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21. 霧華(きばな)八

「ね、みいな見て! 鳩もスズメもきらきらしてる。ふっくんも平助も、今頃きらきらしてるかなぁ」

「うんそうだね」

「ね、みいな見て! あの車、赤色のはずなのに、きらきらした赤色になってる。面白いね」

「うんそうだね」

「ね、みいな見て! 通学路の看板もきらきら。黄色できらきらしてて、すごく目立つね」

「うんそうだね」

「みいなどうしたの? まだ眠い?」

 何を言っても反応が鈍いみいなのことが、にいなは心配になって聞きました。

「うん。眠いことは眠いんだけど。そうじゃなくて」

 じゃあなんだろう? こんなに楽しいのに? とにいなは首をひねりました。

「だってにいな、考えてもみてよ。私たちがしたことが、世界中で大ニュースになっちゃったんだよ! どうしよう!」

「すごいよね。星の卵は無事に孵ったってことだよね。あ! そしたらさ、私たちがお母さんなのかな?」

「お母さん?」

「だってそうでしょう。私たちが願いを込めて、世界を作って、鍵を開けて、星の卵を孵したんだよ。私たちがお母さんだよね。嬉しいね」

「それは……考えてもみなかった」

 みいなは目をぱちくりさせました。


「お母さん……そうか。私たちお母さんなのか。じゃあ、あの子のことをちゃんと見守らないといけないね。あの子が幸せになれるようにお祈りしよう」

「うん、そうしよう」

 二人は手をつないで学校まで走っていきました。ですが、学校が近づくにつれて、みいなの足取りが重くなっていきます。


 いつも朝、通学路で二人のことをからかってくる男の子が、二人の端を通ったのです。みいなはいつものくせで、身を固くしました。

 いつもにいなとみいなのきらきらをからかってくる男の子は、今朝は洋服もランドセルも帽子もきらきらです。男の子は必死にきらきらを振り落とそうとしますが、身体中にくっついたきらきらは全然取れません。

 男の子は二人には何も言わず、顔も合わせず、真っ赤な顔をしてダッシュしていきました。

 二人は顔を見合わせました。みいなは目をぱちくりさせて、「変なの」と呟きました。


 やがて 二人は校門の前で足を止めました。

 みいなはいつものように顔を下に向けます。誰かと目が合って悪口を言われたり、嫌味を言われたりするのが嫌だったのです。


「ね、にいなちゃん、みいなちゃん」

 いつもにいなとみいなのことを見てくすくすと笑っているクラスの女子の一人が、 二人に話しかけてきました。その女子の後ろには、グループの女の子が何人も固まっています。


「何?」

 みいなはまた何かを言われるのかと、低い声でぼそりと言いました。

「あの……あのね、その……」

 いつもは甲高い声でいろいろ言ってくるのに、その子はもじしたように言葉を濁します。

 後ろにいる女子が、「ね。早くしなよ」、「ちょっと押さないでよ」、「じゃあ、あんたが言えばいいじゃん」と小さい声でひそひそと言っています。

 にいなは周りによく聞こえるように、大きな声でため息をつきました。そして、硬い声で言います。

「何? 用があるなら早くして。遅刻しちゃうじゃん」

 思わずにいなの手を握る力が強くなりました。

 にいなは、「みいな」と心配そうな声で声をかけてきます。


「あの、あのね、私……ごめんなさい」

 リーダー格の女の子が、二人に向かって勢いよく頭を下げてきました。

 なんのことかと、みいなはポカンとしました。でも、すぐにきっと何かの罠に違いないと眉をしかめました。

「別に……謝られる覚えなんてないんだけど。用がないなら行くから」

 みいなはにいなの手を引っ張って先に進み始めます。


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