アンナ
少し経つと長い黒髪の少女が一人、校長に連れられてきた。やっぱり十歳ぐらいの子だ。もしかしたら、一階で殺すように依頼されて断った殺害対象の子かもしれない。
「はい。これミキジロウさんの写真。」
校長は写真を手渡した。
「アンナです。よろしくお願いします。」
少女は挨拶した。
「よろしくお願いします。では、行きましょう。」
俺は用心のためにマジックブレーカーを持った。そして、俺たちは町に向かった。途中、四回ぐらいモンスターに出会ったが、さすがに強い。アンナは美女に変身して一瞬でモンスターたちを骨抜きにしてしまう。
俺たちはダンジョンの入り口に来た。何か、見たことがあるような男が近づいてきた。
「ちょっと、いいかな?」
「え!?}
「君たち、冒険者だよね?」
「はい。」
「直ぐでなくてもいいんだが、ダンジョン地下四階にいる”アンナ”って少女を殺してほしいんだ。殺してくれれば、お金はいくらでも出す。」
男は写真を見せた。その瞬間、少女は光り輝き、金色のドレスを身に纏う絶世の美女になった。そこで男は少女がアンナであると気付いた。
「いや、俺は人に頼まれて依頼してただけで…。」
「問答無用よ。いれじすてぃぶる・てんぷていしょん。」
美女の着ていた金色のドレスが消え、美女は金色のビキニ姿になった。男の視線は美女の美しい胸と胸の谷間に捕らえられた。三秒ほど経過しただろうか。男は口を半開きにして涎を垂らし、呆然自失状態で膝をついた。目はまだ美女の胸に捕らえられたままである。
「いい気味だわ。一生そうやってなさい。」
美女は光り輝き、少女に戻った。俺たちは男を置いて、町の武器屋に向かった。
武器屋は商店街の奥にあった。
「いらっしゃい。」
店主らしい男が声をかけてきた。
「マジックライフル、あります?」
俺は聞いてみた。
「ありますよ。千ドルになります。」
「じゃあ、それとマジックライフル用の弾丸十二発ください。」
「じゃあ、全部で千六百ドルです。」
俺たちは武器屋を出て、紙に書かれた住所の場所を探した。その場所は町の中心部からは少し離れた場所にあった。そこそこの邸宅である。俺は呼び鈴を押してみた。しかし、誰も出てこなかった。俺はもう一回押してみた。それでも誰も出てこなかった。
「済みませーん、誰かいませんかー。」
俺は大声を出してみた。しかし、何の反応もない。留守なのだろうか。俺たちは少し、待ってみた。すると、女性が一人、やってきた。眼鏡を掛け、ピンク色のブラウスにジーパンを履いた、セミロングの黒髪の優しそうな女性だ。歳は三十歳ぐらいだろうか?
「あの…ここ、レンフォール・カテクサイトさんのお宅じゃないですか。」
俺は尋ねた。
「はい。そうですが…。」
女性は何事かと言う感じで、答えた。
「あなたは?」
「家政婦のレイリアと申します。」
「そうですか、レンフォールさんはご在宅ですか?」
「はい。ただ、高齢で足も悪いし、耳も聞こえ辛くなっていて、多分、気付かないか、気付いても出てこれないと思います。」
「そうですか。レンフォールさんに頼み事があるんですが…。」
「頼み事ですか…、お聞きしてお伝えするぐらいはできますが…。」
「お願いできます?」
「はい。」
女性は快諾した。
「これはチャーマースクールの校長からの依頼なのですが。」
「チャーマースクール?」
彼女は知らないようで、聞き返した。
「彼にそう伝えていただければ、判ると思います。」
「そうですか。」
「この弾丸に最上級の凍結魔法を施してほしいんです。」
俺はマジックライフルの弾丸を三つ、差し出した。
「凍結魔法ですね。わかりました。伝えてみます。」
「ありがとうございます。」
家政婦は家に入って行った。
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「おじいちゃん、おじいちゃん。」
「何じゃ?レイリアさん。」
