにキレる女。であるからこそ、我らの企みにまんまとハマるのです」


自信たっぷりに寿柱尼に云った左衛門尉は、かたわらで不思議そうな顔をして二人の会話を聞いていた国主さまをひょいと持ち上げ膝に乗せ、まるで幼子おさなごでもあやすように頭を撫でた。


その優しさに国主様は柔らかい微笑みをたたえた。





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