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レクシア -de quodam lexicone fabula-  作者: Nekke
第2章 ルーメル編
22/30

0021 開戦

 あれからしばらく街道に沿って歩いて、森に着く頃には日が沈んでいた。討伐隊は森のすぐ手前あたりで止まって、野営をするみたい。それもそうか、夜も進んでたら万全の状態で戦えないもんね。

 私もMPが減ってたから、回復のためにも狩りをしようと思う。


 …けっこう長いこと探したけど、一匹も獲物が見つからなかった。ひょっとして、蹂躙(スタンピード)の影響もあるのかな?だったらしょうがないか。

 特にやることが無くなったから、討伐隊のところに戻ることにした。野営地の至る所に天幕が張られていて、森との境界線に木の柵を立てている冒険者が十数人ほどいた。ここの野営地を本格的な拠点として使うのかも。

 私は少し離れた木の陰に身を隠しながら、その様子を眺めていた。手際よく動く冒険者たちの姿は、見ているだけでも安心感がある。やっぱり、慣れてるんだな。


 焚き火がいくつか灯り始め、あたりがゆらゆらと橙色に照らされる。それと共に、何かを焼く香ばしい匂いが辺りに漂ってくる。それから、何故か変なお香のような匂いも?何でだろう。それに、料理の匂いで魔物も寄ってきそうだけど、大丈夫かな?

 そう思ってしばらく待ってみたけど、特に何も起こらなかった。ただ、お香の匂いを吸っているとなんだか体がだるくなってくる。ひょっとして、魔物除けのお香なのかな?だとしたら、私も魔物だから、私にはちょっと害になるかもしれないな。


 しょうがないから、少し離れることにする。MPは自然回復に身を任せようか。というか、それ以外の方法はたぶん無い。

 よし、しばらくの間寝ておこうかな。でも、何かあったらすぐ反応できる場所にしておこう。






 朝はまず、戦闘の音で目が覚めた。剣と剣がぶつかる音、魔法が飛び交う音…そんなに良い目覚ましだとは思えないけど、頭の中はかなりスッキリしていた。


 思ったよりもすぐそこまで蹂躙(スタンピード)が来てたらしく、冒険者はすぐそこで戦ってた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゴブリンの群れ 種族:魔物/亜人種 個体数:1493

平均レベル:8 指揮官数:64

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 わお、すごい数だなあ。

 経験値が欲しいから、冒険者にバレないように気を付けつつ私も戦う。

 私の場合、MPに限りがあるから指揮官を重点的に狙っていく。


 まずは一番近くにいる指揮官を狙う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゴブリンチーフ 種族:魔物/亜人種 年齢:6

レベル:12

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 あの時も指揮官はゴブリンチーフだったけど、あの時のよりレベルは少し高い。できるだけ一発で仕留めたいから、最高火力の一撃を放つ。

 息を深く吸い、感覚を研ぎ澄ます。狙うは心臓。周りにもゴブリンがいるけど、それに全く当たらないような攻撃を。

「シャドウランス」

 影から出るその槍は、縫い付けるように獲物を穿った。狙い通り、心臓を貫き、呻き声を上げさせることもなかった。

 リーダーを失って、周囲のゴブリンは思っていたより狼狽している。この感じだと、放置していても大丈夫そうだし、次の獲物を探そうかな。


 ゴブリンは一般的にかなり弱い部類の魔物だけど、それでもこの世界で最も厄介な魔物の一種だ。その理由は、単に数が多いからだけでなく、派生の種類が多いかららしい。今倒したゴブリンチーフをはじめとして、ゴブリンシャーマン、ゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジなどの様々な種類の派生がおり、群れになると非常に対策がしにくい。さらに、それぞれが持つスキルも集団戦で効果を発揮するものが多いらしい。ちなみにここに書いた内容は、図書館で読んだことだ。


 さて、次の獲物はあのゴブリンアーチャーかな。弓を引き絞るゴブリンアーチャーに視線を定める。狙いはさっきと同じで、心臓を貫く。声を上げさせる暇もなく仕留める。

 …そう思っていたら、冒険者の方から急に鋭い矢が飛んできて、ゴブリンアーチャーの喉元に当たった。振り返って見てみると、そこにはレンさんが弓を構えていた。

「一体やったぞ!行け!」

 その声を合図に、後ろにいた冒険者たちも一斉に突っ込んでいく。統率が取れなくなったゴブリンたちは、冒険者になす術もなく次々と倒れていく。

 その時だった。森の奥から、木々がへし折られるメキメキという音が聞こえた。振り返ってみると、見上げるほどの巨躯に灰色の皮膚が見える。

「グォオオオオオオオ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オーガ 種族:魔物/亜人種 年齢:19

レベル:29

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あの時の、オーガが現れた。

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