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「神様、これがあなたの「非効率」だ」

「……効率、だって?」 俺は震える足で、一歩だけ前に踏み出した。 月兎は、巴先輩だった『肉塊』を咀嚼しながら、無機質な赤い目を細める。「そうだよ。悲劇は、最も効率がいい燃料なんだ。君も契約してマターになれば、彼女の仇を討てるよ」「効率、効率、うるせえんだよ……。お前、さっき『予備のエネルギー』が必要だって言ったよな」 俺はポケットの中で、塾の帰りに買ったばかりのスマートフォンを握りしめた。「それがどうしたんだい?」「お前らの理屈じゃ、俺がここで死ぬのが正解なんだろ? でも、お前には計算できない『ノイズ』がある」 俺はスマートフォンの録音ボタンを掲げた。「さっきの会話、全部録音してクラウドに飛ばした。俺が今から一分以内に解除コードを打ち込まなきゃ、お前らの存在が世界中に拡散される設定だ」 嘘だ。そんな設定、今さっき思いついたデタラメだ。「……何かな、それは。人間が僕たちを知ったところで、大した障害には――」「障害になるよ。お前らが『効率』を求めるなら、隠れてやるのが一番だろ? 大勢に知られて対策を練られれば、回収コストが跳ね上がる。……なあ、設計者さんよ。一人のガキの魂と、システム全体の露見。どっちが『非効率』かな?」 月兎の赤い目が、初めて俺を「バグ」として捉えた。「……面白いね。契約もしていないただの人間が、僕に交渉を仕掛けるなんて」「交渉じゃない。脅迫だ。……先輩を吐き出せ。そして、消えろ」 手汗でスマホが滑りそうだ。 だが、この瞬間、俺は確かに設計者の「喉元」に食らいついていた。

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