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報告-17の月、9日、2枚目

降り立った時間は地球の日本の感覚では朝九時です。

朝食準備した方々、お疲れさまでした。

サクラとペアンは王女宮の元執務室に降り立つ。

ウィスカーで出迎え、いきなり抱きしめられる。

「サクラちゃん!あたしお仕事頑張ったのよ!」

「そうですね。お疲れさまでした。そしてありがとうございました」

「わーい」

ウィスカーを撫でまわし、感謝を伝える。

ノックの音に返事をすれば、数日振りの六人が顔を出す。

互いに労い、これからの打ち合わせを始めるのだった。


サクラは数日間の間に、七冊のノートにそれぞれの分担する領域の知識を書き込んでいた。

説明するのが面倒だと、一枚の分布図も作る。

二重円の中心にコッヘル、周囲を六等分してサクラを含めた六人の名前を記載している。

「私を含めて全員分の分担を伝えますので、まずはお聞き下さい」

「分かったー」


「コッヘル様に法務、財務、西の国との交渉を」

口を開けて動きが止まるコッヘル。

「ラスパさんが農林水産を」

笑顔で頷くラスパ。

「アドソンさんに防衛、土木・交通を」

首を傾げるアドソン。

「スタンツェさんに経済、魔術系技術を」

目を瞬くスタンツェ。

「エレバさんに医療、教育を」

顎に手を当てて考え込むエレバ

「ゴッセさんに外務、産業系技術を」

騎士の礼を見せるゴッセ。


「私が医療、保健。そして人材育成という感じでしょうか。ざっくり分けたので、共通するところも大いにあります」

「ふむ、重要な部分は医療と技術か」

「そこに加えて食料です。住民の命と仕事とお金とご飯の確保が最優先です」

「・・・最優先事項が多くないか?」

スタンツェの問いに、いつも以上の笑顔でサクラは答える。

「そうですね。欲張りですから」

「サクラっておもしれーな」

アドソンがいつも通りカラカラ笑う。


ゴッセが右手を挙げて質問する。

「サクラはここが将来どんな国になると思っているの?どんな世界が見えているの?」

「どんな?簡単ですよ。私たちが縛られることなく、自由に過ごせる国です」

「あの・・・サクラさん。自由とはなんですか?」

コッヘルはサクラに問う。

「仕事などの拘束時間は別として、行きたいときに行きたい場所に行って、食べたいものを食べ、遊びたいように遊ぶんです。話したいことを好きに話して、過ごしたい人と過ごせる国です」

「うーん、それは確かに自由だね。だけどコッヘルは王族でゴッセも元王族、他の人たちも一応貴族でしょ?自由になるのは時間が掛かるよ」


ゴッセの問いかけにサクラは頷く。

「えぇ、だから、やるべきことが多いんですよ。基盤を整える期間は五年と考えています」

「基盤に五年は短いよね」

「基盤を整えるだけです。走り出す前の位置につく準備を五年です。長いでしょう?あぁ、もちろん今までの生活全てを変えるわけではないのです」

「それは分かっている。ただ、一気に変えれば軋轢を生むぞ」

スタンツェは眉を顰めて、サクラに忠告する。

「何十年、何百年と積み上げてきたものを五年で作るのは、確かに軋轢を生むでしょうね。でもこれが私たちの自由を保障するものだと知っているので、案は出しますし、皆さんの意見もどんどん教えてください」

「今ある法律を全て変更するわけではないけれど、基盤から変えるところもあるってことだよね。分かった、あまりに突拍子もないことを言い始めたら止めるから、案はどんどん出すね」

ラスパがほんわかとまとめて、サクラを援護する。


「はい。まずは領地の現状の把握と、貴族制度の切り崩しから始めたいです。先程の分担についてはそれぞれの本にまとめてありますので、後ほど目を通してみてください」

「分かりました。サクラさん、ありがとうございます」

エレバは様子を伺って居たようで、ひとまずサクラの考えを理解することにした。


「あ、そうだ。コッヘル様、仕事中はクラと呼んでください」

「そうですね。では、私もコッヘルと呼んでくださいね」

「・・・はい」

お互いの呼び名を調整する。

人員配置についても打ち合わせを行い、サクラ達は大広間に移動することにした。


扉を開くと椅子に座るホプキンスが、サクラに向かって手を振る。

「お久しぶりです」

「おぅ、嬢ちゃん。・・・それはまた菓子なのか」

「はい。今日は東の国のお菓子を貰ってきました」

「毎回毎回ご苦労なこった」

「甘い物が苦手な人たちには、こちらの国王推薦お肉サンドパンがあります。コッヘルさんの好物です」

「さ・・・クラさん・・・」

「腹減ってるやつはそっちが良いだろう。数はいくつある?」

「五十はありますね。足りますか?」

「足り・・・ないな」

「では、色々と走り回ることになる人達から食べ始めてください。私たちは後ほど補充分を食べましょう」

「補充があるのか」

「はい。手配しています。なんせコッヘルさんの好物ですからね」

「クラちゃん、コッヘルが赤くなってるから、そのくらいでー」

「コッヘルが倒れちゃうと話が進まないよ」

「はーい」


サクラのマイペースぷりに、ホプキンスは呆れながらも部下に差し入れを渡していく。

好物をばらされたコッヘルはまだ顔が赤い。

亡者団の十名と、王女宮に勤める十名の騎士が名前を呼ばれて、指定された椅子に座る。

食べながら話を聞いて欲しいとゴッセが声を上げる。


「それぞれの手元に渡った紙は全員一緒だよ」

ゴッセは二十人を十組に分けていた。

その組ごとに領地が割り振られ、現状を把握するよう指令が出る。

基本的には平民と貴族の令息の組であるため、お互いに会話はまだない。

最低限把握すべき内容を、サクラがまとめており、スタンツェが監査してある。

資金をそれぞれに渡して、要点を書いた紙が配られる。

結果を持って集まるのは一月半後で良いと伝える。

字を読むことは出来るが、書くことが難しい者もいるため、騎士と組ませているようだ。

それぞれの準備を済ませ、本日夕方ここを出発することになり、二十名は一旦解散した。


サクラはモースとホーマンに挨拶しながら、差し入れを渡す。

そのまま、金の亡者団の残っている人たちに文字の読み書きを教えて欲しいと伝える。

「ゴッセより伝え聞いております。一般教養も含めて指導いたします」

「ありがとうございます。彼らもホーマンさんたちも私たちもこれからは国民に仕える立場になりますので、国民の為に働ける人たちの育成をお願いします」

「えぇ、メッツェン様が望んだ自由な国のため、老骨ながら全身全霊を持って対処致します」


ホプキンスを始めとする平民でも読み書きが出来る者たちは、サクラとコッヘル達と話し合いを持つこととなった。

新生西の国が手探りで動き出します。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

連日23時アップ予定です。

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