焼肉パーティ
新たなフラグが建設されたところで、ようやく上級生が先生への報告が終わったのか、先生たちから治癒魔法をかけなおしてもらった後に、バーベキューが始まった。
「なかなかおいしいわね」
いつの間にかビアンカさんが戻ってきていて、しっかりお肉を確保していた。きれいなやけ目で、肉汁にあふれていて確かにすごくおいしそう。我慢できずに自分もかぶりついたら、肉汁が口にぶわっと広がって幸せな気持ちになった。めちゃくちゃおいしい。科学の国のものよりずっと味がいい気がする。
「なにその、情けない顔」
ぐはっ、ビアンカさんの言葉が突き刺さる。どうやら幸せな気持ちになった結果かなり顔が緩んでいたらしい。むむ、情けないまでは言わなくても。そんなことを不満げに思っていたら目の前にお肉が差し出されてそのままかぶりついた。いや、これは自分でもはしたないかなってちょっと反省してるよ、だからルリアルさんそんなに笑わないで、ビアンカさんあきれた目で私を見ないで!! 誰だこんなトラップを仕掛けた人は、と思わず恨みがましい目で肉を差し出した相手を見る。
「ご、ごめんなさい・・」
クラファレスさんだった。ビアンカさんとしゃべりだしたあたりから謝罪をしていたらしい。が、謝罪するにも、私が肉に夢中で全く気付いてもらえずにとりあえず肉で気を引こうとしたらしい。
どんだけ肉に夢中だったんだ私。ミュアさんのことを言えないかもしれない。いやだって、科学の国は空気が穢れてるせいか、野菜も肉もこんなに美味しくはないから。しょうがなかったんだよ、うん。ってさすがにこれ以上スルーしてもな、本当はあんまり話したくはないんだけど。
「私が理から外れてるから殺そうとしたの? 闇属性の使い手だから?」
だからといって、殺されかけて使命ならしょうがないよねなんてあっさりとは許すことはできない。
顔つきが自分でも不機嫌になっていくのがわかる。
「ミリアル、まぁ気持ちはわかるし許せなくてもいいけど落ち着きなさい。えっと・・魔法が使えないっていうのは魔法使いにとっては致命的で何としても避けたいものなの。それはいくらあんたでもわかるとは思うけど。魔法が使えない魔法使いは科学の国の密偵であると疑われたり、魔法の国の恥さらしとして扱われたりするの。一応クラファレンスさんはさっきたっぷり絞ったし、あなたを助けたことで、もぅ魔法を二度と扱うことができないという罰も受けている。・・・役目って複雑なのよ。本人が望まなくても」
普段強気なビアンカさんが、悲しげな表情をしながらつぶやいているのを見れば、納得したわけではないけれど言葉がつまり何も言えなかった。ビアンカさんにも何かあるのだろうか。望まぬ使命とかそんなものが。
「あ・・あの・・・。ミュアさんが、・・いない・・・」
考え込んでいたら、ルリアルさんの言葉にハッとして辺りを見渡す。そう言えば焼肉パーティが始まってから一度も見ていないような。いや、お肉に夢中になっていて見えていなかった可能性もあるけどさ。でも、今ざっと見渡す限りはいない。ミュアさんなんて、私よりも嬉々としてお肉にかじりついていそうなのに。遅れて到着した時もお肉のことを気にかけていたのに。
「あの野生児がいないなんて変ね。あんたよりお肉に夢中になりそうだってのに」
思ったけど、お願いお肉に心を奪われていたことを掘り起こさないで、なんか無性に恥ずかしいから!! なんてため息交じりに思ったが、心配なのは心配だ。ルリアルさんが私は魔族に狙われているといっていた。もしかしたら何かに巻き込まれたのではないのだろうか? そうだとしたら今すぐに捜すべきなんじゃ・・。
「ただいまー! なんかみんなきょろきょろしてどうしたの?」
「あんたを捜していたのよ、この野生児!!」
私の心配を返してほしい。何事もなく帰ってきたのは喜ぶべきことなんだろうけども。いったい何をしていたのやら。
「いやぁ、森のほうを見たらお肉に合いそうな果物を見つけちゃったからさぁ」
本当に心配を返せ。まったく、まぁ理由がミュアさんらしいといえばミュアさんらしい。それにしてもミュアさんが手に持っている果物確かに美味しそう。黄色くて艶々していて丸っこい。どんな味がするのか凄く気になる、一口分けてもらおうか。
「し、心配かけさせたお詫びに食べさせなさいよそれ」
「わぁ、・・すごく・・・おいしそう・・・」
みんな思うことは同じらしい。その言葉を聞いてミュアさんが待ってましたと言わんばかりに、ナイフを取り出して5人分に切り分ける。そして、ビアンカさん、ルリアルさん、自分にへと順番に渡していく。
「はい、クラファレスさんにも」
「え? 私に・・?」
クラファレスさんは、ポカンとした感じに立っており、半ば押し付けられるようにして渡された果実を持てば、果実と私たちの顔を戸惑ったように交互に見ている。
「みんなで食べたほうがおいしいじゃん。それに、早くこの微妙な空気どうにかしたいし。私、気を使うとかそういうの苦手だからさ」
私の感情はどうであれ、確かにみんなにずっと気を使わせ続けるのは良くないと思う。少し複雑な気分がしないでもないけれど、楽しい時間を壊してまで考えることではないのかもしれない。許すか許さないかそれは後回しにして、今はこのこの焼肉パーティを楽しもう。齧った果実は、甘くて酸味がきいていて、焼肉をよりおいしく感じさせてくれた。
大変長らくお待たせしてすみません。
モチベーションがかなり低下しておりましたが、無事再筆し始めました。
誤字脱字の指摘や、優しいアドバイスなどよろしくお願いします。
感想とかくれたら泣いて喜ぶ上にモチベーションアップになります。何はともあれ、これからもよろしくお願いいたします。




