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そうだ、王子辞めよう!〜婚約破棄(する側!?)から始まる転職活動(自称)無能な王子は廃嫡を望む!?〜【コミカライズ連載中】  作者: にゃんパンダ


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第74話「断捨離作戦④」

「な、何故ですか殿下!?ちゃんとシロクマの剥製と台座に金を仕込んで贈ったではありませぬか!?」


 でっぷりと肥え太った中年のおっさんが追い詰められ、必死で私に助けを求めた。


 あのシロクマはお前か……というか、台座の中に金とか分かりづらいだろうが。


 後から取り出さないと……ではなくて、


「黙れ!」


 取り敢えず、一喝。


「ひっ!?」


「私が本心から賄賂など喜んで受け取った思うのか!愚か者め!」


 本当は喜んで受け取りました、ごめんなさい。


「なっ!まさか……」


「漸く気づいたか、あれは悪党どもを燻り出す為の罠だ」


 嘘だけど。


 悪いな、保身の為だ。


「くっ……これまでか……」


 私のその言葉で男は観念し、力無くうなだれた。


 よし、一丁上がり。


 と、ちょうどそこで、伝令がやってきた。


「マクシミリアン殿下、ルー伯爵邸内全てを確保しました。敵味方、双方死傷者ありません」


「ご苦労、引き続き事後処理を頼む」


 私はしかつめらしい顔で指示を出した。


「はっ!」


 そして、敬礼すると伝令の近衛歩兵は足早に邸内へ戻って行った。


 ふむ、順調順調。


 くくく、いいぞ……私のスローライフがまた一歩近づいて来た。


 あ、皆様どうも、絶賛遠征中のマクシミリアンです。


 たった今、Aグループの目標一件目を無事制圧したところです。


 頑張って準備した甲斐あって、スケジュールは順調そのものです。


 このまま午後に二件目、そして明日には主犯格の貴族をサクッと捕られそうです。


 いやぁ、まさかここまでイージーモードとは思いませんでした。


 今回の作戦は完全に奇襲が決まり、どの貴族も包囲されると、早々に戦意を喪失するのです。


 まあ、朝起きたら千人に包囲されていたらやる気もなくなりますよね。


 あ、因みに私の指揮下にあるAグループの陣容は、歩兵約千人、騎兵約三百騎、他に本部要員等二百人と言うところです。


 ただし、装備は軽装です。


 何故なら今回は機動性を重視しているからです。


 不正を働いた貴族を摘発することが目的であり、正面からぶつかり合って戦争をすることが目的では無いからです。


 まあ、簡単に言えば強盗犯と対峙する警察に戦車や戦闘機はいらないよね、という感じです。


 なので工兵や砲兵、マスケット銃兵(火縄銃兵)などは連れてきていません。


 因みにこれは余談ですが、マスケット銃兵の銃はまだ黎明期の為、魔法少女のマ○さんが持っているような立派な物ではありません。


 ライフリングどころか銃剣も無ければフリントロック式でもなく、更に重過ぎて支える棒が無ければまともに扱うことも出来ない代物なので、苔脅し程度にしかならないのです。


 閑話休題。


 話を戻すと大規模な戦闘にならないように情報を隠蔽し、その為に今回は奇襲で行く訳です。


 まあ、これだけ大掛かりな作戦なので、何かしら情報が漏れてもおかしくは無いですが……。


 そこは祈るしかありません。


 ですが、流石に悪徳貴族達が前もって情報を手に入れて、完全武装で待ち構えている可能性などほぼないでしょう。


 うん、きっと大丈夫です。


 さあ、二件目だ。


 一件目を午前中に処理し移動、正午過ぎには予定通り二件目に取り掛かった。


 因みに、二軒目の貴族はペリン子爵、先代夫妻が早くに亡くなり、若くして爵位を継いだボンボンとのこと。


 性格は短気で我儘、自分の好きなもの、好きなことなど、興味を持ったものへは異常な執着を持ち、ついでに特殊な性壁も持っているらしい。


 現地に到着すると、我々は早々に対象のペリン子爵邸を包囲した。


 そして、いよいよ各班が邸内へ数カ所に分かれて侵入する訳だが、なんと今回は私も突入班に同行している。


 え?何故、指揮所にいないのかって?


 いやー、実は一回こういうのを間近で見てみたかったのですよ。


 ほら、警察に密着する番組とか、あんな感じのやつに男なら一度は憧れますよね?


