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✿ 桜の華 ― *艶やかに舞う* ―   作者: 設楽理沙


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33 ◇ドストライク

 


 ちょうど桃が入社してきた頃、俊は同じ店舗にいた。

 桃が一年目で店舗社員、三年目の俊は店長だったため。


 この時の店舗では女性は時短で働く既婚のパート社員が2名、男性社員は

店長の自分だけで社員の桃を入れて4名で回していた。


 3年目の俊は本来ならばジョブローテーションにより販売企画部に配属される

はずだったのだが、店長になるはずの社員が病気で退職してしまったため、もう

1年残留することになってしまったのだ。


 辞めていった店舗社員は男だった。


 真面目で勤勉な後輩だったのでたった一年で辞めなければならなくなった

ことはさぞかし無念だったのではないだろうか。



 そんな中の女性社員入社に、店長を1年延長してやることになったのも

案外悪くはないと思えた。


 パートの女性たちはふたりとも身長が155cm前後でそう高くはなく、

当時入社した滝谷桃は162cm前後と少し高めで体型はスレンダーだった。



 システム業務の社員や事務方のいる本社が近くにあるため、同期や後輩、

先輩たちとの交流は度々というわけではないが、社内のイベントなどで

ほどほどの交流はあった。



 その頃、俊は総務にいる女子社員や人事部に在籍する女子社員から

それとなくアプローチを受けたりしていたものの、今ひとつ乗り切れずに

いた。


 学生時代からアプローチされて付き合うパターンが多かったのだが、

好かれて付き合う割に最後振られるのは大抵俊の方だった。


 どんなに頑張っても心から向き合ってくれない相手なんて……

最後は愛想をつかされるのがオチというものだ。



 そんな風にこれまで真剣に好きになれる女子のいなかった俊が、

桃に10日程付いて仕事をレクチャーするうち、あっという間に

彼女に魅了されていった。


 とにかく、桃は身体つきから顔つきまで俊のド真ん中、ドストライク

だったのだ。


 気がつけば体中に電流が走るほど好きになっていた。


 見た目は勿論のこと、会話しているときの話し方やしぐさ、仕事の受け答え

など、どれを取ってみても俊の胸に刺さるものがあり、好き過ぎる自分の気持ちに

本人が一番驚いたものだ



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