魔女魔人編「裏方では……」
以前、断末魔が救急員に運ばれていく場面を眺めながら、ナンバー1と空間の歪み内部で話をしていた者の声がする。
「世界を闇に陥れるそれは、学園の深い深い底に眠っているの。その事実に気が付くまで、どれ程の時間が必要か、解る?」
黒いドレスに身を包み、黒い傘を手に持つ漆黒の少女は、学園の深い深い地下で誰かに問い掛ける。
しかし返ってきたのは、何重にもなって反射されてくる少女の声のみ。
だが周囲はかなり薄暗く、その音でさえ頼りになる程だった。
「嘗て、人を恐怖の底に陥れた知能と才能に溢れる魔人、とはとても思えないような惨めで無様な行動ね。……『永久機関 Perfect Eternal An Engine』、そこに居るのはわかっているわ。そしてあなたの目的もね」
「あぁ~、見つかっちまったか。まぁ、それはいいが……元々モルモットだった女が、なぜ偉そうなんだ? それに無様なのはお前だろう? なんでも知ったかでもしたら、相手がビビるとでも思ってんのか? ったく、目が覚めて最初に話した相手がモルモットだったなんて、世界一不幸だわ、俺」
相手の姿はお互いに見えない。しかし互いに強烈な魔力を体から放っているからか、二人とも居場所ははっきりと掴んでいた。それ故に、少女は何も見えない闇の中で、一点を睥睨していた。
「あの老人が具体的に何を起こしたかは、把握して無いわ。だって、学園外で起きた事だもの。でもね、それが原因であなたが蘇ったって事はわかっているのよ? 間違ってはないわよね」
「……はぁ、それでどうすんだ? 結局戦うんだろ? いくぜ?」
永久機関と呼ばれた男は、姿を隠すのに利用していた岩を蹴り飛ばす。とても人力とは思えない速度で飛ばされた岩は、風を切りながら一直線に少女へと向かい、激突する。
しかし紙くずのように散っていったのは、少女ではなく、岩の方だった。それどころか岩は少女と接触する前に、何か見えない壁にぶつかったかのように、何も無いところで爆発したのだ。
そしてそれと同時に散乱する岩以外の断片。その断片は、目に見えて岩の断片とは大きく違っていた。
「魔力の断片か……魔力を魔法に利用せず、直接防御に使うなんて大胆な技、いつから覚えやがったんだ、クソガキ。魔力の消費が大きくて、カッコイイ技を見せ付けたかったのか? それとよぉ、お前は何の為に、俺の邪魔をするんだ? 俺みたいな魔人の生き残りが、再び世界を征服できるとでも思ってるのか?」
「理由なんて、特に無いわ。私は世界を見守る大魔法使いの一人なの。だから蘇った魔人の排除は、大魔法使いである私の義務……と言った所かしら。それにあなたの目的は世界征服では無いのでしょう? そう、もっと簡単な事。人間の抹殺よね? 私情を挟むとすれば、私の大切な人がそれを望んでないみたいだし、私は、私の出来る事をしてるまでよ」
謎の人物が動き出した!?
けど、この人、もう忘れられているかもしれませんね^^;
それにしても、忙しいーー><
就職活動、略して就活。嫌な響きだ……