 そういう訳で、今回は無理を言って、危ないことはしない、という約束で同行しているのだ。


 まあ、レオニーも赤騎士もいい顔をしなかったが。


 で、今はレオニーと赤騎士を先頭に邸内に侵入するところだ。


 忍び装束的な装備のレオニーが、音も無く近くの窓から先に侵入し、内側からドアを開け、我々を導いた。


 おお!レオニー凄い!スパイ映画みたいだ。


 続いて邸内に侵入、後に続く歩兵達が次々と各部屋の確保に動く。


 そして、我々はついに一つの扉の前にたどりつく。


 そこは事前に入手した図面によると、数十畳分もある大広間で、事前に買収した使用人によると現在ここに対象のペリン子爵がいるらしい。


 全員、音を立てないように部屋の前に集まり、まずレオニーがドアを僅かに開けて中を確認し、こちらを見て頷いた。


 よし、折角なので私もドアから中を覗いてみよう。


 オラ、ワクワクすっぞ。


 私は静かに移動し、ドアの前にいるレオニーと触れ合うぐらいの距離まで来た。


 彼女は私に気づいて一瞬驚いた表情になったが、直ぐにいつものポーカーフェイスに戻った。


 何故か顔が少し赤かったような気がするが、気のせいだろう。


 悪いなレオニー、好奇心を抑えられなかったんだ。


 後で礼はするから許してくれ。


 と、私はドキドキしながら隙間から中を覗いたのだが、そこには……美少女メイドを組み敷いた白豚がいた。


 いや、豚のような人間がいた。


 おいおい、テンプレ過ぎだろう……。


 部屋の中では現在、白豚子爵が美少女メイドの身体を嫌らしく触りながら、ぐふふ、と気持ち悪く笑っていた。


「怖がらなくてもいいんだよ、アリスたん」


 そして、彼女のほうを撫でた。


 それに対してアリスと呼ばれた若いメイドは恐怖と嫌悪で震えながら、


「ひぃっ!お、お止め下さいませ旦那様!私には心に決めたお方が……」


 涙を浮かべ必死に抵抗している。


「ぐふふ、そんなこと言って、本当は嬉しいんだよね?アリスたん」


 だが、白豚には全く話が通じない。


 そして、白豚は遂に我慢できなくなったのか、片手でアリスの顔を強引に掴み、ゆっくりと自分の顔を近づけた。


「い、いやぁ!」


「ぐふふ、アリスたーん……ぶぎゃ!」


 しかし、二人の唇がくっつくかどうかギリギリのところで何かが白豚の頭を直撃し、そのまま彼はのたうち回った。


 一方、その隙にアリスは何とか逃げ出したようだ。


「痛てて……な、何だ?これは……金貨?だ、誰だ!?僕にこんなことをしたのは!?」


 そこで漸く白豚は自分の頭に何者かが金貨を投げつけたことに気付き、腹を立て、怒り狂いながら周りを睨みつけた。


 そこで私は思わず、


「悪党め、そこまでだな」


 その場のノリで部屋に入り、それに答えてしまった。


 ああ、やっちゃった……ヤバい、後でレオニー達に怒られる。


 あ、勿論金貨も私が投げました。


 たまたまポケットに十万ランス金貨があったので。


「だ、だから誰なんだお前は!?」


 いきなりお楽しみを邪魔した侵入者にペリン子爵が苛立ちながら重ねて誰何してきた。


 それに対して私は不敵な笑みを浮かべながら、


「うつけ者め!欲に目が眩み、私の顔も忘れたか!」


 と、言い放った。


 まあ、殆ど会ったことは無いけど。


「はあ?僕はお前なんて……はっ!殿下!」


 意外にも記憶力が良いらしい彼は私の正体に気が付き、そしてガバッと平伏した。


 こいつ、意外とノリが良いな。


 だったら私もそれに答えねばな!


「ペリン子爵、ラザール=ペリン。その方、子爵・領主という地位にありながら、多額の税をかけて民を苦しめ、更に政府中枢に多額の賄賂を贈りそれらを隠蔽。一方、自らは毎日贅沢三昧、あまつさえ無垢なメイドを己が毒牙にかけようとは許し難い!大人しく腹を切れ!」


 おお、なんか上様っぽく決まったぞ!


