『神速の鉛、無慈悲な終止符』
「……これで、終わりだ」白雪――リッパー・アルファが、感情の消えた声で告げる。振り上げられた白銀の大鎌。その刃が湊の首筋に食い込もうとした、その瞬間だった。乾いた破裂音が、静寂を切り裂いた。「――ターゲット、命中」白雪の胸の中央、その『核』が存在する座標を、一発の弾丸が正確に貫いた。「……ぁ……」白雪の動きが止まる。鎌が手から滑り落ち、彼女の体から白銀のノイズが火花のように散った。「な、んだ……?」湊が血に塗れた顔を上げると、理科室の入り口に、一人の少女が立っていた。夜の闇に溶けるような漆黒の軍服。手には、設計者の技術を転用したであろう不気味な長距離狙撃銃。彼女の頭上には、これまでの魔法少女とは一線を画す、圧倒的な質量のウィンドウが浮かんでいた。【個体識別:魔法少女001(執行体)/命令:異常個体の一括消去】「白雪ッ!!」湊は叫び、崩れ落ちる彼女を抱き寄せようとした。だが、新たな少女は無慈悲に二発目の引き金を引く。弾丸は湊の目の前で床を削り、彼を拒絶するように火花を上げた。「無駄だよ、バグ。その子はもう、設計者によって『汚染除去』の対象に設定された。君がどれだけ心臓を砕こうとしても、私たちがそれ以上に早く撃ち抜く」少女の瞳には、リッパーのような嘲笑も、白雪のような迷いもなかった。あるのは、ただ淡々と業務を遂行する「処刑人」の冷徹さだけだ。彼女は銃口を、今度は湊の眉間へと向けた。「巴に、健太に、白雪。……君の周りは、いつも死体の山だね、佐藤湊」「……お前、誰だ……っ」「名前? そんなものは、設計図には必要ない。強いて言うなら――君が作り出した『絶望』の、最新の形だよ」白雪の体から光が失われていく。湊は重傷の体で、冷たくなっていく彼女を抱きしめ、新たな刺客を睨みつけた。設計者は、リッパーという個人を捨て、今度は「軍隊」として湊を、そしてこの座標の全てを、物理的に消し飛ばそうとしていた。




