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✿ 桜の華 ― *艶やかに舞う* ―   作者: 設楽理沙


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89 ◇大切にしてもらって幸せ



 その夜、寝室で、早速俊ちゃんに朗報を報告した。

 


「よかったな、桃。後はゆっくりマイペースで治していけばいいさ」


「俊ちゃん、負担掛けてごめんね。いつもありがとう」


 俊ちゃんが私の頬をやさくし撫でながら囁いた。



「俺だっていつ病気になるか分かんないからさ、その時は桃に世話になると

思うからおあいこだよ」


「うん……俊ちゃん、私……俊ちゃんから大切にしてもらって幸せ」


 俊のキスがそっと私の唇に落とされた。

 そして夜も更ける頃、こうして私たちはそのあと手を繋いで眠りに落ちた。



 翌朝、早くに目覚めた俊が、隣のまだ眠りを貪り続けている桃の寝顔を

切なげに眺める姿には、そこはかとなく哀愁が漂っていた。


『はぁ~』今のこの幸せが明日にも終わってしまうのか、はたまた、ずーっと60才になっても70才になっても続いているのか……神のみぞ知る、って

いうことなのだが……。


自分たちの関係が日々深まるにつけ、今の幸せに反して一層苦しくなるのだ。


 あまりの苦しさに、桃に自分の罪を白状し、許しを請いたくなる。

 その上で、許された上で、幸せになりたいと思うようになるのだった。



          ◇ ◇ ◇ ◇


 初回の診察時の時に『最初にかかった医院でもらっている痛み止めは

まだ残ってますか?』と訊いてくれた医師は、二度目三度目の診察時にも

必ず丁寧に聴き取りをしてくれた。


「痛みはまだありますか?」と三度目に訊かれた日に「ありません」と

私が答えると「じゃあ、念のためレントゲンを撮りましょう」と言い、

レントゲンを撮った。


「良かったですね。治癒されてるのではないでしょうか。

もしまた痛みが出た折には来院してください」



「先生、お世話になりありがとうございます」




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