第61話 禁断爆発〜フォービドゥン・ビッグバン〜
「ぶっ潰す!」
目の前にいるのが悪夢乃六王の1体なら、自分の授かった最強の力を存分に使うことができる。その力でじゅんきは、目の前の災厄に立ち向かった。
地面を勢いよく蹴り、手に持った槍を空中で構える。一本はディザスターにむけて投げ放つ。奴自身は4足歩行なだけあって、その攻撃を簡単に右側に移動してかわす。
そのかわした場所の先を目掛けて空中から重力のままに落下する。そうしてディザスターに近づいた後に槍を両手に持ち一振り。
またまたそれも回避され、じゅんきは地面に轟音を鳴り響かせて地面に降り立つ。そしてそのまま力を込めてディザスターに向けて持っている槍を投げる。
今度は回避に間に合わなかったのか、ディザスターの右足に槍が刺さった。
「ぐっ…王の力をここまで…しかもあいつの力をとな…面白い。面白いぞ!」
まるで緊張感のないようにケラケラと笑うディザスター。
その余裕な感じにじゅんきは我を忘れて自暴自棄にならないようにしつつも、その何処かで怒りに任せてしまいそうになるくらいの怒りを感じていた。
そんな2王の戦いによって地面は所々が抉れ、2王の出す世界崩壊へとカウントダウンのような空気感に、合体獣リスフォースのエンジェル族達は生きている者として、ここがやばいと察知しているのだろう。
主人であるじゅんきのことをなんとか助けようとはしているものの、下手したら自分たちがやられかけないという感じから、直前で辞めてしまうということを繰り返していた。
そんはことをしている間にも、ディザスターとじゅんきの戦いは続く。
じゅんきはただただ槍を使用した攻撃を、ディザスターは目をたまに赤く光らせるという謎行動をとりつつも、近接戦では自身の前の足を使いビンタをするような攻撃をし、じゅんきがちょっと距離を取ると黒い謎の怨念の籠ってそうなくらい異質な雰囲気を放つ弾を放ってくる。
じゅんきが避けた所に被弾した地面は腐ったように真っ黒となり、死んだ大地に生まれ変わってしまった。
「本当。どこまでもブラックとそっくりの力だな…どこまで力を再現しているのやら…」
若干の呆れが出ているような口調でディザスターは言った。
お互いに一歩も引かない戦い。六王の1体なだけあり、やはりディザスターは強いとじゅんきは思った。
自身がまだまだ禁断王の力を使いこなせていないことも要因としてはあるのだろうがとじゅんきは思ったと、同時に、現在の課題点も思いついた。
…決め手がない。そう。決め手がないのだ。目の前の奴を倒せるようなそんなものが。
このままジリジリとやり続けていたら、自分の方が先に疲れて攻撃を喰らってしまうことは明確に分かりきっている。
いくら自身が魔法による攻撃でダメージなどを受けない体だとしても、あの禍々しい魔法弾を喰らえばどうなるかはわからない。そうなる前に決着をつけたい。
でもどうすれば。ディザスターから飛んでくる新たなる攻撃を避けつつ、じゅんきは考え、考え、考えて…
攻撃を避けつつ必死に考えた末に、思いついた。この場を打開できる確実なる一手を。
いつも通りのぶっつけ本番。当たって砕けろの心意気で。じゅんきは唱えた。
「…禁断爆発!!」
刹那、じゅんきの青く綺麗な瞳は禍々しく光り、じゅんきからは災厄王よりも禍々しい気を出した後に、風が辺りを吹き抜けた。
「…なんだったんだ…」
何か自分に起こった訳でもなさそうで、何が起きたのか、いまいちわからないディザスターはそのことを気にすることもなく、再び攻撃を開始しようとした。
「呼出!ファストファフカース!」
じゅんきは後方で待機しているチュラアス達もこの戦いに参戦するように指示した。
先程の戦いを観ているからか、あまり気乗りしていなさそうなチュラアス達。しかし主人であるじゅんきの命令に逆らうことはせず、渋々戦いに参加した。
カースとチュラアスが後方よりお互いの自信のある魔法を、じゅんきとオーガスが近接で攻める役割になり、ディザスターに立ち向かう。
近接戦闘には自信の前足で対抗しているものの、遠距離からの攻撃には先程の禍々しい魔力玉的な奴を撃ち込まず、そのまま喰らってしまっている。
喰らった魔法によってよろめきいた隙に、じゅんきとオーガスが攻め入る。
オーガスの荒々しい一撃、そしてじゅんきの足や首などを的確に突いた一撃によってディザスターは完全にダウンし、これ以上戦うことはできないと悟ったディザスターは降伏した。
「まぁ、こうなるとは思っていたが…下手をしたらあやつ以上に力を使いこなしているぞ…」
悔しそうなかんじではありつつも、驚愕と、どこかこうなる運命だったのだと悟っているような。そんな感情が入り混じったような感じでディザスターは語った。
「ブラック以上て…それはないだろうな」
「いや…我は魔法にこれまで貯めてきた人間や魔物の呪いを込めて戦う。魔法の威力としては格段に上がるものの、ブラックの持っていたデバフ無効によって呪いを持つ攻撃自体が奴には意味をなさなくなる。
それだけなら我も近接で対抗する手段があるのだが…お前の持つあの歪な魔物達、そして最後お前の放った技によって技を出せなくなったことで、我は勝てないと悟ったのだ。あの技はなんなのだ」
「禁断爆発。禁断王の持つバフ、デバフの無効の技能をちょこっと使った技だ。前々から応用できないかと思っていたが、なかなかに試せる機会が無かったのだが…成功できたようでよかったぜ」
禁断爆発。じゅんきの居た日本にあったカードゲーム(いつものあれ)に出てきたカードにあった効果をこの世界風にアレンジしたものとなっている。
本来は自身に付けられた封印と呼ばれる特定条件でのみ剥がせるものを全て剥がすことでその能力を使えるというものなのだが…当たり前だが、じゅんきにそんなものはないので、技の一つとして、禁断王の姿になった時のみに使うことが出来るある種の専用技とした。
効果は単純に強力であり、じゅんきを中心とした半径50キロ以内のじゅんきに敵意のある者を対象にし、技能の発動や魔法などの発動を一定時間のみ完全に使用できなくするというもの。
ディザスターにやってみた感じとして、魔力そのものに干渉するのではなく、その者自身に(魔法や技能を実行できない)的な効果を付与する感じなのだろう。
なのでよっぽどのことがない限り、技を発動する前に気づくことができず、いざという時になって初めて知る。そんな感じなのだろう。
「そ、そんなのはありかよ…そりゃ、あやつもお前のことを大層気にいる訳だわな…」
はぁ〜っと悟った感じでじゅんきに語りかけている。
「…さて、我のせいなのだが…貴様には時間がないのだろう?」
「…そうだな」
「ならば、もっと話をしたいところではあるが、貴様に我の力を渡そう。そして、出口を開いてやる」
「…まぁ、今度気が向いたらまた来るさ」
「…ふふ。楽しみにしておこう…すまなかったな」
そう言われつつ、じゅんきはディザスターより、災厄王の力を授かった。
またもや、自身が人間から遠のくような。そんな感じがしつつも、ディザスターの開いてくれた出口へと急ぎ、じゅんきは深淵地獄を後にしたのだった。




