魔女魔人編「偽りだった勝利」
「断末魔様……本気出すと恐ろしいんですね……」
ナンバー1を機械天使の腕と呼ばれる魔法で吹き飛ばし、敵が居なくなった事により、静まり返った校舎。そこで那由他が断末魔の実力について恐る恐る尋ねてみる。それに対して断末魔は眉を歪ませ、
「あァ? 俺の本気だとォ? 俺の本気なんざァ、見せたつもりは無いぜェ? ……あいつ以外はなァ」
あいつと言われても心当たりの無い、那由他は頭の上に疑問符を浮かべる事しかできなかった。それに今の断末魔にあいつの事を詳しく聞く勇気も無い。もしそれで断末魔の機嫌を損ねたら次は自分が危ないからだ。那由他は断末魔はそんな人では無いと分かって居ても、あれだけの力を見せられると、あいつについて聞く勇気が湧かなかった。
「ちっ、胸糞悪りィな……」
断末魔はそう言ってこの場を去ろうとする。しかし1歩、踏み出しただけですぐに立ち止まってしまう。それも口から赤い液体を吐きながら。
「あァ……?」
断末魔が立ち止まってしまった理由……それは急激な痛みを腹部に感じたからだ。
顔を歪めながら痛みの原因を凝視すると、岩を削って造られた様な槍が腹部を綺麗に貫通していた。
しかもそれだけでは無い、大量の血液が殺傷している個所から滝の如く溢れ出ている。
槍は断末魔の背後、上に浮かぶ茶色の魔法陣から飛び出していた。
「意外と、もろいな、お前」
ナンバー1の声が聞こえる。しかし姿は見えない。空間系の魔法を駆使して姿を隠しているのだろうか。
なんにせよ、これでは反撃する事は愚か、相手の場所も掴めないまま不意を突かれて大打撃を受けかねない。とても危険な状況だ。
断末魔はナンバー1がなぜ、ナンバー1になれたか、少し理解した様な気がした。
そしてそんな危険な状態に関わらず、そこで断末魔は気を失ってしまう。
あとがき
断末魔様、敗北……
断末魔様がお気に入りの私としてはこの結果はあまり望んでいなかったのですが、
非禁禁忌と断末魔様の実力の差を、ナンバー1を使い、表したかったので、
断末魔様には、泣く泣く、倒れて貰いました。
断末魔様あああああああ