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STAGE3:簡単なレベル上げ

オンラインゲームプレイヤーの方には多少不快な表現があるかもしれません。ご了承下さい。

【キュア:どう?わかった?】

キャラクターはカーソルをマウスで動かして、クリックした位置に動く。

スキルの発動はF1からF12を押してから、倒したい敵、回復したい仲間など発動場所をクリック。回復アイテムや装備も入れて使ったり変えたりできるそうだ。

宿屋、武器屋、防具屋、道具屋、転送屋などの一通りの位置。

会話は普通に入力すれば誰でも見れる黒の文になる。

相手の名前の後に◆を付けてから入力で、その相手にだけ見える緑の文に。

自分が所属したグループ名の後に★を付けてから入力で、そのグループにだけ見えるオレンジの文に。


一通り教わった。


【滝夜:一応なんとなくわかったと思う】


【キュア:したら、これあげる♪なんか出たらOK押して】


沙莉奈の言う通にすると、半分に別れたウインドウがでた。その中に次々現れる武器や防具やアイテムにお金。


 そしてまたOKを押す。


【トレード完了しました】


【キュア:自分のアイテム欄開いて、掴んで持ってくればアイテムあげられるから】


【滝夜:アイテム欄?】


【キュア:左上の名前の下にアイコンあるよ】


癒那は言われた通り見てみると、アイテムの巾着袋アイコン、武器の剣アイコン、防具の盾アイコン、お金のコインアイコンと所持金。


「なるほど…ってかめんどいなぁ…」


癒那はぼやきながらモニターを見つめる。それからもらった本をめくった。キャラクターの所しか見ていなかったが、一通りのやり方が書いてあることに気が付いた。


「あっ…」


【キュア:お〜い!】


ヒュンヒュン


無駄に回復魔法をかけて、音で癒那を引き戻そうとしているキュアの姿があった。

慌ててキーボードを叩いた。


【滝夜:ごめん】

【滝夜:もらった本に書いてあったね】


【キュア:あはは大丈夫V装備付け替えてね】


 癒那は本を見てから、各アイコンを開いて、沙莉奈から譲り受けた装備品をダブルクリックしていった。


【キュア:少しレベル上げに行こうか!】


【滝夜:うん!】


【キュア:今からワープ出すから、出て来たら入ってね】


癒那は首を傾げながら待った。すると二人の間に白い光りの球が出て来た。それをクリックすると滝夜がその中に入っていった。


画面が真っ白になる。

これがフィールドが変わるときの定番らしい。せめてイラストだすとかすれば良いのにと癒那は思った。

その瞬間新しいフィールドが現れた。


森の中。草木が茂る森。


【キュア:ここが第一かな。通称プックン森】


【滝夜:プックン森?】


「なんだそのダサイ名前…」


 キュアが一瞬画面から消える。すぐに戻って来たが…


「なっ!?」


キュアのすぐ後ろを、真ん丸で目とくちばしを持つ…ヒヨコを真ん丸にしたような黄色のモンスターがついてきた。


【キュア:これが最初の敵のプックン!】


「敵!?かわいいなぁ」


敵と言うよりペットだった。跳びはねて体当たりをする仕種が愛らしい。

キュアの上に【Miss】の文字。攻撃が当たっていないと言う意味だ。

回避率が相手より高ければ攻撃を避ける確率が高くなる。この場合はレベル差からくる回避率の差。

キュアはすでにレベル85だ。


【キュア:私が敵を引き付けるから、どんどん倒して♪】


 癒那はプックンにカーソルを当ててクリックした。滝夜が剣を抜きプックンを切り付けてまた鞘に戻した。


 プックンの上に赤い数字が出た。【3】ダメージ…。

「…よわ…」


 レベル1で敵が死ぬわけなく、癒那は十回もクリックさせられた。


【滝夜:これって何回もクリックしなきゃダメ?】


【キュア:シフトキー押してクリックすれば連続攻撃になるよ♪】


【キュア:あっせっかくだからアイテム拾った方が良いよ】


 癒那は倒したプックンから落ちたアイテムにカーソルを当てて回収する。


【キュア:速度増加】

 ヒュン

【キュア:攻撃力増加】

