魔女魔人編「裏方の暗躍」
「まさか、あんたが取り逃がすとはねぇ。意外だったわ」
空間の歪みと思われる場所で、ナンバー1の低い声が響き渡る。その声は、いつもの軽快さを感じないほど真剣で、ナンバー1としての威厳は十分過ぎるほどだった。それほど、重大な事を話しているのだろう。
そして、その空間の歪みにはナンバー1だけでなく、黒いドレスに身を包む少女も居た。しかし少女は機嫌が悪いのか、どこか浮かない顔をして落ち着き無く宙を舞っている。
「私だって誤算だったわ。でも策と言うものは何重にも張り巡らせるもの。まだ第一関門しか突破されてないのよ」
ナンバー1が黒いドレスの少女を睨み付ける。
「あんた……焦っているな?」
「そう見えるからしら?」
それに対して少女は、笑顔で返事をする。
「……まぁ、いい。ところでどうするんだ? 魔神を学園内で野放しにしたら、どうなる事か」
「もちろん、それに対する策は既に実行済みよ。今、外を出歩きたがる者は物好きくらいだと思うわ。だからね、あなたの仕事はその物好きを保護する事よ。頼んだわね」
少女はまたも、半ば無理やり仕事を押し付けると、その場から姿を消す。
「やれやれ、大魔法使い様はお忙しい事で」
ナンバー1は小さく鼻で笑うと、その場を後にした。
「あんた……焦っているな?」(ギロッ
「そう見えるからしら?」(ニコッ
がお気に入りです。