一話 あなたは…
初めまして天パ侍と申します。
クレームに苦情、アドバイスに指摘、愚痴にお悩み相談なんでも承ります(笑)
今後ともどうかよろしくお願い致します!
あなたは"生まれかわり"を信じますか?
「あ、」
「おもいだした」その言葉と同時に頭の中のつっかかりがプツンときれた気がして、スッキリした。
「そっか、じゃあ確認するね…」
「君がここに立ったのはこれで何度目?」
男は少し考え、その質問に答える。
「初めて生まれる前かるく説明うけたとき…、初めて死んだとき…、2回目に死んだとき…、そして3回目に死んだ"今"」男はさらに付け加える
「ついでにあんたのこともおもいだしたよ…、天使さん」
「問題なくおもいだせたみたいだね、よかったよかった♪」
「相変わらずのポッチャリ体型?だな、痩せようとか思わないの?」
「思わないね!」天使は速答で開き直りをかます。
男も(まあ本人も幸せそうな顔してるし、身体に問題がないならいいか…)などと思う。
天使の体はポッチャリのレベルをはるかに超えた体型をしており、その巨体をとり囲む様にしてまだ手をつけていない缶が山積みになっている。プルタブが開いて、中身が空になっている空き缶も床にちらほらと転がっていた。こんな状態で身体のどこにも異変がないというのが不思議なくらいだった。
「それで…3度目の転生はどうだった…」天使がさっきまでの福笑いのような顔とは一変させ、真剣な目で男を見る。
「やっぱり気持ちはかわらないのかい?」
男はそう言う天使の目から自分の目をいっさいそらすことなく言った。
「ああ」
二人のあいだに沈黙がよぎった。
「そっか…、ならしかたないね」天使はそう言って沈黙をはらうと、いかにも重たそうな腰(どこが腰なのか見当もつかないが)を「よっこらしょっと」という声をあいずに勢いをつけてもち上げる。
「それならそうと君にはやってもらわなくちゃいけないとこがいくつかできちゃうんだよね…、ついてきて」そう言いながらやっとのこと立ち上がると体を捻らせて後ろをむく。そしてゆっくりと扉の前まで進むと、鍵を開けてドアノブを引く。すると天使はこちらに振り向き、顔中汗だくで「ハアハア」と息をきらしながら手招きをする。
(2~3歩でそのありさまって、前言撤回…)その続きはしぜんに口にでた。
「やっぱり痩せた方がいいよ、あんた」
それが聞こえたのか聞こえてないのか、天使はなんの反応もみせずに扉の奥へ歩き出す。
(こんなところに通路なんてあったんだな…、まあこの肉の壁のおかげで正面からは全然見えないしな)男はそう思いつつ天使の背中という名の動く肉の壁の後ろをついて行く。
そんなことを考えいると、さっきから息をきらしまくっている天使が辛そうに口を開ける。
「これから君には、神に逢ってもらう」
天使が言葉を続ける。
「まあその前に神とボク達天使の仕事内容について教えとかなくちゃいけないんだけどね…、君がこれからやろうとすることにも関わる大事な話しだからちゃんと聞いておいてね」そう言って念をおすと説明しだす
「神はね、平たく言うと"生物の素"の生成が仕事なんだ。生物の素っていうのは人類的に言うところの人魂や魂の素だね、その何種類もある魂の素を次々と作っては詰め合わせることだけが神の仕事なんだ」
「それだけ?神の仕事って流れ作業みたいだな」
「うん、元々は何種類もある生物の素を混ぜ合わせて"生物の意識"にしてしまうところまでが仕事だったんだけどね、たった1日で数えきれないほど死んでしまう生物相手にそれじゃあ手がまわらなくてね」
「なるほどね、それで天使の仕事はなんなんだ?」
「天使達の仕事はその生物の素を混ぜ合わせること、そうしてできた生物の意識に転生にたいする知識をうえつけること、細かくすると他にもあるけど今はそこまで説明する必要はないかな」
「かれら、ってことはあんたは違うのか?」
「神を社長に例えたら、一般の天使は平社員、ボクは課長ってところかな」
「あんたって結構位高かったんだな…、それで?課長の仕事って…」
「ボクの仕事は神の"仕事"の保護、生物の意識の誘導、平社員の上役、そして、君みたいな意志をもってしまった者のかんり…」
「…」男が真っ直ぐと課長の背中を見据える。
「まあかんりと言っても監理では無いから、転生後の援護と思ってくれていいよ、他にもボクの仕事はいろいろあるけどこれも…」
「今はそこまで説明する必要はない、か…」
「そういうこと…」
そうこう話しているうちに通路の先がひらけているのが課長のだらしない背中ごしに見えた。
「さあ、着いたよ…、あの方が神だ」
「まあ、神と言ってもさっき言ったようにほぼ全自動魂製造機と化してるからそんなに気をはる必要もないよ」
そこにたっていたのは2メートル程の四角い箱だった。その箱は「ガゴゴゴゴ…」と年期のはいった機械音を発し腰を屈めなければ手を入れられないような所に口の様な物が備わっている。
(なんか見たことある形だな…、前世で数えきれないほどお世話になったことがあるような…)
そんなことを思っていると、四角い箱の体内でかたいなにかが四方八方にぶつかりながら通っているような音と機械音をよりいっそう響かせて口から円柱型の固体を吐き出し床にコロコロと転がす。転がっている円柱型の固体は男のつま先にあたって止まる。
「…」
「自動販売機じゃねーかアアアアア!!」男は思わず声をあらげてさけぶ。
「全自動魂製造機っていうかただの自動販売機なんですけどオオオ!?、だってこれ完全に缶だよね!?」男はそう天使にむかって言うと自分の足下に転がっている缶を勢いよく指さす。
「天界も近代化が進んでね、下界の文化を取り入れることにしたんだよ」
「いや、下界の影響受けすぎだろ」
天使が男の足下に転がっている缶を拾い上げる。
「丁度いいね、今から見せてあげるよ」
「?」
そう言うと天使は全力で缶を振る。振りおわると全身汗だくの天使がプルタブを開ける。すると中身が勢いよく溢れだす。だが溢れだした"それ"は床を汚すことはなかった。"それ"は当然のごとくその場に浮かんでいた。
「?…、なるほどね、これが生物の意識か」
「ご名答」
「確か、課長の座ってた部屋にもあったよな」
「よく覚えてるね」
「だんだんわかってきた、神はこの空き缶に生物の素を詰めこんで…」そう言って課長が持っている空き缶に目を向ける。
「そんで課長はそれを振ることによって生物の意識にする…」
「うん、そういうこと」
「結局課長の仕事ってチ○コ振るか缶振るかってことだろ」
「あの~、そろそろ私も話しに加わっていいですか?、さっきから空気と扱いかわらないんですけど…」自動販売機の両側にあるスピーカーから声がした。
「ああ、すみません忘れてました」そう言って天使が軽めに謝罪をいれる。
(話せるんだな、そんな気はしてたけど)
「…それでは話を始めましょうか」
自動販売機もとい神のその一言でその場と課長と男の顔に緊張がはしる。
「記憶を損失させずに行う転生についてね」