 ヒュン

【キュア:運気上昇】

 ヒュン


【キュア:これが支援魔法。他にもあるけど今はこれだけで大丈夫かな】


【キュア:多分全然違うと思うよ!】


 滝夜は新しいプックンを叩いた。今度は三発。


【滝夜:全然違うね】


【キュア:でっしょ〜♪】


それから二人は十分くらいでプックン森を引き上げ、一人では到底行けないレベルのフィールドに場所を移した。


【キュア:私が攻撃してから叩いてね!すれば滝夜は攻撃されないから♪】


【滝夜:うん】


癒那は何もしないで上がっていくレベルに多少の不満を覚えていた。それ故本で自分が取るスキルのシュミレートをし始めた。沙莉奈とのチャットも同時進行。


【キュア:スキル型決めた?】

【滝夜:自滅型とか…】


キュアからの返答がない。


自滅型とは、自分を中心に五セル分を円で囲んだ範囲に無属性の魔法剣を発動する『デスサークル』

剣士最大の攻撃力を誇るが、育成が大変な上に、攻撃の時に自分の体力、HPを消費するため、余り好まれない型だ。

グループに居ればかなりの戦力だが、育成の大変さと、回復剤にお金がかかるから作るプレイヤーがそもそも少ない。

それに敵からのダメージに加え、反動でくるダメージで、白魔導師のマジックポイント、MPを大量に消費するため好かれない型になってしまう。


【キュア:マジで!?】


【滝夜:うん(笑)なんか少ないって書いてあるからさ、せっかくだから】


【キュア:大変だよ?あんまり好かれていないし…】


癒那は一瞬迷って手を止めた。

(そんなやるわけじゃないし…)

【滝夜:大丈夫だよ(笑)その方がおもしろいし】


【キュア:滝夜がいいならいいけど…まぁキャラは作り直せるし】


「そんなに嫌がられてるのか?強そうなのに…」


脇に置いてある本に目をやる。イラストで書かれている『デスサークル』発動中のキャラクターは男女共に中々カッコイイ。男キャラは太い剣、女キャラ細いが長い剣を力の限り振り回すイラスト。


 沙莉奈がご飯に呼ばれたらしくレベル上げは三十一で止り街に戻った。楽してきてしまった。

故に少し楽しみに欠けていた。


【キュア:私で良かったらいつでも組むからね!】


【滝夜:うん!】


【キュア:後で私の仲間紹介するから!】


【滝夜:うん、ありがとね】


【キュア:どういたしまして♪また後でね】


 その文字が消えると同時にキュアは姿を消した。ログアウトしたのだ。


「でだ…」


癒那は右に出ているスキルバーの一番右の試験管アイコンをクリックした。

中央に剣士のスキル表が出て来た。スキル名と上向きの矢印。

スキルは上限が五のものと十のものがある。

発動しないスキルはキャラを強くするためで上限が五。

発動するスキルは上限が十。

とるスキルによって新しいスキルが出て来る。

最初の段階では癒那がとりたい『デスサークル』はまだ出ていない。


「攻撃力アップが五…魔法攻撃力アップも五…誘導が一…」


癒那は間違えないように口に出しながら上向き矢印をクリックしていく。


「ヒーリングが十…ダブルアタックも十…あっ…切れた」


一レベル上がる事に一はいるレベルポイントを振り分けた。三十一はある意味ちょうど良かった。


「これだけあれば、それなりにレベル上げしにいけるのか…」

自滅型は必要スキルがあまりない。あれもこれもではなく、必要なものを最大にというタイプだった。


「私もそろそろご飯かな…」


癒那はちょうど良い所でキーボードの『ESC』を押した。


『ログアウトしますか?』


はい。


画面がまた真っ白になり、IDとパスワードを打ち込むログイン画面になり、その下にある『終了』を押すとゲームのウインドウが消えた。


「あんま楽しくないな…」


それもそのはずだ。他力のレベル上げはやる事がない。


「後で一人でやろ…」


癒那はコンピュータの電源をいれたままリビングにおりていった。

この時の癒那はまだ知らなかった、他力のレベル上げも…楽しくなることを。


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