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哀しみの中(2)

クリスマスイブ前々日、フェラーリZ君は、伊藤さんを乗せてやって来た。



心配していた伊藤さんの様子は、元気そうだった。私には、痩せ我慢しているように見えた。




「ゆきちゃん、似合うといいけど‥」


そう言って伊藤さんは、キャメル色のストールを私に巻いてくれた。




「名古屋のデパートでね、マネキンが着けてたんだよ。ゆきちゃんに似合うだろうなぁ〜そう思ったら買っちゃったよ」




「すみません。ありがとうございます。こんな大人っぽいのが欲しかったんです」




「それは良かった!ゆきちゃんの好きな色だろ?」



「なんで知ってるの?」




「ヨーロッパで着ていた洋服を見てたんだ!」




そういえば、バルセロナでの夜にカラシ色の印度綿のたっぷりドレーブしたミニワンピを着ていた。


パリでは、キャメル色のフレアースカートにキャメル色のスカーフを巻いていたような気がする。



実際のところ好みの色なのかどうかと聞かれると分からない。


どちらかというと、カラシ色が好きかな?


いやっ、一番好きな色は、水色なんだ。



「ゆきちゃん、こんな遅い時間にごめんね」




「大丈夫です。普段も、授業が終わって友達と三ノ宮をブラブラして夕飯食べて帰ると‥もっと遅い時間になりますよ」




「そうだよなぁ〜大学までは何時間掛かるの?」




「二時間です」




「そりゃ大変だ!皆んなも遠くから通ってるの?」





「ヒラメと淳は、大阪から来てるの。後は、神戸だから、やっぱり私が一番遠いかも‥父が独り暮らしは駄目だって!二時間掛けて通学してると通学時間が勿体無く思っちゃう」




伊藤さんは、運転しながら私の話を、うん!うん!と言って確認するように聞いていた。




「ゆきちゃん、この道を真っ直ぐに行くと海に行けるかな?」




「はい、ここから5分も走れば海に着きます。ニースやエーゲ海のようにはいきませんが‥瀬戸内も歴史的有名な港とかあるんですよ」





「歴史的とは?」




「実は、私も勉強不足ですみません。平清盛がこよなく愛した港ですって!あっ、それと竹下夢路もでした。」





「そうなんだぁ〜穏やかな瀬戸内には、そんな港があっても不思議じゃないもんね。でも、これからだと真っ暗だね。海が見たい気分なんだけどな〜」




「行ってみましょうよ!」



それから5分も走れば海に着いた。


波はなく いつになく凪ぎ波の海面は穏やかに私たちを迎えてくれた。




手が届くほどの処にある海面に浮かんだ向かいの島々無数に煌々と灯台の灯りを照らす。


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