表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
✿ 桜の華 ― *艶やかに舞う* ―   作者: 設楽理沙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
68/108

67 ◇私だって幸せになりたい


―― 水野俊をホテルのラウンジに呼び出した恵子はその時 ―――




「今日は来てくれてありがとう。

 桃に私たちのことがバレちゃってから会えなくなって、寂しかったのよ」



「淡井さん、約束忘れましたか? 

 妻との間で僕とは今後一切会わないと約束してますよね? 

 それで妻はあなたから慰謝料取ることをやめたのですから」



「分かってるわ。

 だ・か・らぁ~、こうして会うだけでいいのよ。


 たまにこうしてお茶して、お話をして、それだけ。

 デートを楽しむだけなんだから。


 以前のようにホテルに入るわけじゃあないわ。

 桃だってこれなら文句言えないんじゃないかしら。


 だいたい、こんな素敵な人(水野俊)を独り占めするなんて

桃は心が狭すぎるのよ」



「淡井さん、この際桃のことは関係なくてですね、僕の気持ちなんですよ。

 僕はあなたとのことをものすごく後悔しています。


 桃に許しを請う日々の中で、例え昼間のただのデートであっても

許されない行為だと捉えていますし、許すだとか許されないだとかと言う前に、 僕が……僕自身が妻だけを想っていたいのです。


 僕は妻を愛しています。


 今も、そしてこの先も愛するのは……

大切に想うのは……

妻の桃だけですから、今後あなたと会うことはできません」



「もう、水野くんったらぁ。

 そんな建前はよそう? 分かってるって。


 だってこうして会いにきてくれたんだもの、桃の手前そう言うしかないのは……アッ」


 なんとか分かってもらおうと話し合いに来たというのに、目の前に座る

おかしな女は的外れな返事しかせず、困った人だなぁと思っていたら――

彼女は突然前方を見つめたまま、次の言葉も発せず固まってしまった。



 誰か知り合いでも見つけたのかと、彼女の視線の先にいる人物を見るために

俺はそちらを振り返った。



 すると桃がいて、こちらに向けて歩いてくるのが見えた。


 いけないっ、ちゃんと説明しないとと思い俺は席を立ち──

「桃、違うんだ、聞いて……」と話しかけた。



 手が届きそうなところまで桃が来た時、彼女が無表情で俺の腹辺りに

拳か何かで叩くような……

つつくような……

仕草をしたように感じた。



 怒ってるんだろうなぁ~、けど仕方ないよなぁ~、後でちゃんと

説明しなきゃなーとか考えていたら、ブアッと足元から力が抜けて

スルスルと自分の身体が床の上に崩れ落ちるのが分かった。



 この時自分の腹の辺りに刺さっているナイフを見て、初めてさっきの衝撃は

手の拳などではなくてナイフだったことを悟る。



 とうとう自分の不注意で、刺されるほど桃に嫌われてしまったことを知り、

ただただ悲しみに暮れながら俺は意識を手放した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