第021話「報告と祝福、そして忍び寄る影」
アリーナでの激闘後
彼らは、優勝の報告と感謝を伝えるために、大輔の入院する病院を訪れていた。
個室の扉をノックし、開けると、ベッドに横たわった大輔が嬉しそうに顔を上げる。
「兄貴!朱華音さん!イーサンさん!……やったんすね!優勝……!!」
「おう。ちゃんと見舞いに来てやったぞ」
彼が笑いながらトロフィーの写真を掲げると、大輔は満面の笑みを見せた。
だが、その表情は一瞬だけ曇る。
ベッドの上で握った拳がわずかに震えていた。
「……でも、俺、出てなかったっすから……あんな大舞台、俺も……」
痛みに顔をしかめながらも、大輔は小さくつぶやいた。
その言葉に、イーサンが無言で近づき、そっとベッドの縁に腰をかける。
「……お前がいたから、俺は出た。
お前が繋いだチームだったから、俺は戦えた。だから胸を張ってろ。お前の勝利でもあるんだ」
その一言に、大輔の目が潤んだ。
「……ありがとうございます……兄貴……イーサンさん……」
部屋があたたかな空気に包まれたそのとき——
「ふふ……いい場面ですね~!」
そう言いながら入ってきたのは、グレゴリーだった。
いつも通りの落ち着いたスーツ姿だが、その顔には柔らかな笑みが浮かんでいる。
「デッドショット・ジャクソンを倒してくれて、本当にありがとうございました!やっと夜も安心して歩けます!」
グレゴリーは頭を下げる。
「グレゴリーさんからもらった手榴弾のお陰でもあります!」と彼は言った。
そしてグレゴリーは大輔の方へ振り返った。
「大輔くん、退院したら快気祝いと優勝祝い、どっちもやらせてくれないか?盛大に!」
「マジっすか!? やったーー!!」
大輔は大きく手をあげたが、すぐに「あだだだっ!」と腹を押さえ、皆は思わず笑った。
「おいおい無理すんなって」
彼も笑いながらツッコむ。
「あたいも楽しみにしてる~」
朱華音も微笑みながら言った。
和やかな時間が流れる中、皆の間には確かな絆が深まりつつあった。
しかし——、、、、
場面は暗転し、場所は変わる。
地下のコンクリート室。薄暗い蛍光灯の下、椅子に膝をついたジャクソンが、何者かの前で頭を下げていた。
顔には殴打の跡があり、口元から血が垂れている。
「申し訳ありません……敗北しました……」
その目の前に立つ男は、黒いローブと仮面を纏い、全身から圧倒的な威圧感を放っていた。
「……くだらん。貴様の敗北は我らの計画に大きな狂いをもたらした」
男の低く冷酷な声が響く。
「次は……失敗は許されん」
男が指を鳴らすと、背後の影から複数の武装した男たちが現れる。
「やつを動かせ。やつらを、、、小深山道場を、完全に潰せ!」
ジャクソンがうつむきながら、かすれた声で問う。
「本当に……あいつらはそれほどの存在に……?」
「貴様が負けた。それが証明だ」
男は静かに言い放った。
「気づいていないのは、やつら自身だけだ。だが、やつらはすでに我々の標的になった」
冷たい沈黙が支配する部屋の中、次なる脅威が静かに動き出していた。