老人は返事をした。歳は七十五歳ぐらいだろうか。老眼鏡らしきものを掛け、短く白い口髭や顎髭を生やし、白髪混じりの髪をしている。温和そうな顔をしているが、眼光は鋭いようだ。
「今、うちの前に人が来て、おじいちゃんに頼み事があるって。」
「何の頼み事じゃ?」
「何でもチャーマースクール?そこの校長?の頼み事らしいんですけど…。」
「ああ、彼女か…。知人じゃの。で、どんな頼み事じゃ?」
「これに、最上級の凍結魔法?を施してくれと言ってました。」
家政婦はマジックライフルの弾丸を三つ見せた。
「ほう。マジックライフル用の弾丸じゃの。また、面倒なことを頼みおって…。この年寄りには、疲れる仕事じゃ。後で、何か請求するかの…。」
そう言いながら、老人は弾丸を手に取り机の上に置いた。
”すべての氷に住まう精よ。その冷気を今解き放ってすべてを凍らし給え”「アイギ!」「アイギ!」「アイギ!」
「どうじゃ、まだまだボケとりゃせん。レイリアさん、これを持って行ってやりなさい。」
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暫く経って、家政婦は出てきた。
「はい。これ。」
家政婦は弾丸を三つ差し出した。
「ありがとうございます。」
「レンフォールさん、後で何か請求するとか言ってましたよ。」
「そうですか。校長に伝えときます。では、レンフォールさんによろしくお伝えください。失礼します。」
二人はレンフォールさんの家を離れた。そして、俺たちは俺の家で休憩することにした。
「おふくろ、この子、知り合いの子で今、冒険を手伝ってもらってる。」
俺はおふくろにアンナを紹介した。
「アンナと言います。よろしくお願いします。」
アンナはおふくろに挨拶した。
「あれ!?、ファーちゃんとアル君…だっけ。どうしたの?」
「ファーとアルは、親父と一緒にアルの母親とか、他の親父の仲間を探しに行ってる。」
「え!ジェームス!?」
「ごめん、おふくろ、連絡が遅れて…。親父、見つかったんだ。」
「…良かった…。」
おふくろの目から涙がこぼれた。
「ちょっと、体調を崩したけど、今は元気に冒険をしてる。」
「そう…良かったわ。で、あなた、こんな小さな子と二人でダンジョンなんか歩いて大丈夫なの?」
「大丈夫!この子、こう見えて、強いんだ。」
「え!?冗談でしょ。こんな歳わもいかない子が強いなんて…。」
「アンナ、ちょっとだけその力、見せてあげて。」
「はい。」
アンナは光り輝き、絶世の美女になった。
「え!?ええ!?」
おふくろは声を上げた。
美女は左手の小指を唇に近づけた。そして、小指でキッスを投げた。すると、空中に虹色に光るハートマークの幻が現れた。美女が小指を動かすとその幻も動き、何故かおふくろの視線も、俺の視線もその幻を負うように動いた。美女が左手をぐるりと動かすと、幻も部屋の周りをぐるりと動き、おふくろも俺もその幻を追うようにぐるっと身体を回した。そして、美女が左手をゆっくりと自分の身体を差すように動かすと、幻は美女のドレスの中に隠れた。俺もおふくろもそれでやっと、幻以外のものを見られるようになった。
「はあ…。凄いのね、あなた…。」
おふくろは感心した。
「まだまだ、こんなもんじゃないんだ、この子の力。モンスターすら魅了するから。」
「でも、この姿でいらえるのは、タイムリミットがあるんです。」
美女は光り輝き、少女の姿に戻った。
「だいたい、二分ぐらいです。この世界では…。」
アンナは言った。
その後、俺たち三人は、夕食を食べた。そして、俺の部屋で俺とアンナは明日の相談をした。
「明日、どうします?」
「ごめん。ダンジョン奥深くに行く前に、マジックライフルを打つの、練習させてほしいんだ。」
「わかりました。」
「その後、ダンジョン七階へ行こうと思う。商人マッドと言う男がいて、ダンジョン中で売り歩いてるらしいんだが、ミキジロウさんの事件に深くかかわっているらしいんだ。で、話を聞いてみるんだけど…。」