「「「!?」」」


 しかし、何か反応が微妙だなぁ……何故か白豚だけでは無く、味方も驚いているし。


 何で?


 と、そこで白豚子爵自らが答えてくれた。


「殿下!幾ら何でも酷いよ!自分でお腹の脂肪を切り取って詫びろなんて!」


 いや、お前の豚トロなんていらねーよ……。


 ん?ああ、そうか!この世界では、切腹の文化?なんてないから訳がわからないのか!


 ああ、なるほどね!


 私がそんな下らないことを考えていると白豚は、


「もう怒ったぞ!皆!出てこい!」


 そのように叫び、そして奥の扉からワラワラといかにも手下という感じの連中が登場した。


「こんなところにマリシミリアン殿下がいる筈がないんだ!こいつはその名を騙る偽物だ!やっつけろ!」


「「「はっ!」」」


 え?まさかの抵抗!?


 仕方ない、こうなったら……、


「レオさん!赤さん!懲らしめてやりなさい!」


 プロに任せよう。


「「はっ!」」


 それと同時に二人は手下共の方へと向かって行った。


 そして乱闘開始。


 と言っても一方的な蹂躙だが。


 因みに戦闘で役に立たない私は後ろで高みの見物だ……などと思いながら邪魔にならないように端の方へ移動した。


 しかし次の瞬間、赤騎士の見事な回し蹴りで吹き飛ばされた白豚が私にヒットし、そのまま私共々たまたま後ろにあったドアをブチ破り、隣の部屋に転げ込んでしまった。


 くっ!赤騎士め、後で覚えていろ。


 私はふらりと立ち上がり、そこでふと視線を上げると、そこで同じく吹き飛ばされた白豚と目が合った。


「「……」」


 一瞬の沈黙。


 だが次の瞬間、唐突に白豚が喋り出した。


「お、王子!よくも僕をこんな目に合わせたな!幾ら王子でも許さないんだからな!」


 知るか!悪行の数々は自分の責任だろうが!


 と、私が心の中で毒突いていると、更に捲し立ててきた。


「僕は元々お前のことが大嫌いだったんだ!何より許せないのは、セシルたん、マリーたん、それにアネットたんまで独り占めにしてることだ!許せない!」


 それこそ知るか!


 彼女達は私のものなんかではないぞ!


「あと、超美人で巨乳のメイドのレオニーたんまで侍らせて!きっと、毎日取っ替え引っ替えヤリまくってるんだろう!?この軽薄ヤリチンイケメン無能王子が!何て羨ましい!一人ぐらい僕に分けろよ!」


 好き放題言いやがってこの豚野郎!もうキレたぞ!


「あ゛あ゛コラ?誰がヤリチンだ?お前のような奴にだけは言われたくない!あとセシル達はお前なんかには相応しくない!そもそも名前を口に出すな!穢れる!」


「ブヒッ!この期に及んで……いや、そうか!お前、毎日全員と5○してるのか!?だから一人も渡したくないんだな!?」


 このデブ……頭大丈夫か?


「きっとコスプレとかさせてるんだろう!?ああ!羨ましい!四人とも僕がめちゃくちゃにしてやりたい!特にセシルたん!きっとメイドコスが似合うはずなんだな、それで僕がこの手で犯し……ブキャッ!?」


 気がつくと私は右ストレートを叩き込んでいた。


 我ながら品の無いことだ。


 更に白豚が吠えるが、


「な、何するんだ!親にもぶたれたことないのに!」


 対して私は、


「いい加減にしやがれ豚野郎!」


 と、叫びながら掴みかかっていた。


 何故か、知り合いの女性達のことをこいつが口に出しているのが許せなくなってしまったのだ。


 突然のことに白豚子爵は動揺を隠せない。


「ひっ!な、何を……」


「黙れ!セシルは、いや、彼女達はお前が口に出していいような安い女ではない!」


 そして更に二、三発拳をお見舞いしたところで、


「くぅ!もう怒ったぞ!ぐおー!」


 白豚は反撃を開始。


 両手をクルクルと回しながら突っ込んできた。


 いわゆるポカポカパンチと言う奴だ。


 だが、意外にもこれが結構強い。


 何故なら、パンチそのものはほぼノーダメなのだが、質量そのものが凄いので突っ込んでこられると、そのまま押し潰されそうになるのだ。


 だが、私に意地があるので臆せず正面から再び掴みかかりに行き、そのまま倒れ込んで床で醜く殴り合いだ。


 こうして広間での戦いの横で、私と白豚による場外乱闘が始まったのだった。


 数分後、白豚はそのトロそうな体型で意外に粘り、まだ私と肩で息をしながら向かい合っていた。


「く、しぶといな。だが、もう限界じゃないのか?」


「ハァハァ……。くぅ!何でだ!何でお前は僕の夢を邪魔すんだ!お前ばっかりいい思いしやがって!僕だってお前みたいに、メイドコスのセシルたんやレオニーたんとご奉仕プレイをしたいんだ!」


