そのに 宇宙人⁈茅森沙耶 1
お久しぶりです。
今週もやっていきます。
区切りが難しいので今週は、早めに終わるかもしれない……
いや、そもそもさらに短い話になっているのか。
ともあれ、今週もお願いします!!
おわり
はるか昔の話である。
我々人類は、ここ“地球”より、何光年と離れた場所の住民、つまり宇宙人だか地球外知的ナンチャラだかによって創造され、なんかすんごい文明を授かった。
えーと、なになにぃ。
その証拠は地球上のいろんな場所で発見されてると……。
ふーん。こんなにぃ?!く、詳しくは調べてみてね。
それから時間は流れ、百年、千年、万年と経過していく中で、人々からその事実は消え去った……。
悲しいけどコレ、現実なのよねぇ。
そして現在。西暦20018年、地球。
日本は船橋市のはしっこ。数歩歩けば、白井市にも鎌ヶ谷市にも行ける、何もない廃れた住宅街の一角に佇む一軒家。
大事なところで———
まぁ、とにかく、適当なダメ人間の男が一人、家中を慌ただしく駆け回って……いませんねぇ。
優雅にモーニングコーヒーなんかを啜っている。
そ、そんなこんなで!今、地球外知的ナンチャラの脅威が訪れようとしているのである!!
*
「ふわーあー。まだ眠いなぁ」
大きなあくび、派手にあしらわれた寝ぐせ。
サイズ感のおかしいダボダボなTシャツを着て登場したのは、滝沢藍子。
今は少しだらしない(基、気の抜けた)姿だが、普段の彼女は可愛らしいツインテールにパッチリ御目目、小柄な見た目は誰もが守ってあげたくなっちゃう、ザ・妹キャラの女の子である。
加えて掃除に洗濯、料理まで得意なんだから、もう言うことない。
みんなに愛されるのがよくわかる。
「やぁ、妹よ。ごきげんよう」
そしてこの男。優雅にコーヒーなんか啜っちゃってる、ミスターアベレージ。平凡な高校生、滝沢一彦だ。
平凡と言いつつ、実は結構イケメンよりの顔なのだが、その性格故マイナス補正が大きくかかっている。
何もしたくない、やる気がないを擬人化したような男である。
この話が『そのいち』より、過去のものであるため、大きな声では言えないが、あの恐ろしい体験をした後も、楽して生きたい、という願望を捨てきれていない。
「お、お兄ちゃんが、早起きしてる。……まだ夢の中なのかな」
兄の早起きに相当現実味がないのか、自分の頬をつねってみる藍子。
……イタかった。
「おいおい、お前はいつもバカやって、頬が真っ赤じゃないか。それに俺はいつも早起きなんだぜ!」
ダメな人間が、たまに褒められるようなことをすると、調子に乗っちゃう典型である。
なにやら自分の姿が大多数の人間に見られるかもしれないので、いい恰好をしてるとか。
いや、その……。これはこっちの責任かもしれないが、まず大多数の人間に見られるという保証はない。
そして、今更いい恰好をしても、すでに一彦の醜態はさらされ済みなのである。
と、まぁ、藍子が「人に見られる?さらされ済み?」とハテナマークを浮かべているのでこの辺で。
「ほーら藍子、朝飯も作ってあるぞー」
飽きもせず、ご機嫌な様子で手料理を振舞う一彦。
滝沢家の朝はパン派らしい。
食パンにベーコンエッグとサラダ。シンプルながら理想的な朝食だ。
「う、うそ……?!朝ごはんも作ってる。今日、雪降るんじゃないかな……」
「おいおい。お兄ちゃんだって人の子だ。傷ついちまうんだぜ」
どういったキャラなのか、まったくわからん。
そう言いながら一彦は、さりげなくコーンスープを差し出した。
すると、コーンスープまで……、と言わんばかりに藍子は、目を丸くして口を抑える。
案外、藍子ウケはいいみたいである。それならいいか。
そうして二人は、久々にそろっての朝食を楽しんだ。
「今日はご飯も一緒に食べれたし、学校も一緒に行けるね!」
「おう、そうだな。うれしいだろ」
何の気なしに言ったつもりだが。
「うれしい……。べ、べつに嬉しいとかじゃないもん!お兄ちゃんがちゃんと学校に行くか、監視できるって意味だもん!!」
急に藍子が大声を出すものだから、一彦は大変に戸惑った。
「な、なんだよ、おっきい声出して。ちゃんと行くから。怒るなよ?」
自分から、行けるねカッコビックリ、なんて笑顔で言ってたくせに、なぜ急に怒りだすのか、女心とは難しい、と言うのが一彦の心境である。