「商人マッド?」
「そう。ただ、そいつ、商売の事しか頭になくて、こっちの話を聞こうともしないんだ。だから、最初っから術を掛けちゃってくれる?」
「虜にしちゃえばいいですか?」
「うん。お願い。」
「何を聞けばいいんです?」
「ミキジロウさんの助手の行方。」
「ミキジロウさんの助手の写真か何かあります?」
「助手の写真はないけど、ミキジロウさんの写真はある。」
「わかりました。」
その後、俺たちは、それぞれ、床についた。
翌日、俺とアンナは家を出て、まずはダンジョン一階に向かった。俺はそこでモンスター相手にマジックライフルを打つ練習をした。マジックライフルにはありがたいことにスコープが付いていて、動かない相手なら標準を合わせれば、外すことは無かった。また、魔法効果を目的としたいわゆるエアガンの一種なので、扱いも楽だった。後は、あの化け物の速さについてゆけるかどうかだ。
アンナは練習する俺を静かに見守っていた。俺は六発ほど練習した後練習を終了し、俺たちはダンジョン七階に向かった。ダンジョン七階までに何回かモンスターと出会ったが、全く問題無くクリアしていった。
そして、ダンジョン七階の、六階への登り会談の前で、商人マッドを待った。
三十分ぐらい待っただろうか。階段を降りてくる男がいた。商人マッドだ。
「アンナ、お願い!」
俺は、ミキジロウさんの写真をアンナに手渡した。
俺は階段の後ろに隠れて様子を見た。アンナは美女になると、マッドの前に回り込みマッドに微笑みかけた。驚くマッド。間髪を入れず、マッドにウィンクする美女。
「この人、知ってる?」
美女は写真を見せた。
「はい。」
「この人の助手、どこにいるか知ってる?」
「はい。ラミア様の虜となりダンジョン八階の魔王軍の会議室の近くにある牢獄にいます。」
「牢獄のどこ?」
「一番奥の右側の小部屋です。」
「ありがとう。」
美女はマッドの手を握った。マッドは天にも昇る気持ちで暫くぼーっとしていた。美女は手を離すと少女の姿に戻った。俺はアンナと共に、八階に向かった。
八階最初の広間、巨大でヒキガエルのような頭を持ったモンスターがいた。少女は美女になり、囁いた。
「いれじすてぃぶる・てんぷていしょん。」
美女はビキニ姿になると、銀色のビキニボトムから銀色の弓を、胸の谷間から金色の矢を取り出して、モンスターに向かって弓を構えた。ゆっくりと襲い掛かるモンスター、美女は狙いをつけるために片目を閉じると、モンスターの周囲をハート型の幻がくるくると旋回し始めた。美女が黄金の矢でそのハート型の幻を射ると、モンスターの動きは止まった。モンスターは美女に見惚れている。美女が少女に戻ってもモンスターは止まったままだった。
「さあ、行きましょう。」
次の広間では、フード付きの煌めく緑色のローブを着た人影と五匹の蝙蝠の様な羽を持った怪物がいた。人影は良く見ると足は無く、宙に浮いており、漂っている。五匹の怪物は人間より少し大きく恐竜の様な醜い顔と手を二本、足を日本、蜂のような尾を持っていて、俺たちがくると飛び始めた。アンナは美女になり、囁いた。
「いれじすてぃぶる・てんぷていしょん。」
ビキニ姿になった美女は左手の小指で怪物と人影に向けてキッスを投げた。ハート形の幻が現れ、宙を舞った。美女は左手をぐるぐる回し始めた。それに呼応して幻も部屋の壁沿いにぐるぐる回り、怪物達と人影もぐるぐる回り始めた。美女は左手の回転をどんどん速め、怪物達と人影の回転もどんどん速くなっていった。それが三十秒ほど続き、怪物達がふらふらになった頃を見計らって、美女は左手の回転をやめ、左手の小指で自分のつま先の方向を指した。すると幻も美女のつま先の所に来た。そして、美女は怪物達に対して横を向き自分の左側面を見せ、ゆっくりと小指で自分の足からお尻までを指していった。