20
20
洋服を着終えて教授の待つ教室に戻ると椅子に腰かける間もなく
「合格です。早速今週の水曜日に来ていただけますか」と言われた。
「来られた時にこちらの吉田から説明があると思いますので、指示に従って
いただければ問題ないかと思います。
心配なのは水野さんの精神面ですが、初めての裸婦モデルということのようですが
気持ちのほうは大丈夫でしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「もし、途中でどうしても我慢できなくなった場合はシミーズを用意して
おきますのでそれを着用してもらって構いませんよ」
「お気遣いありがとうございます。
……今までのモデルさんでそういうこともあったのでしようか?」
私が質問を投げかけると今まで存在感の薄かった吉田照子が
私の質問に答えてくれた。
「おひとりだけ……いました」
「その人は辞めてしまわれたのですか?」
「はい。ずーっと下着はつけたままで、シミーズを着用して1年続けられて
その後家庭の事情で辞められました」
「へぇ~、そうなんですか」
「ちなみに水野さんはどれくらいの期間お仕事できそうですか?」
またまた吉田さんから聞かれ、私は植木教授の顔と吉田さんの顔を交互に
見ながらふたりに向けて、私は半年ごとに契約が継続できれば有難いと
答えた。
たぶん何年にも亘って続くモデルはいないのではないだろうか。
ふたりは即座に納得してくれたので、この辺の様子でそうなのでは
ないかなと思った。