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『白銀の解体、バグの狂宴』

「……非効率だと言ったはずだよ。そんな感情任せの攻撃が、僕に――」リッパーの余裕に満ちた言葉は、最後まで続かなかった。俺が振り下ろした漆黒の鎌が、あいつが絶対の障壁と信じていた『座標防壁』を、紙細工のように切り裂いたからだ。「なっ……!? 概念干渉を、力技で……!?」「うるせえんだよ。効率、効率、効率、効率……ッ!!」俺は獣のような咆哮を上げ、鎌を横一文字に薙いだ。リッパーは辛うじて跳躍して回避したが、その美しい白銀の毛並みが数筋、黒いノイズに焼かれて宙に舞う。健太を消したあの指。先輩を喰ったあの口。その全てを、この手で、一ミリ単位に刻んでやる。「計算が合わないか? なら、お前の体で数えてろよ!!」俺は踏み込み、鎌を乱撃へと変えた。一撃ごとに、俺の命が削れていく。視界が真っ赤に染まり、肺が焼ける。だが、右腕に宿った健太の絶望が、俺を死なせてくれない。「……カ、カハッ……不快だ、不快だよ君はッ!!」リッパーが初めて激昂し、無数の光の針を放つ。俺はそれを避けない。肉を貫かれ、骨を砕かれながら、ただあいつの肉薄へと距離を詰める。「捕まえたぞ、ドブネズミ」「あ……」黒い異形の左手が、リッパーの細い首を掴んだ。至近距離で、俺は黒い鎌を、あいつの腹部へと深々と突き立てた。「効率的に刻んでやる。……まずは、健太の分だ」ぐちゃり、と無機質なはずの生命体から、ドロドロとした『設計者の血』が溢れ出した。俺は鎌を引き抜き、休むことなく、二度、三度、十度。あいつが、かつての巴先輩と同じ『肉塊』になるまで、俺はひたすら鎌を振るい続けた。「巴先輩の分……! 健太の分……! 俺の、日常の分……ッ!!」理科室は、白銀の破片と黒いノイズが混ざり合う地獄絵図へと変わった。断末魔さえもバグとして処理され、リッパーという存在が、座標からバラバラに解体されていく。「……あ、が……設計、が……修正……不能……」最期に聞こえたのは、あいつの矜持が崩れ去る、哀れなノイズだった。俺は力なく、肉塊と化したリッパーの残骸の上に膝をついた。右腕の侵食は、ついに俺の顔の半分まで達していた。静まり返った理科室。俺の目の前には、誰一人として、もう残っていなかった。

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