お尻まで来たところで五秒ほど美女の動きが止まった。その時、美女の銀色のビキニボトムから怪しい光がキラキラと怪物達や人影に発せられた。そして、美女は怪物達の方向を向き、左手の小指で自分の胸の谷間を指さした。幻も美女の胸の谷間の前で止まった。美女がゆっくりと左手の小指で自分の胸を指さすように動かすと、幻はゆっくり美女の胸の谷間の中に吸い込まれていった。その時、怪しい光が美女の金色のビキニトップスから怪物達や人影に向けて放たれた。それから五秒ほど経っただろうか。怪物達は落ち始めた。人影も倒れた。美女は少女の姿に戻った。
「ふう、ちょっと疲れた。」
少女は言った。
「お疲れさん。ちょっと聞いていい?」
「はい。」
「いまの技、どういう術?」
「まず、投げキッスは視線操作の術です。これは、判ります?」
「うん。俺の自宅で見せてくれたから…。」
「ハートから目が離せられなくなっちゃうやつね。次は、ビキニボトム。これを一秒以上見つめると、どんな生物でも美女に対する恋愛欲求が生まれてきます。正確には、生物が持つ本能、食欲なんかを美女に対する欲求にすり替えてしまう術です。これにかかると、美女が欲しくて堪らなくなります。」
「ふーん。次は?」
「次は、ビキニトップス。これを見つめると美女に対する恋愛欲求を持つ生物は強烈な快感を覚えます。これを見続けると一秒で一時的に快感の虜に、二秒で永遠に快感の虜に、三秒以上で意識や記憶がドロドロに溶けて再起不能になります。個人差はありますが。」
「強力な技だね。」
「はい。だから、強いモンスターや余程悪い人間にしか使いません。」
「なるほど。」
「この技は殆どの生物に効き目があります。例外が一つ。それは四天王のファルファウデンです。」
「うーん。」
「私は、あれは生物ではなくて、機械に近いのではないかと思っています。」
「そうか…ありえるな…。」
次は四天王が出てきた部屋だ。そおっと様子を見ると、変幻自在の化け物が一人でいる。よし、ここからマジックライフルで狙おう。奴はまだ気づいていない。俺はマジックライフルを構えた。スコープを覗き、奴の身体に狙いを定める。まずい。奴が気付いた。俺は慌てて引き金を引いた。パーン。弾丸は当たった。
「ふ。こんなもの、効くか。……あ、あぁぁぁ」
やった。成功だ。奴は凍り付いた。
「やりましたね。」
俺たちは先を急いだ。次の部屋には、四天王が二人と大勢のプリーストと大勢の魔術師の混成部隊がいた。四天王の一人は、小型のゴーストジェネレーターを持っているらしい。マジックブレーカーを持ってきて正解だった。
俺たちは部屋に入った。俺はマジックブレーカーを取り出した。アンナは美女になり、右手を上げて指先から金色の粉のようなものを大量に出した。粉は宙を舞い、四天王、プリーストや魔術師たちの後頭部に張り付いた。
”すべての炎に住まう精よ。その熱を今解き放ってすべてを焼き…”呪文の詠唱が次々止まった。
「う!ゴーストジェネレーターが動かない!」
マントを羽織った四天王が言った。
「やっぱりか。逃げよう。」
四天王の二人が逃げようとした。しかし、出口付近で止まった。二人とも虚空を見つめている。美女は少女に戻った。
「みんな、美女の幻に魅惑されてるわ。さあ、行きましょ。」
俺たちは魔王やラミアの部屋がある区画に来た。マッドが言っていた魔王軍の会議室らしき場所は、ラミアの部屋を通り過ぎて廊下が十字に交差している部分を過ぎた所にあった。中では魔王とラミアが何か話しているようだった。俺たちはその先に進んだ。小部屋が十個以上並んでいる場所にやってきた。どうもここが牢獄らしい。一番奥の右側と言っていた。俺はそこの鍵をピッキングで開けた。中には親父と同世代らしい男性が座っていた。男性は男にしては少し長い髪の毛をし、平凡なあっさりした顔で、紺のジャケット、白いワイシャツ、灰色のスラックスと言った出で立ちだった。
