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ひょんひょろ侍【戦国偏】重なる策謀(2)

すいません。ごめんなさい。

書いてる途中で寝落ちしてしまい。アップ今日になってしまいました。


大変ご迷惑をおかけしたことをここにお詫びいたしますm(__)m


すいませんでした!!


でわ、続きをお楽しみくださいませm(__)m

「ほう。思うた以上に兵を城に込めておったのだな」


続々と、茅野軍の実質的総大将を任されている【神鹿かぬかの兵庫介ひょうごのすけ親利ちかとし】の目前を、千を超す山名本家の、恐らく後詰めでやって来たらしい軍勢が退き陣していくのが見えた。


意外と多し。


左様、兵庫介がつぶやいたのはこの時であった。



さて茅野家と山名家は、お互いの撤兵に関する合意文書を【駒井城】と兵庫介が手っ取り早く築いた連立式の砦との丁度狭間の原っぱで、手短な終戦の儀式をと共に取り交わすと、即座に行動を開始した。


取り決めにより茅野家の軍勢は、箕埼きのさきおもてで兵庫介が本陣を構えていた小山の西側を新たな境界に設定して撤退を行っている。


小山から東側は今後、茅野家が管理することもこの場で決まった。


まあ、たいして旨味のない狭い砂地ばかりの痩せた土地だが《あとで計ったら百貫文程度の収穫》、茅野家が山名家に単独で勝った証なので悪びれずに素直に頂戴しておいた。


どうせ約定の大本おおもとの文言は〝ひょろひょん〟が手配せして、相手が疑問を感じる前にこさえたシロモノだろうからな、気にするだけ無駄だ。


どうせ、飯井槻さまは以前から了解済みの、、、というか、たぶん間違いなく飯井槻さま発案のはかりごとの一環なのだろうと、そういつもの様に思っておくこととする。


兎にも角にも我が茅野家と山名家との間に緩衝地帯が出来。その上、守りやすい狭隘(きょうあい)な土地に城を、、、まあそう呼ぶには小さい築造物だが、しかしながら我ら神鹿の築城の技法を大いに使わせて貰った厳重な要害を一つ作ることが出来たのだから、軍奉行を務める儂としてはありがたい話だ。



茅野の軍勢は、その本拠とする【あお紫陽花館あじさいやかた】に繋がる本街道の道筋上で勢揃いを終え、前方警戒を行う先備さきそなえの一陣が出立したのを合図に、順繰じゅんぐりに壱の備。弐の備。参の備と意気いき軒高けんこう


一斉いっせいせいの『応!!』の掛け声のもと、茅野領に足並み揃えて勝軍しょうぐんらしく次々と帰還していく。


殿(しんがり)は、合戦中常に兵庫介が傍に控え、最後の勝敗を決める突撃の際には共に轡を並べて吶喊とっかんした【きの四郎しろう次郎じろう】が務めている。


奴は、儂の言いつけ通り、最初はくだんの交渉の場であった原っぱに軍勢を展開させて不測の事態に備えていたが、暫時ざんじ、各隊が茅野領に向かい進んでいくのに合わせゆるりゆるり、まるで【逆さ、だるまさんがころんだ】みたいな感じで、ふと振り返れば奴らは去って行くのだ。


「これで我が軍勢も、戦のコツをつかんできたな」


兵庫介は、彼のそばに片足を立てうずくっているうてな左膳さぜんに語り掛けた。


「ですが、此度こたびは勝ち過ぎましたな」


むすっとした様子の左膳は、顎を上げくいっとしゃくって見せてから、、


「御覧なされ各備の様子を、皆、頬が緩み切っておりまするぞ」


知っている。


兵庫介は左膳の疑義を肯定した。


率いる大将ですら配下に向かい微笑んで居る。左膳に云われるまでもなくまずい事態である。


「しばらくは戦は出来ぬな」

「左様。今一度どこかしらのまともな軍勢と戦わば、必ずや痛い目を見るでありましょうな」



そしてハッとなる。


まさかひょろひょんは、斯様な腑抜けた事態に我が軍勢が陥ることを予見し次々に彼の国の家々を巡り、和約や取り決めを結んできたのではあるまいな。


そう思い至った途端。


兵庫介は笑いが止まらなくなり、本陣が置かれたままの彼の小山の地面でわらべの如く地団駄を踏んだ。


彼の国は、ひょろひょろの根回しと飯井槻さまの策謀により混迷を極めるだろう。


彼の国の内乱は拡大する。


(ひるがえ)って我が此の国は内政に注力できる。


その事実に兵庫介が気付かされたから、年甲斐もなく彼は地団駄を踏んだのだった。




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