STAGE5:出会い
オンラインゲームプレイヤーの方には多少不快な表現があるかも知れませんがご了承下さい。
会話がチャットの雰囲気を出す為に、『』での続き会話になっております。
なお、名前の酷似においては、作者の意思です。読みにくいかもしれませんが…お許し下さい。
再びのログイン。
プレスト王国中央。
城の前には色々な看板を持ったキャラクターがいた。
本によると、この看板も敵の落とし物で、装備する事により看板に文字を入れる事ができ、最大五種類のアイテムや装備を販売出来るものと言う事だ。
買い方は簡単。看板クリックすると相手が売ろうとしているアイテム等のイラストと説明書きがウインドウとして出てくる。購入したい物が見付かったら、説明書きの右下に購入数を入力して購入をクリックする。所持金が足りていれば購入が完了して自分のアイテム欄に入る。
人が多いと少しだけ動きが鈍くなる。そこから抜けて町の右側に移動した。
「とりあえず…名前右上、その下にアイコン、真ん中の上にスキル、右はマップ、左下にチャット…OK」
画面のレイアウトを変えて一息。
スキル表を出してスキルバーに当て嵌める。同時にもらった回復剤をF1に。
F2に誘導。F3にダブルアタック。F4にヒーリング。
「こんなもんかな…」
癒那はレベル三十代の狩場の一つを本から選び出した。
『夢の国』
というフィールド。
早速そこに行くための転送屋の所に行く事にした…矢先。
『キュア:やほぉ〜♪今どこ?』
と言う緑の文字がチャットバーに現れた。
「個人チャットか…んと…」
『キュア◆街の右側にいるよ』
『キュア:そのまま右突っ切って外に出てみて!』
癒那はキャラクターを右に動かす。
画面が白くなり、砂利道と木々が現れた。山道が平になったような風景。
街を出てすぐ上にある岩。そこにいる四人のキャラクター。
『キュア:きたきた』
『狗世:こんばんはぁ〜ようこそ』
キュアの隣にいる弓使いの八頭身の男キャラ。キュアの彼氏。弓道着に身を包んで背に弓と矢を背負ったさらさら茶髪のイケメン系。狗世
『ふうちゃん:こん〜お初!』
幼女キャラの黒魔導師。ロリキャラでひらひらミニスカートに上半身は黒いマントで覆い隠し、魔女の尖んがり帽子をかぶっている。ふうちゃん。
『朸夜:こんちゃぁ』
キュアと同じ白魔導師。白いスーツで胸元を開けたホスト風キャラ。朸夜。
「ちょっと…甲冑なんて私だけじゃん!なにこのおしゃれ…」
自分のキャラと見比べて愕然とした…。
『滝夜:初めまして!よろしくお願いします』
『キュア:今これしかいなかった…朸夜さんは違うんだけど、狗久さんとふうちゃんは私の部隊入ってるの、だから滝夜も入らない?』
『滝夜:いいよぉ』
キュアから部隊入隊申請が来たので、入隊を押した。
自分のキャラにカーソルを当てると名前しか出なかったのが、その下に部隊名【夢猫隊】の文字があった。
『ふうちゃん:オンラインゲーム初めてなんだって?なんでも聞いてね』
ふうちゃんが側に寄って来た。大人と子供の身長差。
『朸夜:オカマの分際で偉そうだなぁおいw』
『ふうちゃん:(゜O゜;)』
『狗世:いじめるないじめるなw』
『キュア:ふうちゃん中身は男なんだよね♪』
『ふうちゃん:さっそくばらすな!』
『キュア:えぇ〜騙されたらかわいそうだし』
『ふうちゃん:騙してなんぼだよ!』
『狗世:ロリコンだけど怖くないから大丈夫だよ滝夜ちゃん』
『滝夜:おもしろいですね』
抜けるに抜けられない雰囲気。
『朸夜:狩り行こうとしてたのか?』
『滝夜:はい、せっかくだから…』
『朸夜:おし、付き合っちゃる。待ってな』
朸夜が街に入って行った。
癒那は画面の外で少し慌てた。とんとん拍子に進む会話にオカマさん。中身が外と同じとは限らない真実…。癒那の中に新たな疑惑、騙せる、が付け加えられた。
『キュア:朸夜さんは面白い人だから楽しんで来てね(^O^)b』
『滝夜:うん♪』
『狗世:あっあいつは中身男だから!オフ会したから確かだよw』
『ふうちゃん:なんか僕悪者?』
『滝夜:ふうちゃんはかわいいと思います!』
『滝夜:会った事あるんですか?』
『キュア:ここにたむろしてる人はほとんど面識あるよ♪狗世さんともオフ会がきっかけだもんねo(≧∀≦)o』
「マジで…」
彼氏が出来たのは聞いていたが、ゲームでできたのは知らなかった…。
マズイ事言ったかもしれないと過去を振り返るが、心当たりがありすぎた。
『狗世:うんうん。ゲーム→リアルだな』
「リアル…?現実か…はぁ現実をリアルっていうのか」
『朸夜:お待たせ』
『滝夜:そのままで行くんですか?』
『朸夜:甲冑なんぞ剣士の戦闘だけだぞ?』
『滝夜:え?』
『朸夜:やりながら教えちゃる!とりあえず入れ』
そういうと朸夜がワープを開いた。
『滝夜:行ってきます!』
とりあえず挨拶して入ったが腑に落ちない。強引過ぎると、癒那は眉間にしわをよせた。
『朸夜:じゃあ借りてくよぉ』
『キュア:いじめないでよね!』
朸夜がワープにはいるとその光りの球は消える。
真っ白の中から現れたのは、いく予定だった『夢の国』
