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75 ◇復縁は難しい

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◇復縁は難しい


俊は実家でその後、一か月ほど養生した(のち)、自宅へと帰り

ひとりの生活を続けていた。



桃の精神的状況から離婚やむなしと考えていたが、桃の実家である

滝谷家からは催促の連絡が来なかった。



それでそれをいいことに、自ら積極的に離婚を進めることはしなかったのだ。



ただ離婚の話を持ち出されることはなかったが、有難いことに桃の母親である康江から

月に一度か二度、奈々子を会わせるため自分が家まで連れていきましょうか、という

打診があった。



俊は例え娘に会わせてもらえずとも、婚費は妻と娘の為に送り続けるつもりでいたが、

やはりその申し出はうれしいものだった。



その時から俊は月に二度ほど奈々子に会えるようになり、娘の成長振りを

見ることが生きる張り合いになっている。



近頃では奈々子が泊まって翌日のお迎えで帰ることもある。



そして最近では、送迎に来た時の姑の康江の口ぶりから、娘の桃と俺との

復縁を願っているであろうことが話の節々から感じられる。


だがそれ以上の具体的な話が彼女の口から出ないということは、

いわずもがなのことなのだろう。


相変わらず、桃の心を開くことはむずかしいということだ。


          ◇ ◇ ◇ ◇



そのような状況の中、更に月日は流れ……。


俊と桃が離れて暮らすきっかけともなったあの事件から4年目を迎えようと

していたそんなある日のこと。



桃は、風邪薬と痛め止めの薬を一時間とずらさず、うっかり服用してしまった。



痛め止めはここ一週間、脚の付け根に痛みを感じていたからだった。

立ち仕事なのでそのせいなのだと考えていた。



一度に飲んだ形になった薬の服用が良くなかったのか、はたまたストレスなどの

せいなのか、翌日起きると再度の記憶障害を発症してしまい、とんでもないことに

なった。







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