1話
1
関わりたくないランキング第1位。
それが私、深井瑞樹が大島恭司に抱いた最初の印象である。
初めて彼を見たのは入学式。一目見ただけで分かるような陽キャオーラが大島恭司からは出ていた。
実際に彼は既にクラスの中心人物となっており、入学して1ヶ月でこれまたイケてる男女5人のリーダーのようになっている。
俗に言うカーストトップに君臨しているのだ。
それに対して私の友達の数はゼロ。休み時間はいつもぼっち飯。体育のペア決めではいつも余り。
ようはまごうことなきぼっちなのである。
そんなぼっちの私と陽キャの彼。そもそも交わることもない。
ただ私が一方的にトップカーストの生徒に苦手意識を抱いているだけである。
それでも普通の女子生徒ならば、顔が飛び抜けていい男子生徒が気になるものなのかもしれない。
しかし私にはそんな気持ちは皆無である。なぜなら私がTS転生者だからだ。
つまり私には前世で男だった時の記憶がある存在するのである。
ゆえにいくら相手がイケメンだからと言って、男相手に何かを思うことはない。
無いったら無いのである……
「大丈夫だった?」
だから心臓がこんなにドクンドクン言っているのは何かの間違いなのだ。
「うんん。本当にありがとう」
こんなベタな展開があってたまるか。ただ、転びそうになったところを助けてもらっただけなのに。
ついでに私がばら撒いてしまった教師に届ける予定のプリント。それを拾うのも手伝ってもらったけども。
だからって彼のことを好きになるわけなんてない。
苦手なタイプだし、そもそも私が好きなのは女の子のはず……
確かに今世では女性にそういう邪な欲を抱いたことはないけれども…
「というかそのプリントの量を女の子1人で運ぶのは大変じゃない?」
「別に大丈夫」
「手伝うよ」
「本当に大丈夫。迷惑かけたくないし」
あー、早く立ち去ってほしい。今の私は絶対に顔が真っ赤になっている。さっきから馬鹿みたいに熱いし。
恥ずかしいからそんな表情は見られたくない。
あなたが優しいのは分かったから、この場からいなくなってくれ。
幸いにして、身長差のおかげで少し下を向いている私の顔は見られていないのだから。
「いーから貸して」
しかし、私の気持ちとは裏腹に彼は強引にプリントを奪ってしまう。
「ありがと」
「任して」
諦めた私は素直に頼むことにした。実際にこの量を1人で運ぶのは辛いなと、本当は思っていたのだ。
・・・
「失礼しました」
しっかりと教師にプリントを届け、挨拶をしてから職員室を後にする。
「ありがとう大島くん。本当に助かった」
「全然。いつでも頼ってよ」
「……善処するわ」
「いや、それしない人の台詞じゃん」
「べ、別に……そんな…ことは」
「じゃあ次からはちゃんと俺を頼ってね」
「考えとくわ。というか何でそんなに頼られたいのよ?」
「そんなの下心しかないでしょ」
「え…」
「深井さんって彼氏いるの?」
「か、彼氏? いないわよそんなの」
「本当に? よかった」
彼は爽やかな笑顔を見せながら言った。
「じゃあ俺と付き合ってよ。好きなんだ深井さんのことが」
「……」
おかしい…
なんで私は学園1のイケメンと言われている男から告白されているのだろうか…




