表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/108

79

79    




奈々子は祖父が父親を迎えに出かけた後で、祖母に呼ばれ、

あるお話を聞かされていた。



自分の母親がある一定の期間の記憶をなくしてしまっていること。

そして父親である俊と別居していたことなども忘れてしまっていること。


だから別居していたことをしばらくの間母親には黙っててあげてねと

言われている。


混乱させてしまってお母さんが辛くなると困るからね、と。



「奈々ちゃん、おばあちゃんとお約束できる?」



「うん。だけど……もしもお父さんと暮らしてなかったことを

お母さんが思い出したらどうなるのかなぁ」



「また、このお家に帰ってくるでしょ、たぶんね」


「奈々子はお父さんと一緒に暮らしたい……」


「じゃぁ、お母さんが思い出さないうちは内緒にしとこうね。

しー、だよ」


「うん、分かった。しー、ね」



こんな風に用心して、奈々子にも別居していたことについて母親の桃には

内緒にすることとして、康江から戒厳令(オオバ―やな)が敷かれていた。


普段は月に二度ほどしか会えない父親の迎えで母親と帰っていく

奈々子の表情は、喜びで明るく輝いているのが見て取れた。



「お父さん、送ってくれてありがとう。

帰り道、気をつけてね」



「お義父さん、ありがとうございました」



「いや、俊くん宜しく頼みます。

桃、奈々子、また遊びにおいで」



俊や桃、そして奈々子の見送りを背に受けて邦夫は車に乗り込む。



「俊ちゃん、疲れてるのにごめんね。ありがとう。


お母さんがお魚と豚肉持たせてくれてるからすぐに簡単な食事作るわね」



「ああ、楽しみだ」



久しぶりの妻の手料理だと思うと俊は本当に楽しみで心が弾むのだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