 まだ白豚は訳のわからないことを喚いている。


「まだ言うか!いい加減にし……あ」


 そう叫ぼうとしたところで、


「ん?何だよ急に……え?」


 そこで白豚子爵はガシッ!と、両肩を後ろから掴まれた。


「え?な、何!?なんだ!?」


 混乱しているそれを無視し、


「殿下、ご無事ですか?」


「遅くなり申し訳ありませんでした」


 赤騎士とレオニーが話しかけてきた。


「ハァハァ、……ああ、大丈夫だ」


 それに私は荒く息をしながら何とか答えた。


 と、そこで急に二人の雰囲気が鋭くなり、声のトーンが落ちた。

 

「左様でございますか。ところでこの白豚なのですが……如何致しますか?」


 ふむ、上様の決め台詞と言えば……これかな?


「えっと……成敗?」


「「はっ!」」


 その瞬間に驚くべき早さでソードと短剣を構えて、二人は振り下ろそうとした、が。


「あ、まだ殺すなよ?」


 ギリギリのところで止まった。


「はい、畏まりました」


 レオニーはそれに恭しく了解してみせ、そして、


「では、行きましょうか。あ、ところで貴方、私達にご奉仕プレイをして欲しいのでしたか?」


 そのように問うた。


「え?う、うん、そうだよ?」


 予想外の問いに戸惑う白豚。


 それを聞き、レオニーは恐ろしいほど冷たい笑みを浮かべ、


「そうですか、では初めましょうか、白豚の吊るし切りプレイを」


 赤騎士も兜の下で邪悪に笑いながら、


「ええ、そうしましょう。白豚の解体ショーです」


 そう続けたのだった。


「え?え?えええええ?助けてぶひぃぃぃぃぃ!」


 そして、白豚はズルズルと二人に何処かへ引き摺られて行ったのだった。


 十分後。


「お待たせ致しました、殿下」


 元のポーカーフェイスに戻ったレオニー達が戻ってきた。


「ああ、ご苦労様」


「ところで殿下、一つお尋ねしたいことがあるのですが」


 そこで唐突に質問をしてきた。

 

「何だ?」


 そして、真剣な顔でレオニーは、


「殿下はメイド萌えなのですか?でしたら今すぐメイド服に着替えて参りますが……」


 そう言った。


 ……は?


「えっ!?嫌いではないけど……あ!ち、ちが……」


 私が予想外の質問に焦っていると、今度は赤騎士が、


「あ、レオニー!ズルいです!だったら私もメイド服を着ます!」


 なんかとんでもないことを言い出した。


「!?」


 いや、お前が着たら真っ赤な兜にダイヤのネックレスをしたメイドとかいう、シュール過ぎる生き物が生まれるだけだから止めろ!


 と、そこで赤騎士が何か思い出したように話し出した。


「あ、その前に……殿下、本日の行いについてお話があります」


「いや、メイド服の話はもういいから……え?」


「恐れながら、私もです」


 更にレオニー加わった。


「え?え?」


 二人共、なんか怖い……。


「あれほど危ないことはしないとお約束しましたよね?ね?」


「そうです、それを破った結果お怪我までされて……。約束を守れないのなら同行はお断りしました」


 うわー、二人共怒ってる?


「で、でもほら、軽傷だし……」


 私は何とか言い訳をしようと試みるが……。


「「殿下!」」


「ごめんなさい……」


 失敗した。


 そして、私はそこから長時間スパイと赤い鎧にお説教され、運良くノエルが伝令役で来るまでそれが続いたのだった。

お読み頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] シロクマ剥製貴族も金を仕込んでいたか抜け目ないな おぉ~巻き込まれたのはほぼ自業自得とはいえリアンが主人公らしく身体を張って頑張りましたね今回 忍び装束レオニーは身体のラインが浮き出てそう…
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