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その後一か月、脚の状態は一進一退ではあるが歩けないという状況からは
抜け出せたみたいで、長い距離を歩くことは無理だったが家の中を歩いて
家事をする分には慣れも手伝ってか十分で、脚も気持ちも落ち着くことが
できた。
そして本当にたまたまなのだがマンションのロビーで顔見知りの仕事帰りの
近所の人に会い、久しぶりなこともあり立ち話をした時のこと。
脚の話をすると、なんとその人の妹が同じような病気だと聞く。
それで妹さんが通っている医院を教えてもらって
私は行ってみることにした。
私が通っていた医院よりは少し遠方だったけれど、先生がやさしい人で
説明や指導が丁寧だと聞く。
行かない手はない、よね。
私は母親に頼んでまたまた整形外科を訪れた。
脚回りが痛かったのでてっきり股関節が原因かと思っていたら痛みの原因は
他にあると説明を受け『心配しなくても、たぶん治癒しますよ』と
言ってもらえた。
ほんとに最初に掛かった医師の手術しないと治らない発言はなんだったのだろうと
怒りを覚えたけれど、終わりよければ全てよし……だよね。
今は直すことだけを考えて、食生活などにも気をつけ、脚や背中、首筋などの
調子を見ながらストレッチやマッサージで筋肉をほぐし、適切な枕選びで
寝姿勢を整えたりと効果的な改善を図りながら、丁寧な日々を一歩一歩
重ねていこうと思う。
新しい病院で安心できる説明を受けるまでの、手術しないと治らないと
言われていた期間、不安で胸が押しつぶされそうだった私を精神的にも
物理的にも支えてくれたのは俊ちゃんだった。
家のことや奈々子のこと、随分フォローしてもらってる。
立ったり座ったりがキツイので風呂掃除やトイレ掃除も、しゃがまないと
できない部分は率先してやってくれるのですごく助かる。
私もできないできないって、甘えるだけじゃなくて道具を上手く利用して
できる範囲のことは頑張ってる……けど、フォローが全くないのと、
かなりフォローしてもらえるのとでは、精神的物理的負担がぜんぜん
違うから、有難い。