こんなにも妹から愛されているなんて、なんとも役得なポジションにいまがら、それに気づかないんだから、とんだ阿呆の一彦だった。
「じゃあ、すぐ準備するから待ってて」
食事をとり終えた藍子は、身支度をするために席を外した。
「へいよー」
机に一人残された一彦は、ボーっとテレビを眺めている。
今日のおニャン子占いが始まるそうだ。
『さぁ、1位はさそり座かニャ?おとめ座かニャ?……今日の運勢1位はさそり座ニャ!』
と言うことは、必然的に12位はおとめ座。一彦はおとめ座である。
性格上、占いなんぞ信じちゃいないが、待ち時間も退屈なので占いの結果を見てみることに決めた。
『ごめんなさいニャ。12位はおとめ座。とにかく最悪な1日ニャ。なんかもう最悪。有無も言わさず、最も悪い1日になるニャ!』
猫の衣装を着たアナウンサーが、残酷なことを告げている。
「な、なにこれ……。これこそ最悪じゃん」
その妙ちくりんな光景に、早起きして気持ちの良かった朝が台無しである。
『でも、大丈夫ニャ。そんなあなたのラッキーパーソンは宇宙ジ———』
一彦は黙ってテレビの電源を切った。
「準備できたよ!行こ」
と、そこへ藍子がやってくる。
朝のだらしない(基、気の抜けた)恰好は一転、制服に身を包み、身なりを整えた可愛らしい彼女が立っている。
「よし、じゃあ行くか」
「その前に……」滝沢妹がこちらを見やる。
「さっきからだらしないだらしないって!別に普通だもん!朝はみんなあんな感じだよ!!」
どうやらこっちサイドに言っているようだ。
え、あ、すみません。……だらしないで良いんじゃないの?
「だめ!!!」
は、はい!じゃあ、気の抜けた、とかに変更します!
それで納得してくれたようで、ウンウンと藍子は胸を張って靴を履く。
ようやくの出発である。
一彦は、藍子が靴を履き終えたのを確認すると、玄関のドアを開いた。
「……」
と思いきや、徐に開かれたドアを閉めた。
まだ外に出ていないのにである。
「どうしたの?お兄ちゃん。早く行こうよ」
藍子はそんな兄を不思議そうに眺めた。
何故だか一彦はだらだらと汗をかいているようだ。
「わ、わかってるんだが……。ちょっと待ってくれよ」
今度はそっとドアを開け、小さな隙間から外を確認する。
「……っは⁈」そしてドアを閉める。
「い、いる!!」
「もう!ふざけてばっかりで!先行っちゃうから———⁈」
そう言ってドアを開けた藍子の目に飛び込んできたのは、青い空に白い雲と、門扉の前に置かれたダンボール?それから、その中にうずくまる一人の女性。
———バタンッ!
本日3度目。力強くドアを閉めた。
「い、いるよ!」
二人は気が動転していて、玄関で立ち尽くす。
しかし、そこはお兄ちゃん。
一彦は妹を不安にさせまいと、何とか平常心を装っている。
「だ、大丈夫だ。とにかくお前は俺の後ろに隠れていろよ。いいか、前だけを見て、決して振り返ってはいけない!」
藍子をやさしく諭してやってから、ついに足を踏み出した。
前だけを、前だけを、目をそらすなー、しっかりしろー。そう思いながら一彦は、藍子を背に一歩一歩歩んでいく。
そうして今まさに段ボールの横を通り過ぎようと……チラッ。
しかし、彼は自らの好奇心にあらがえなかった。
『拾ってください』
ダンボールに書かれた文字だ。
「ハァァアッ!!?」
一彦の全身に衝撃が走る。
ダンボールの女は、その隙を逃しはしない。
一彦の視界に無理やり入り込むと言うのである。
「私を飼ってほしいワン」
一瞬の沈黙が永遠に感じられた。三人を包んだ異様な空間。
その横をゆっくりと近所のばあさんが通り過ぎ、猫が藍子の足元に寄り添う。
そして、ウグイスが鳴いた。
「ホーホケキョ!」
それを合図に滝沢兄妹は全速力で駆け出した。
「足を止めるな、振り向くな!走れ藍子ぉ!どこまでもまっすぐに!!!」
「なんで逃げんのよ!」
刹那、ダンボール女の見事なドロップキックが一彦の後頭部を直撃。
「ングホッ!!」
走る勢いと背後からの衝撃が合わさり、何度もバウンドしながら一彦は吹き飛んでいく。
藍子の視界にも、その光景が飛び込んできたが、彼女は兄の言いつけ通り、構わず走り続けた。
「それでいいんだ妹よ。お前だけは……生きろ……グハッ」
そのに 宇宙人⁈茅森沙耶 2 に続きます。
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