選ばれし者編side story「好い加減な者」
「さぁ、再び破滅へと誘ってやろう」
「あぁん? それって私に言ってるのかしらん? どうやら口の利き方も忘れたようねぇ?」
メイガスの言動に苛立ちを覚え始める女性。相手の言葉はもちろんの事、振る舞い方までもが女性の怒りを引き出すのだろう。
「怒りと言う感情を覚えるか?」
「黙りな!」
女性はメイガスを目掛けて飛び上がる。そしてその手には炎を纏う1m程の雷の剣が握られていた。おそらく、先程の魔法の延長線に値するものだろう。
実態を持たないその魔法の剣は、女性が頭上から振り下ろすのと同時に湾曲になり、メイガスに襲い掛かる。
しかしメイガスはそれを、体一つ分横に移動する事により回避し、地面に叩きつけられた雷の剣を踏み押さえ、己の剣でその剣を切断した。
二つに分けられた雷の剣は、辺りに激しく放電して消えてゆく。そして、それに呆気を取られる女性の顎をメイガスは蹴り上げ、宙に浮かんだ女性の首を掴み上げた。
「お前の魔法は私にはきかんよ。お前の魔法は私の支配下にあるのだからな。だから戯れだと言っただろう?」
「なるっ……ほどね……。自然とっ……くっ、衝撃を……掌理、している訳、だ……」
女性はろくに呼吸も出来ない状況で、メイガスの問いに答える。そして、続けて言う。
「けど、私はここでやられ――」
「――逃がしてやろうか?」
女性が言い終える前に、メイガスは次の問いを言い放ち、その手から女性を落とすように開放する。
その場で咳き込みながらうずくまる女性をよそに、メイガスはナンバー1の方へ歩き出した。
「どういうつもりだ?」
女性は掠れた声で必死に問う。
「貴様など、私にかかればいつでも潰せる。だが、お前の首を己の手で刎ねてやりたいと思っている奴はそれなりにいるからな。そいつらに譲ってやろうと粋な計らいだ」
「馬鹿にしやがってえ!」
女性がメイガスに飛び掛かる。
メイガスはあっさりと女性の腹部を蹴り飛ばすと、そのまま気を失わせた。
「大魔法使い候補よ。ひとつ借りを作ってしまったな」
「い、いずれ返させて頂きます」
「あぁ、きちんと返すんだ。お前の手で。あいつにな」
メイガスがナンバー1の横に立つと同時に、背後へ振り返り女性を指差した。
「さらばだ。魔女」
次の瞬間には、メイガスとナンバー1は姿を消していた。




