0029 鑑定
「0028 鑑定」のタイトルを「0028 訪問」に変更しました。
「オーガの討伐の時、チラッとあなたの姿が見えたんです。どうしてあそこに居たんですか?」
部屋の空気が、静かに張り詰める。その静けさに耐えられず、私は思わず視線を逸らした。
…見られてたんだ、討伐隊にいたところ。
「えっと、その…」
なんて言って誤魔化そう?ここまで来て、見つかる訳にはいかないから…
「心配、したんですよ」
ぽつりと、クレアさんが言った。その言葉に顔を上げると、クレアさんは責めるような顔はしていなかった。ただ、真っ直ぐにこちらを見ている。
「ある程度戦えるとはいえ、普通の子だと思っていたから。もし巻き込まれてたらって…ずっと気になってました」
その言葉に、胸の奥が少し痛くなる。…私はまた、人を心配させてしまったらしい。
「ごめんなさい」
自然と、言葉が出ていた。
「じっと待ってるだけなのが嫌で…それで、こっそり付いて行きました」
これは本当のことだ。私には、待つだけなのは耐えられないから。
クレアさんは小さく息を吐いた。
「無茶をしましたね」
「はい…」
「もし見つかっていたら、本当に危なかったんですよ?」
「ごめんなさい…」
再び謝ると、クレアさんは困ったように笑った。
「そんなに何回も謝らなくて大丈夫です」
その声音は、どこか呆れ半分、安心半分みたいな響きだった。
「…でも、生きててくれてよかった」
小さくそう付け加えられて、私は返す言葉に少し困る。
「それで、その……どこで見られてたんですか?」
恐る恐る聞く。
もしシャドウランスを撃ったところまで見られてたら、さすがに誤魔化せないからね。
「戦闘のかなり後半ですね。木の陰からちらっと」
クレアさんは思い出すように目を細める。
「ちょうど、ゴブリンが崩れ始めたあたりだったかな……あまりはっきりとは見えてません」
……よかった。
心の底から安堵する。どうやら、一番まずい部分は見られていないらしい。
「本当に、それだけですか?」
「?」
「いえ、なんでもないです」
危ない危ない。これ以上聞いたら逆に怪しまれる。
クレアさんは椅子に座ったまま、ふっと表情を緩めた。
「でも、驚きました。あんな場所まで来るなんて。…お、鑑定が終わったみたいですよ。さて、結果は…」
クレアさんが水晶へ視線を落とす。
淡く揺れていた光が、ゆっくりと収まっていく。その奥に、文字が浮かび上がっていた。
「ええと……」
読み上げようとして、クレアさんの声がぴたりと止まった。
「……?」
その反応に、不安になる。
もしかして、何か変な結果でも出たんだろうか。偽装が見破られたとか?
「……レクシアさん」
「はい」
「…ちょっと、一緒に見ましょうか」
うわ、やっぱり何かまずかったかな!?
まあでも、見るしかないか。
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レクシア 種族:人類/人間 年齢:13歳 性別:女
レベル:12
ステータス傾向:
HP:F-
MP:SS+
物理攻撃:E
物理防御:E-
魔法攻撃:S+
魔法防御:A+
俊敏:D
属性傾向:
光:F-
癒:F-
闇:S+
炎:A+
風:S-
氷:A+
水:A
雷:A
土:A-
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……あれ?
ステータスが尖っている以外は、思ってたより普通かな?
「これって、そんなに変なんですか?」
「ステータスが極端ね。そう、ここまで尖っていると、まるで…魔物のステータスを見ているような気分になる」
「え?」
「それに、闇属性傾向がS+で、光属性と癒属性がF-…本当に、まるで魔物ね」
「その…」
バレちゃったかな、魔物なの?いや、でも、まだ確証はないはず…
「あっ、違いますよ!?別にレクシアさんが魔物っぽいって言いたいわけじゃなくて……その、純粋にステータス配分の話です」
「配分……?」
「普通、人間のステータスってもう少し均等なんです。得意不得意はあっても、ここまで極端にはなりません。特に……」
クレアさんの指が、MPの欄を指す。
「MP:SS+。これが本当に異常なんです。過去にSS級だったのは、確か数人しか記録が残っていないはず」
「そんなに……」
そういえば、ノーモスさんも多いって言ってたような気がする。
「しかも、属性適性も多すぎる。普通は一つ、多くても二つくらいが高適性なんです。レクシアさんみたいに複数属性が全部A以上なんて、聞いたことありません。それに、光と癒がF-で、闇属性がS+…」
クレアさんが少しだけ言葉を濁す。
やっぱり、闇属性ってあんまり印象良くないのかな。イメージ的には、禁忌とかそういうイメージではあるけど。
「闇属性って、そんなに珍しいんですか?」
「それもありますけど、光と癒がF-なのが…」
「それは、なんでですか?」
「基本的に人間は、他の種族と比べて光属性と癒属性が高い傾向にあるんです」
へえ、だったら私怪しいね。
「まあでも、全体的にみて、おそらく大丈夫でしょう。それじゃあ早速、登録に行きましょうか」
「えっ、早速、ですか?」
まだ心の準備的なものが…
「だって、そういう話だったでしょう?」
「そうでしたっけ?」
「そうですよ。さあ、行きましょう!」
そういって、私の手を取って部屋の外へと連れ出した。
今日から2週間、小休止を取ります。
次の更新予定日は5/25 月曜日を予定しています。