パステルカラーの床タイル。的はトランプに手足が生えたモンスターとウサギモンスターとティーポット型モンスター。
ここはティーポット型モンスター以外は、攻撃しない限り襲ってこない。
『朸夜:小隊作るから』
『滝夜:はい』
「う〜なんか嫌な奴…」
朸夜からの小隊申請を了承する。
チャットバーの空白を小隊にかえる。
『朸夜:狩り行きたかったんだろ?』
黄色で出て来る会話。それが小隊だけの会話。
「えっ…?」
『朸夜:困ってるかなって思ったんだが違ったか?』
「なんでわかったんだろ…?」
癒那は驚きで手が止まってしまった。
『朸夜:操作わかるか?』
『滝夜:わっわかります!』
『滝夜:なんで私が行きたがってるのわかったんですか?』
『朸夜:何となく』
『朸夜:はじめてだったら環境自体い慣れてないだろうし』
『滝夜:ありがとうございます♪』
『朸夜:それにほら、夜、同士だしw』
『滝夜:確かに…』
「面白い人だな」
癒那はこのゲームを始めてから初めて笑った。
『朸夜:ほら敵倒しな』
『朸夜:回復と支援はしてやるから、あとは自力でがんば』
『朸夜:速度増加』
『朸夜:攻撃力増加』
『朸夜:運気上昇』
『朸夜:回復力上昇』
『朸夜:回避率上昇』
『朸夜:防御力上昇』
全ての魔法が光の輪になって二人を包む。
『朸夜:はい、ファイト』
『滝夜:はい♪』
癒那は滝夜を動かし、F3を押しながら近くにいたハートのトランプにダブルアタックを三回連続でかました。あっという間に切れるMP。その後は通常攻撃。
『滝夜:MP切れました…』
『朸夜:最初はんなもんだ』
『滝夜:そうなんですか?』
『朸夜:俺も初めたての時は、そうだったし』
『朸夜:ある程度強い武器持ってそうだけど、後で倉庫あさってなんかあげよう』
『滝夜:そういえば、預かり場所あるんですよね』
『朸夜:銀行とロッカーな。後で連れてくよ』
そんな会話の間に三匹の敵を倒した。名前の横にあるパーセンテージが21から30なった。一匹で3上がるようだ。
『朸夜:なんでゲームなんて始めたの?』
『滝夜:キュアにどうしてもって』
『朸夜:キュアさんは結構無理矢理だからな…ご愁傷様w』
『滝夜:いえいえw一週間は無料って言ってたので…暇潰しがてらですw』
『朸夜:ほう』
『朸夜:ってか敬語じゃなくていいぞ?』
『滝夜:あっ…えっと…おいくつですか?』
『朸夜:ピチピチの二十三歳』
『滝夜:あっ同じ歳です!』
『朸夜:なら余計敬語いらんだろw』
『滝夜:なるほどw』
「…!?」
癒那はある事に気が付いた。頭の中でゲーム画面がリアルに動いていることに。
チャットの文字も、言葉みたいに勝手に相手の文字を言葉変えてしまっていた。自分の声ではない音で…。
「こうやってはまるのか…境のない世界に…」
一瞬怖くなった。
『朸夜:あんまりはまらん方がいいぞ』
『朸夜:やってりゃわかるだろうけど』
『滝夜:え?』
『朸夜:ゲームはゲームって事』
『滝夜:朸夜さんはなんでこのゲーム続けてるの?』
『朸夜:ゲームとリアル混同は見てる分には面白いし、ゲームはゲームだしw』
『滝夜:結構怖い人だねw』
『朸夜:何言うか!こんなに優しいのに』
『滝夜:実際どうすれば大丈夫かな?』
『朸夜:俺とお前は今日知り合った。でも現実では赤の他人。つまりはゲーム切ったらゲームは終わりなわけだ』
『朸夜:現実にゲームを持ち込むな。多分明日からのキュアさん見ればわかると思うよ』
『滝夜:そっか…とにかく分ければいいと』
『朸夜:簡単に言えばな(笑)』
『朸夜:因みにどんだけ上がった?』
『滝夜:あっあと?パーセントでレベル32だ』
『朸夜:それあがったら戻ろう』
『滝夜:うん』
程なくして滝夜はレベルが上がり街中にワープで戻って来た。
『滝夜:ありがとう』
『朸夜:どういたしまして』
癒那はふと時計を見た。11時半。
「やばっ寝坊する」
普段11時には床につき、6時に起きる癒那にしては珍しい。
『滝夜:ごめん!そろそろ寝ないと朝起きられないかも』
『朸夜:朝早いのかw寝ろ寝ろ〜』
『滝夜:うん。あっ拾ったアイテム』
『朸夜:いらんw』
『朸夜:あっ寝る前に部隊に挨拶してから落ちろや』
『滝夜:うん』
癒那は設定を部隊に変えて、挨拶をした。
今日は先程あった三人しかいないらしく、三人からのおやすみしかなかった。
『滝夜:あのさ…装備の事とか聞いてないし、また明日教えてもらいたいなとか…』
『朸夜:えぇよ、7時には帰ってくると思うから。小隊このままなら帰って来たら呼ぶわ』
『滝夜:うん、よろしく!』
『朸夜:ほなおやすみぃ〜良い夢見ろよ』
『滝夜:おやすみなさい♪また明日』
癒那はこの日のゲームを終えた。
その間ずっと連絡がなかった悠斗におやすみメールをして、早々に寝支度を整え歯磨きに降りた。
(朸夜さんっていい人だなぁ〜同じ歳だし親近感沸くな)
癒那の中の何かが少し変化した。朸夜に出会った事で、自分に近い考えを持った人も中には居る事を知った。
同時に…朸夜に親近感を覚えていた。朸夜というキャラクターに。