表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/40

十四話 導きの声 (2)

「私を待っていたって、どういう……」

「小春殿、どうかされましたか?」


 彪基に声をかけられ、小春ははっとして顔を上げた。


「いえ、何も……」

「そうですか。独り言をおっしゃっていたので」


 彪基は小春の顔を覗き込む。


「何か困ったことがあるのでしたら、遠慮なく私におっしゃってください」

「……ありがとうございます」


 小春はそう答えながら、もう一度辺りを見回した。

 先ほどの声は、もう聞こえない。


 ──誰だったんだろう。


 しかし、それ以上に気になるのは、あの言葉だった。

 あなたには、その力がある。

 小春はそっと左目に触れる。


「彪基さん」

「はい」

「……宮殿の地下に、水晶ってありますか?」

「水晶……ですか?」


 彪基が眉を寄せた。


「さっき、見えたんです。蒼瀾様と……黒い靄に覆われた、大きな水晶が」


 その言葉を聞いた瞬間、先ほどまで黙っていた守衛が顔を上げた。


「なぜ……」

「え?」

「なぜ、あなたがそれをご存じなのですか」


 守衛の顔から、明らかに血の気が引いていた。


「私にもわかりません……ですが、あの靄が原因で蒼瀾様は病に伏せってるのかも」


守衛の顔から、明らかに血の気が引いていた。


「私にも分かりません……。ですが、あの靄が原因で蒼瀾様は病に伏せっているのかも」

「……靄?」


 守衛が聞き返した。


「はい。水晶が黒い靄みたいなものに覆われていたんです。それに、水晶から何かが伸びていて……」


 小春は、先ほど左目に映った光景を思い返す。

 暗い地下。

 黒い靄に覆われた水晶。

 そこから大地へ、脈のように伸びていた無数の光。


「たぶん……あれが龍脈なんじゃないかって」


 守衛は言葉を失った。


「本当に、あるんですね? あの水晶」

「……ございます」


 やがて、観念したように答えた。


「宮殿の地下深くに、この国の龍脈と通じる水晶が」

「やっぱり……」

「ですが、おかしい」


 守衛が眉を寄せる。


「あの場所へ立ち入ることが許されている者は、ごく僅かです。ましてや、瑞穂国から来られたあなたが知っているはずがない」

「私だって、今日初めて知りました」

「では、なぜ……」

「分かりません。ただ、この目に映ったんです」


 小春は左目に触れた。


「蒼瀾様が寝台に伏せている姿も……水晶も」

「なっ……」


 守衛の顔色が変わった。

 それだけで、小春には十分だった。

 天翔車で聞いた話は、ただの噂ではない。


「……蒼瀾様は、本当に病気なんですね」


 守衛は答えない。

 だが、その沈黙が何よりの答えだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