魔女魔人編「散歩」
「あの二人は今ァ、どうしている?」
アンノウンの目が覚めてきた頃合に、断末魔が質問をする。それに対してアンノウンは、しばらく口を閉ざしてしまっていた。
まだ眠い、と言う訳ではない。恐らく、質問に対する答えが、何か言い難い事で、それが自然とアンノウンの口を閉ざしてしまったのだろう。
断末魔とてそれくらいの事は分かっているようで、アンノウンから目を逸らしている。
「葉乃愛ちゃんと那由他ちゃんはね――」
「――分ァかっている」
やっと出てきたアンノウンの台詞を中断させるように、断末魔は半ば無理やりに返事をする。大体の事は、予想できていたのだろう。それ以上の事を、アンノウンに問いかけはしなかった。
外を見れば、いつの間にか雨が降っている。今の二人を表したかのような雨だった。
「散歩にでも行くかァ」
「え? こんなに雨が降っているのに?」
「あァ……」
断末魔は小さな声で返事をすると、ベットから立ち上がり、歩き出す。アンノウンは、それに釣られるかのように立ち上がったが、それ以上の行動はおこさず、目の前を横切る断末魔をただ見送った。恐らく、断末魔の勢いに釣られて一緒に立ち上がったが、やはり断末魔の言動が突然なこと過ぎて、戸惑ってしまい呆然としてしまっているのだろう。
そんな状態のアンノウンをよそに、断末魔はそのまま扉を開け、思い出したかのように部屋の電気を消し、アンノウンを招く事も無くその場を後にする。置いて行かれたアンノウンは、部屋の電気が消えた事により急に我に帰り、急ぎながらもわざわざ忘れ物が無いか確認したあと、部屋を後にした。
ちゃんと、忘れ物がないか確認する。そんなしっかりした人に私もなりたいものです。
あ~、短い短い。
あーるーこー、あーるーこー。