胸騒ぎ
主人公視点再開です
結局3分遅刻したものの、
着いた時にはまだ席に座っていない生徒も多く
なんとか紛れ込むことができた。
「えー、そしてエドワード三世は羊毛輸出を禁じました。そうなると困っちゃうのはフランドル伯よね。
やがて反乱軍に追放されて、フランドル都市の統治もエドワード三世の手に渡りました。」
斜め前の席の海谷は早くもうつらうつらとしている。
この先生の授業は容量を得ないからな…。
第一、新しい単元を始めるときはまず、全体の流れを大まかに把握させるのが鉄則だろう。
それから時系列を追って主要な事柄を説明して行く方が、こっちも効率的に覚えられる。
まぁ、いいけどさ。
それより俺は、さっきから授業どころではない。
全力で考えないようにしているのに脳裏を離れない…
あの、水面の現象のせいだ。
いつもの通り湖を眺めていた。
光の反射で煌めく水面、静かな波紋。
美しい景観だったが、それ以上でも以下でもなかった。
それなのに…。
次の瞬間、俺の眼に映ったのは、その水が勝手に持ち上がり、
凄まじい速さで回転し始めた様子だった。
ドクンと、全身の血が波打つ感覚が走った。
そして俺が立ち上がった瞬間、それは砂の山のように崩れ落ち
何事もなかったかのように湖に鎮座した。
誰かに話しても信じて貰えないだろう。
笑われるか呆れられるか、機嫌が悪ければ怒られるかもしれない。
でもあれは夢でも幻覚じゃなかった。
この胸騒ぎは…何だろうか。




