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『再定義された絶望、白銀の操り人形』

静寂を切り裂いたのは、瓦礫の下から漏れ出す、聞き覚えのある不気味なノイズだった。「……あ、あ、ああ……」湊が息を呑む。崩落した瓦礫が内側から吹き飛び、そこから一人の少女が立ち上がった。白雪こゆきだ。だが、その姿は湊の知る彼女ではなかった。透き通るような肌は白銀の鱗に覆われ、瞳からは感情が消え、リッパーと同じ無機質な赤い光が宿っている。『……リッパーの最後のアドバイスだよ、湊くん。エネルギーは「循環」させなきゃいけない』白雪の口から、死んだはずのリッパーの声が重なって響く。あいつは消滅する寸前、自分の意識の断片と権能のすべてを、瓦礫の下で瀕死だった白雪の『核』へと強制的に流し込んだのだ。【再定義完了:個体識別『白雪』を『リッパー・アルファ』へ移行】「しら、ゆき……? 嘘だろ、お前……」「……ターゲット、確認。バグのデリートを開始します」白雪の手元に、かつての光の剣とは比較にならないほど禍々しい、白銀の大鎌が形成される。それは、湊がリッパーを切り刻んだあの鎌と、対になるような形をしていた。「やめろ……白雪ッ! 俺だ、湊だッ!!」湊の叫びを無視し、白雪――設計者の新たな人形となった彼女が、音速を超えて肉薄する。白銀の刃が湊の肩を深く切り裂き、設計者の冷徹なプログラムが湊の傷口から全身を侵食していく。『見てごらん、湊くん。君が救いたかった少女が、君を殺すための最強の兵器になった。これ以上の「効率」的な地獄が、他にあるかな?』脳内に直接響く、リッパーの嘲笑。最愛の先輩を奪われ、親友を失い、そして今、救うべきだった少女に殺される。湊は、自分を殺そうと鎌を振り上げる白雪の顔を見た。その頬を一筋、彼女自身の意志が流したかのような、熱い涙が伝っている。「……殺して……お兄ちゃん……」機械的な命令の隙間から零れ落ちた、彼女の真実の悲鳴。湊は、血に塗れた漆黒の右腕を、ゆっくりと構え直した。

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