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92 淡井恵子の番外編2



そのような中、桃が自宅を出て実家で暮らしていることを

恵子は母親から聞いた。


恵子の母親はあの事件があったあと、娘のせいで不幸になってしまった

桃のことをずっと気にかけていたため、桃が夫である俊と一緒に暮らして

いないのはすぐに分かった。


……というのも、時々桃の実家周辺というか、ぶっちゃけ実家の様子を

見に出かけていたのである。


ちょろっと実家の前の道路を歩くだけですぐに分かる。


奈々子のものと思われる子供服、桃のモノと思われる衣類などが

庭先で干され、はためいているのが見受けられたからだ。



恵子の母親が桃や滝谷家に対して申し訳なく思う気持ちがあるのも

本当だったが、一方で彼らのその後の行方に対する好奇心みたいなものを

抑えられなかったということも否めなかった。


それでずっと偶然を装い定期的に滝谷家の前を通っては桃がずっと実家で

暮らしていることを気にかけていた。


当初は恵子の気性を(おもんばか)り、娘には教えなかった。


俊が一人で暮らしていることを知り、娘がまた俊に執着しだすと

面倒なことになるからだ。



ただ二つの年を跨ぎ、恵子の会社に独身男性が例年になく異動で数人着任し、

その中の一人といい感じなのだと聞いた折に、桃の今の現状を娘に話したのだった。



だが残念ながら娘の頭の中はそのなんとやらという異動で来た男性のことで

埋め尽くされていて、まったく自分が告げたことなど眼中になく、

桃のその後の辛い人生を慮る節はまったく見受けられず……。


しみじみと……我が娘の残念さ加減を再度認識させられた恵子の母親は、

なんともいえない気持ちになるのだった。





『自分はどこで育て方を間違ってしまったのか……』と。

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