10 思いの強さって
「お前、結構大胆なこと言いやがって」
「王子達を出し抜いて宝を総取りする気か」
カシア達がフーゴの発言に目を丸くする。
「でも、お前この枷どうする気だ」
「どうにかなるよ」
「いや、その根拠をなー」
カシアに対し、フーゴは答えもせずにこにこと笑顔を返す。それを見て、カシアは一旦言葉を切る。
カシアはニームの肩をつかんで耳打ちする。
「こいつ、あほなのは間違いないんだが、ただのあほではないんだよなあ」
「なにか、いろいろ腹に一物抱えてるだろ。この笑い方……」
「知ってることを全部喋ってる感じもしないしな」
「なのに協力しろはずっと言ってくるんだよ。怖いよ、こいつ」
距離が近いので、彼らの会話はフーゴの耳に届いている。聞こえてはいたが、フーゴは笑顔を絶やさずにいた。
「王子達を出し抜くとして、お前に宝を総取りされて俺らにどんなメリットがあるんだ」
さすがに何の説明もなしではついてきてくれないだろう。フーゴは己の見解を述べる。
「ダンジョンは攻略者の願いを叶える。その願いの叶え方で俺達は自由になれるはずだ。こんな枷なんて、枷になってないね」
「まだ何もなしてないのに、それを当てにしてんのか」
「うーん。そんなあほなご都合主義な」
「なんと言われようとも、俺はそれに賭けている」
フーゴが言い切ると、カシア達はあきれ顔を互いに見合わせる。
「こいつの根拠のない自信と自分の思い通りになると思い込んでる我の強さ、すごくプラウド王家の人間らしい性格っぽくね」
「ああ。思った。すっごくそれっぽい。傲慢さが薄いのが救いかな」
「いや、そこそこ傲慢だぞ、こいつ。強引に人のこと巻き込んでくるし」
「人たらし力がもうちょい強ければねぇ。よりそれっぽいんだけど」
「今の王家の人間に人たらし力ある奴いるかー?」
カシア達の会話が徐々にずれていく。フーゴは軽く咳払いをした。あまりゆっくりしている時間もないのだ。今この間にも、ヒースは先を進んでいる。
「とにかく、一緒に攻略を進めよう。それぞれ得たアイテムは自分のものとする」
「でも、協力したところで攻略者は一人になるんだろ。どうしたって不公平感はある」
「攻略者を選ぶのは、ダンジョンの方だ。選ばれるのは攻略する側の熱量の強さ次第だ。つまり、本人のがんばり次第で誰だって攻略者になれる。協力するしないは関係ない」
「えー、つまりお前が言いたいのは、どう攻略しようが攻略者になるならないが運次第ならば、協力して攻略を進めた方がより堅実だと」
「そういうこと」
言いたいことを上手くまとめてもらったので、フーゴはうんうんとうなずく。
うなずきつつ、フーゴ自身は攻略者になるのは運次第とは言えないのではないかと感じていた。
「正直、こいつに乗りたくはないが、ああいうデカブツと一人で戦うのもきついんだよな」
カシアが部屋にある石像を指差す。それを見て、ニームはふむと頷く。
カシア達は完全に納得してはいないものの、より有利にダンジョン攻略に挑むには、一人より複数人の方が良さそうであるとは思い出していた。
「……じゃあ、行くか~」
「ええ~、う~~ん……」
カシア達は歯切れ悪くも、フーゴと行動を共にすることにする。
「あ、無理。どうぞ置いて行って……」
「諦めんなあ!」
再び飛び飛びにしか床板がないゾーンが出現したため、ニームが意気消沈する。それをカシアが叱咤する。
三人はまたはぐれたり合流したりを繰り返しながら、ダンジョンを進んだ。




