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✿ 桜の華 ― *艶やかに舞う* ―   作者: 設楽理沙


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46 ◇問い詰める



 その日、俊は精神的にも肉体的にもヨレヨレになって帰宅した。



 いつものように桃が準備してくれた食事を食べ、普段あまり飲まない

ビールを飲む。


 この(かん)、桃は奈々子を風呂に入れていた。



 奈々子と入れ替わりでその後入浴を済ませ、リビングでまたビールを

ちびちびと飲む。


 たまに飲むビールは頭と気持ちを弛緩させてくれて心地よかった。


 だから……奈々子を寝かせつけてリビングに現れた妻に対して、

気負いなく芸大での仕事の話を持ち出すことができた。





「桃、今日も例の仕事へ行ったんだ?」


「うん、行ってきたわよ」



 黙っていようと思っていたがやはり我慢できなくなり、酒の力を借りて

俊は桃に芸大の仕事のことを切り出した。



 そんなふうに切り出したものの、しれっと平気な顔をして行ってきたという

妻の態度にやはり苛立ちが募るのだった。


 そしてその瞬間、昼間見たシーンがバッと脳内に蘇り、自分を抑えられなくなった。



「で……留飲が下がった?」


「なに……ぃ」


「誘惑してただろ? 大学の先生をさ……」



 俺から、見ていた者だけにしか分からない言葉を投げつけられ、妻は

訝しむ表情で俺のことを見てきた。



 その目は何かを探るような瞳をしていた。


 そして突然何かが降りてきたかのような閃きを得たようで、めいっぱい

その目を見開いて呟いた。



「まさか、俊……来たの? 今日来てたの? 

……でも、えっ、まさかねそんなこと」



 通常カーテンの閉まっている部屋になっているのだから、妻の概念としては

俺が大学に万が一来ていたとしても中を見ることはできないはずと考えるのが妥当だろう。


 だから、よもや自分とあの男とのキスシーンを見られているはずなどないと……見られていたかもしれないという可能性を必死に打ち消しているのかもしれない。



 あの時カーテンは確か……? 

 などと過去の記憶を辿ってでもいるのだろう。 



 さて、彼女はあの時カーテンが開けられていたことに気付くのか……

どうだろう。





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