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第1話「雨のバス停」
AI活用した作品です
その日も雨だった。凛は濡れないように小さく肩をすぼめながら、いつものバス停に立っていた。周囲には誰もいない。静かな雨音だけが、世界を切り離したように響いている。
ふと、隣に気配を感じた。
「この雨、嫌い?」
突然の声に振り向くと、そこには見知らぬ青年が立っていた。傘も差さず、まるで雨を楽しむように空を見上げている。
「……別に」
凛はそっけなく答えた。誰かと会話するのは久しぶりで、どう返していいかわからなかった。
「俺は好きだよ。雨の日って、世界が少しだけ静かになるから」
青年はそう言って笑った。その表情はどこか儚く、雨に溶けてしまいそうだった。
バスが来るまでのわずかな時間。凛はなぜか、その場を離れられなかった。
「また会えるかな」
青年がぽつりと呟く。
「雨の日なら、きっと」
そう言い残し、彼はバスが来る前に姿を消した。
その日以来、凛は気づく。
——自分が、雨を待つようになっていることに。