「ミキジロウさんの助手の方ですか?」
俺は尋ねた。
「え!?誰?」
男性は聞き返した。
「ミキジロウさんの知り合いです。」
俺は説明した。
「え!?誰だって?」
「ミキジロウさん、ご存じないですか?」
「ミキジロウさんって誰?」
俺は困って呟いた。
「ラミアの術にかかってるのかな…。」
「術の解除、してみます?」
アンナが尋ねた。
「できる?」
「術が浅ければ、できます。」
「じゃあ、お願い!」
アンナは美女になり、男性の瞳をじっと見つめた。二人は一分程見つめ合うと、男性の表情が少し変化した。
「あれ?何してたんだろう…私は…。」
男性は正気に戻ったらしい。
「ミキジロウさんの助手の方ですか?」
俺は男性に尋ねた。
「…はい。ミキジロウさんは何処ですか?」
「今、チャーマースクールで休んでます。」
「私を連れて行ってもらえますか?」
「はい。でも、その前に一つお聞きしてもいいですか?」
「はい。」
「ミキジロウさんの調査ノートについて、何かご存じないですか?」
「調査ノート…確か……この鞄の中に……有りました。」
「良かった!じゃあそれを持って一緒に行きましょう。」
美女は少女に戻った。三人は急いでこの区画を抜けた。骨抜きにされた四天王、プリーストや魔術師たちを無視して、次の部屋に向かった。多分、あいつはまだ、凍り付いているはず。
「ふ。逃がすものか。今度こそ、皆殺しだ!」
化け物の声。
誰が溶かした?四天王や魔術師は、全員、骨抜きになったはず…。後は…ドラゴンか。
俺は慌てて、マジックライフルを構えた。マジックライフルを発砲する俺。しかし、奴は身体を二つに分けて避けた。弾は壁に当たり、壁が凍り付いた。
「二度、同じ手を食うか!」
奴は触手を伸ばした。もう一度、発砲する俺。しかし、奴はまた避けた。俺はマジックライフルを捨て、短剣を抜いた。奴の触手の攻撃を弾き返す。
「アンナ、その人を連れて逃げろ!」
”すべての氷に住まう精よ。その冷気を今解き放ってすべてを凍らし給え”
「え!?」呪文の詠唱が聞こえて俺は驚いた。
「アイギ!」
「う!そんな馬鹿な…。」
奴は凍り付いた。俺は捨てたマジックライフルを拾った。
「良かった…。壁が凍ったのを見て、もしかしてと思ったのですが。」
助手の人は話した。
「ありがとうございます。魔法使いだったんですね。」
「はい。多少、呪文は扱えます。」
「本当にありがとうございます。」
俺たちは急いで八階を脱出した。そして、なんとかチャーマースクールにたどり着いた。
「アンナ、ありがとう。」
「いえいえ。良かったです。うまくいって。」
俺は校長に今回あったことを報告した。助手の人はミキジロウさんのベッドに駆け寄った。
「ミキジロウさん!」
「…ウェルノム…。」
「済みません。こんなことしてしまって…。」
「いや、いい…。そう、調査ノート、知らないか?」
「知ってます。調査ノートならここに。」
助手は鞄からノートを取り出して、ミキジロウさんに見せた。
「ああ、ありがとう。」
ミキジロウは調査ノートを読み始めた。
「そう言えば、校長。ファーたちを知りませんか?ダンジョン七階で別れたきりなのですが…。」
俺は尋ねた。
「いいえ、見てないわよ。」
「どうしたんだろう?まさか…。」
俺は考え込んだ。まさか、魔王の手に…。
「どうです?ミキジロウさん。」
校長はミキジロウさんに尋ねた、
「なんとなく思い出してきた。カオスを、魔王を元に戻すには、リングオブテラにクリスタルで出来たアンクを掛け、悪魔退散の呪文を詠唱するんだ。」
「アンクってなんです?」
校長は尋ねた。
「”プリンのアンサタ十字”と言う呪文を使って作られた頭の部分が円状の十字架と古文書には書いてあった。」
「つまり、リングオブテラ以外にそのアンクが必要と言う事ですね。」
「そう言う事だ。」
ミキジロウさんは断言した。




